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LIVE REPORT

BLUE ENCOUNT

2014.12.13 @TSUTAYA O-EAST

Writer 荒金 良介

ライヴハウスをひとつの大きな船に例えてみる。もし船頭がどっちつかずで指示をきちんと出さなければ、船は暗礁に乗り上げて難破することだろう。この日のBLUE ENCOUNTは、すべての観客をしっかり導く名船頭へと成長を遂げていた。今年はEP『TIMELESS ROOKIE』でメジャー・デビューを飾り、仙台公演を皮切りに7ヵ所を回るワンマン・ツアー"TOUR2014 ROOKIE'S HIGH"を決行。最終日にあたる東京公演は、最初の1秒から最後の1秒まで目が離せない圧巻のライヴで観客と一体化したパフォーマンスを展開する。以前から楽曲、ライヴ共に評判の高い彼らだが、そのレベルを一気に引き上げたと言っていい。ただ、今回はバンド的にもっとも大変だったツアーらしく、毎回軌道修正を図りながら、自分たちが理想とするライヴ空間を模索したらしい。その成果をこの日は見事に大爆発させていた。

「マキャベリズム」で始まると、軽快なリズムでいきなりフロアを激しく揺さぶる。辻村勇太(Ba)が"オイ!オイ!"と力強く煽る「HALO」ではクラウドサーフする観客も一気に増え、カオスな盛り上がりに拍車がかかる。江口雄也(Gt)の効果音的なギターが映える「T.K」でもイケイケの熱量を会場の隅々まで行き渡らせていた。"渋谷TSUTAYA O-EAST即日完売ありがとう!"と田邊駿一(Vo/Gt)も満面の表情で呼びかけ、この瞬間が楽しくてたまらないという表情を浮かべている。その一方で、"自由にやっていい、好き勝手にやっていいけど、周りにケガだけはさせないで"と序盤から高まり続ける熱気にあえて警鐘を鳴らし、フロアをみんなが楽しめる方角に舵を切る物言いが印象的だった。諸刃の剣になりかねない発言だが、ここでステージと観客の距離はさらにグッと縮まった。それから「HANDS」で特大のオイオイ・コールが沸き上がり、"ここはあなたの居場所ですよ!"と言い放ったあとに「PLACE」をプレイ。そして、いいことも嫌なこともあなたと一緒に乗り越えたいと宣言し、「JUST AWAKE」へと突入。雄叫びを上げるような歌声に触発され、再びフロアは熱狂的に盛り上がる。後半の「D.N.K」、「ONE」、「ロストジンクス」、「NEVER ENDING STORY」、「MEMENTO」の5連発はシビれるような衝動と興奮を味わった。

そして、本編ラスト前に田邊がゆっくり話し始める。4年前に演った渋谷TSUTAYA O-EASTでは50人しか観ていなかったことを振り返り、"あなたの力でここに立つことができた"と感謝の気持ちを精一杯口にする。"あなたがいるから怖くない、ずっと隣で歌っていいですか?"と言うと、会場には涙を流す観客の姿があちこちで見られた。それから、もうすぐ出るメジャー1stシングル『もっと光を』の表題曲をいち早く披露する。"俺らとあなたの曲です!"という説明通り、聴く者を明るい光で照らすハートフルな曲調は多くの人の心に突き刺さっていた。

アンコールに応え、陽性キャラを振り撒く高村桂秀(Dr)が面白おかしく物販の案内をして場をほぐすと、「アンバランス」、「VOICE」で再び会場がひとつになり、大団円を迎える。この日はZepp DiverCityでワンマン(2015年6月12日)を行うことも発表された。その弾みを付けるためにも、今回のワンマンはバンドにとって大事なツアーになったに違いない。決して器用なメンバーではない。むしろトライ&エラーを繰り返し、自分たちの目指すべき道を手探りで見つける不器用なメンバーばかりだ。けれど、今の彼らに迷いはない。進むべき道ははっきり見えている。ひと回りもふた回りも強くなったBLUE ENCOUNTの今後も追いかけていきたい。

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