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INTERVIEW

BLUE ENCOUNT

2015.07.16UPDATE

2015年07月号掲載

BLUE ENCOUNT

Member:田邊 駿一 (Vo/Gt) 江口 雄也 (Gt) 辻村 勇太 (Ba) 高村 佳秀 (Dr)

Interviewer:荒金 良介

-今作を聴いて、先に自分の感想を言うべきなのか、メンバーがどんな作品にしたかったのかを先に訊きたい気持ちもあり、その狭間で葛藤してるんですよ。どうしましょう?

田邊:先に感想をくださいよ(笑)! それはうかがいたいですよ。その意見ありきで今日のインタビューは決まりますから。思ったまま言ってください。

-今回はトータルタイム約39分ですけど、BLUE ENCOUNT(以下:ブルエン)らしさがギチギチに詰まった内容だなと。今の勢いを投影したライヴ感はもちろん、本来持っていたJ-POP、パンク、今作ではレゲエまで取り入れて、自分たちの色にきっちり落とし込んだ素晴らしい作品ですね。

田邊:おっしゃっていただいた通り、ブルエンらしさを追求できた作品ですね。作り始めた当初に"何がブルエンらしさなのか?"と考えたときに、曲の幅広さだなと。レゲエ、J-POP、ラウド、エモもやって、その広さがブルエンだなと僕らも思ってたんですよ。今回は4曲が既存のもので、それ以外は昨年12月に候補曲があったんですよ。最初にできたものがTrack.4「JUMP」、2ビートのTrack.5「TAKEN」、Track.9「HEEEY!」でこの3曲もかなり幅があったけど、その7曲を並べたときに全然面白くない作品ができあがったなと。

-全然面白くない作品?

田邊:僕の中で"クソつまらん!"って思うまで行ったんですよ。7曲の時点でそう思っていたから、残りの曲を作る気になれなくて。このまま作ったら、俺はダメになってしまう。その現状を飲め込めないし......でもその理由も見つけられないまま、制作自体が嫌になったんですよ。で、ある日メンバーに集まってもらい、そこで毒を吐く田邊になってしまい、"面白いことが何も浮かばないっす!"と告白して。それからザワザワして、現状の立ち位置における不満とか、今まで出した曲はもっと売れてもいいじゃないかみたいな(苦笑)。調子に乗ってるようなキレ方をしてしまい、チーム全員を不快な思いをさせてしまったんですよ。でもひとつだけ、みんなが共感してくれたのはアルバムが面白くないということで。

-そこは共通してたんですね。

田邊:それで今年3月以降の制作はガラッと変わり――それまでは曲の振り幅に逃げようとするフシがあったから――とにかく面白いものではなく、ちゃんと自分たちと向き合って闘おうと。最初の3曲(「JUMP」、「TAKEN」、「HEEEY!」)以外でアルバムに入れようと思っていた曲はもっと振り幅があるもので、それは既存の4曲に対する引き立て役にしかなってなかった。今のところ、俺らが嫌とする安パイな持って行き方だなと感じて、それで単純にかっこいい曲を作ろうと。そうなったときにTrack.2「LIVER」という曲が浮かんできて、このサビはもともと2年前からあったものなんですよ。その曲も当時は面白くないと言ってたけど、「LIVER」に集中しないと、アルバムが先に進まないと思って。まずこの曲に賭ける気持ちが強くて。それを経て、毒が抜けたうえでブルエンらしさを集約できた作品が作れました。歌詞に関しても今まで書けなかったことが書けましたからね。ライヴのことを風刺も交えて、嫌みなくアプローチすることができた。これでいい船出ができたなと。それからここぞというときに絶対出そうと思っていたTrack.6「EVE」もできたし、懸念すべきは1曲目だったんですよ。その不安はすごくあったよね?

高村:やっぱり試聴機のことも考えて、パッと聴いて心を掴めないと、アルバムを聴いてもらえない。1曲目をどれだけかっこよく聴かせられるかで、他の曲も気持ちよく聴いてもらえるかが決まりますからね。どうしようどうしようって、悩みましたね。

江口:僕らの1曲目として定番化している「JUST AWAKE」(2013年リリースのミニ・アルバム『NOISY SLUGGER』収録)という絶対的な曲があって、このタイミングでその曲を越えなきゃいけないと思ったんですよ。ライヴで1曲目にプレイするもの、アルバムで1曲目を飾るもの、そのふたつのハードルを越えるのが結構大変でした。

田邊:結局、1曲目は最後まで悩むことになるんですよ。どれだけ考えても浮かんで来なくて。そればかり考えていたら、頭がおかしくなるなと。で、アルバムのことを考えずに作ろうと思ったときに、めちゃくちゃポップなTrack.10「SMILE」ができたんですよ。仮タイトルは"ポカリ"だったんですけど。

-爽やかなCMにも合いそうな曲ですが(笑)。

田邊:はい、ポカリスエットのCMで流れてもおかしくない曲ができちゃって。この曲をアルバムに入れたいなと。でもこの曲が気に入られるかな?と怖かったんですよ。でもこの曲を収録したことによって、僕らの中で不動ナンバー1のアルバムができました。で、「SMILE」のあとにTrack.1「KICKASS」に取りかかったんです。1度頭をリセットできたけど、それでも1曲目がすぐに浮かばなくて......「JUST AWAKE」、「HALO」(2012年リリースのミニ・アルバム『HALO EFFECT』収録)という曲と闘って、それを越えるものを作りたかったから。で、久々にメンバーの力を借りようと思って、"頼むからひとり1日5個ずつ、自分がいいと思った英単語を送ってくれ"と。

高村:5日間ぐらい送り続けたかな。

田邊:それでたくさん集まって、メンバー4人に共通する言葉が"KICKASS"だったんですよ。僕はその言葉を思い浮かべて、レコ-ディング中にバッと弾いたものがその曲のサビになりました。みんなのおかげで状況を打破できたんですよ。ツアーが始まる1、2週間前まで作ってましたからね。