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LIVE REPORT

HOOBASTANK

2023.02.06 @渋谷Spotify O-EAST

Writer : 菅谷 透 Photographer:Takashi_Konuma

HOOBASTANKの2018年以来となる来日公演が開催された。大阪での単独公演、名古屋でのcoldrain主催フェス"BLARE FEST.2023"出演に続いて、2月6日に渋谷Spotify O-EASTにて行われた東京公演は、HOOBASTANKと2017年、2018年に続き3度目の共演となったSurvive Said The Prophetもサポート・アクトとして出演。キャパシティの規制が取り払われほぼ満員となった会場で、白熱のステージが繰り広げられた。

Survive Said The Prophetは1曲目の「MUKANJYO」でダイナミックに口火を切り、アッパーな「Fool's gold」へと繋げていく。熱量の高いパフォーマンスはもちろんだが、迫力あるヘヴィなサウンドや作り込まれた照明からも、久しぶりの共演となったHOOBASTANKへ成長し進化した姿を見せてやろうという気概が伝わってくる。Yosh(Vo)が"月曜日から音楽を楽しみに来てるみんな、クレイジーで大好きだよ"と笑いかけると、エモーショナルな「Beauty Queen」を投下。続けて披露された「Right and Left」ではイントロから自然と手拍子が巻き起こり、ステージと観客の一体感が高まっていった。

Yoshは"個人的な話をすると、HOOBASTANKが出てきたときに自分は中学生。「いつか(一緒に)やってやるぜ!」って中学生らしく言ってたよ。気づいたら3回もHOOBASTANKと一緒にやらせてもらってて、今日はライヴ前に「久しぶり」って言葉を初めていただきました"と感慨深げに述べ、フロアからも拍手と歓声が起こる。"「頑張ったらいいことあるよ」って言われたことがあるけど、それは正しいと思っているし、「誰も見ていない」と感じる自分がいたとしても、頑張っているひとりひとりのことは絶対に誰かが見ていて応援している。それだけ忘れないでください!"と思いの丈を伝え、"俺らはプライド持ってHOOBASTANKのオープニング・アクトをやって、あとはロック・ショーを楽しませてもらうんで、しっかり楽しんでいけよ!"と「S P I N E」を披露。ラストは"HOOBASTANKにバトンを託す前に、クレイジーな曲を持ってきたんでやらせてください!"のひと言から「Network System」へ。コーラスではコロナ禍でのライヴで培われたであろう、両手を掲げる仕草に加え、声出し解禁を受けシンガロングが復活。より力強さを増した光景を広げたあとは、"LOVE, PEACE & ROCK'N ROLL! またライヴハウスで会おうな"とピース・サインを掲げ締めくくった。

Kendrick Lamarの「DNA.」をBGMにHOOBASTANKのメンバーが登場すると、Douglas Robb(Vo)が"楽しむ準備はできてるか!"と言い放ち、「Remember Me」からスタート。髪を鮮やかなピンクに染めたDougは美声を響かせながら、時折前方の観客とハイタッチし早くも親密な空気を作り上げていく。エフェクトを駆使しながらラウドに繊細にギターを奏でるDan Estrin、長いヒゲを蓄えたワイルドなルックスとベース・プレイで魅せながら、ギャップのあるクリアなコーラスでアンサンブルを支えるJesse Charlandの存在感も頼もしい。「Born To Lead」ではChris Hesse(Dr)が正確且つダンサブルなビートで揺らし、観客もクラップや歓声で反応を返す。

そして「Same Direction」のイントロが流れれば、フロアは"Hey!"を大合唱。マスクこそしているが、モッシュやシンガロングが巻き起こる待ち望んだ光景が広がっていた。Dougは"ルールがなくなったんだ、もう静かにしている必要なんてないだろ?"とフロアに言い放ち、観客の緊張を解いていく。"東京でのライヴのすべてに素晴らしい思い出があるんだ。俺たちは本当にラッキーだよ。来てくれてありがとう"と感謝を述べたあとは、Danの多彩なギター・ワークが冴え渡る「No Destination」をプレイ。「Running Away」ではラウドなアンサンブルに負けず劣らずのシンガロングが響き渡り、Dougが思わず"スゴイ!"と漏らす場面も。「If I Were You」のイントロにも素早く歓声が上がり、ドリーミーで甘いメロディが会場を包み込んだ。

"もっとエキサイトしてくれ"という言葉からスタートした「My Turn」では、フロアを左右に分け入念な練習のもとコール&レスポンスで大サビへ向かい、近年では聞くことのなかった大合唱がフロアに鳴り響く。この日のDougは曲間にしばしば薬を口に含む場面もあり本調子というわけではなさそうだったが、それでも要所をしっかりと締めたパフォーマンスを披露していて、ラウドに歌い上げる「Pieces」、美しいファルセットを響かせる「The First Of Me」で観客を魅了していく。バス・ドラムのビートから繋げられた「Out Of Control」ではダイナミックなサウンドで一気に狂乱状態へ突入し、特大のシンガロングとモッシュピットが生まれていた。

そのあとのMCではメンバーへ観客が声を掛ける場面があったが、そういえばこんな光景も実に久しぶりだ。「Let It Out」では歌詞の一節を"I love you guys"に変えるサプライズでさらにフロアを熱狂させ、ブラス・サウンドの同期音源を伴ったダンサブルな「Inside Of You」で繋げていく。DougとJesseの"今日はカレーが食べたいね"という会話がなぜか挟まれたあと、鳴り響いたのは"あの"ピアノのイントロ。歓声とともに奏でられた「The Reason」はこの日のハイライトに相応しい情景で、ノスタルジックなオレンジ色の照明も相まって、時代を超えた名曲の力を痛感させられる。畳み掛けるようにドラム・ビートが炸裂すると、本編ラストにプレイされたのはこちらも名曲の「Just One」。圧巻の盛り上がりを見せ、ステージを去っていった。

アンコールでDougは、次回はもっと短い期間で日本へ戻ってくることを約束。また、この数年は自身にとっても様々なことがあった期間で、ツアーに来る前はかなりの不安に襲われていたが、日本で愛やサポートを受け取っていくなかでそれが解消され、日々元気づけられたと明かした。そして、"不安を感じたときに一番ぴったりな曲があるんだ"とプレイされたのは「Slow Down」。バンドが明かした率直な想いを受け、演奏後の拍手と歓声にはより力が込められているようだ。続いて寄せ書きの入った日本国旗が投げ込まれたが、"初来日から21周年"という文字を見て"21年だって!? みんな歳をとったね"と笑いつつ、大事そうにマントのように身に纏っていたのも印象的だった。最後はデビュー・アルバム『Hoobastank』の1曲目にして代表曲「Crawling In The Dark」を叩きつけ、見事なフィナーレを迎えた。

今回の来日公演で、時代を彩ってきた名曲たちを惜しげもなく披露する圧巻のステージを見せてくれたHOOBASTANK。彼らが現在のシーンを担うバンドたちに多くの影響を与えたのは間違いないが、このジャパン・ツアーはさらに若い世代にもバンドの楽曲が届く貴重な機会になったのではないかと思う。彼らが再び日本でプレイする日を楽しみにしたい。

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