LIVE REPORT
Taste of Chaos 2010
2010.01.22 @ZEPP TOKYO
ENDLESS HALLWAY
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(MAY-E)
CKY
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(MAY-E)
ATREYU
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まずは最新作『Congregation Of The Damned』の1曲目である「Stop! Before It's Too Late And We've Destroyed It All」からスタート。拳を振り上げながらサビを一緒に歌うフロアを見て、『Congregation Of The Damned』はきちんとファンに浸透しているのだということを確認出来、嬉しい気持ちになった。「Becoming The Bull」では、それまでのギターの音の小ささと、全体的な音のバランスの不安定さが落ち着き、演奏も安定した。どんどん熱狂の渦が大きくなっていくのがわかった。「Ex's And Oh's」では初のクラウド・サーフが。そして、激ロック・DJパーティーでもよくセレクトされる「When Two Are One」。大きくリズムが乱れたり、Alexが少し不安定だったものの、この無敵のアンセムで踊り狂わないわけがない。MOTLEY CRUEを彷彿とさせるシャッフル・ナンバーの「Falling Down」から、「Bleeding Mascara」への流れ方はお見事!
そしてライヴ後半戦。Brandonの短いドラム・ソロを挟み、メロデスのようなリフの「You Were The King,Now You're Unconscious」、そして「The Crimson」では、Marcがステージででんぐり返し!DanとTravisも、負けじと大きく動く。そんなステージ上のメンバーと同じくらいのテンションで挑むフロアの熱は、「Doomsday」で大爆発した。そして、筆者が『Congregation Of The Damned』で一番好きな「Gallows」。せつない哀愁が漂うメロディと、ハードコア要素とヘヴィメタルの要素が見事に調和した素晴らしいナンバーだ。「Right Side Of The Bed」、そしてデビュー作である『Suiside Notes And Butterfly kisses』の「Lip Gloss And Black」。大きな盛り上がりで、大団円を迎えた。
何よりも感動したのは、Dr&VoであるBrandonの歌のうまさ。このジャンルのバンドでは音源よりもライヴの方が歌がうまいなんていうことはそんなに多くないと思うのだが、Brandonは音源と全く同じレベルで、最初から最後まで歌い上げた。これでドラミングに崩れがなければ完璧なのだが、それを求めるのは酷というものだろう。ATREYUでドラムを叩くということは、普通のバンドと違って、キック、スネアひとつ叩くのにも倍くらいのパワーを使っているのだろうから。Alexはシャウトしながら、バンドのアジテーターとしての役割をきっちり果たしていて、とてもかっこよかった。さすがに結成から12年、地道にツアー活動を続けてきたATREYUだけあって、盛り上げ方もうまいし、ATREYUを知らないであろうリスナーにも訴えかけるだけの、バンドとしての大きなライヴ・パワーを感じることが出来た。お世辞抜きにとてもいいライヴだった。
(KAORU)
IN FLAMES
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さあ、待ちにまったIN FLAMES。ステージ上にはDaniel(Dr)が登場。沸き上がるオーディエンス。会場に響き渡る「Cloud Connected」のイントロのSE。オーディエンスは更に一段上の熱狂を見せる。まだ上があったのか。まるで、○倍界王拳みたいだ。
ステージ上には一切のアンプを置いておらず、ちょっと不思議な光景。しかし、所狭しと暴れまわりながらヴォーカルをこなすAndersの存在感がその光景の異様さをむしろ見易さへと変える。バンド全体の音のまとまりもこれまでのどのバンドよりも力強く、まるで塊のようにフロアにエネルギーを吹き込む。リーダー的な存在のギター、Jesper不在ということで、ちょっぴり心配していたが、サウンド上は全くもってその影響を感じさせない。なんという層の厚さ。バンドの土台となるドラムス、ベースのレベルが半端じゃなく高いからこそなせる技だ。
「Good Evening!」3曲目を終えたところで、AndersのMC。Andersの人の良さそうな感じがMCでの喋り方、言葉遣いによく現れていて、ちょっと微笑ましい。
"傑作とも呼べる前作を作って以来、長い間世界を回ってきたけれど、今回でしばらく日本には来れなくなる。アルバムの制作に入るんだ。"との発言は、日本にしばらく来れなくなる、のとこでちょっと驚いたけど、最後には安心。ならしょうがないね。きっと更に進化したIN FLAMESを創り上げてきてくれるのだろう。
そんなMCを入れておいて、「Delight and Angers」、「Disconnected」と最新作「A Sense of Purpose」から2曲続けて持ってくるのは、自分達への自信の表れなのかもしれない。これまでの作品も傑作だし、これからの作品も傑作なんだ。そういうメッセージのようにも感じた。だって、これだけ盛り上がれば、そう思えてもきますよ。
中盤の見せ場は「Only For The Weak」。Andersが「Tokyo! Jump!!」と叫んで曲が始まると、1小節も進まない内から会場全体でジャンプ!ジャンプ!こんなに一体感が出るライヴってそうそうあるもんじゃない。みんな楽しそう。ライヴレポ用のメモを後ろで書いてる場合じゃない!って本気で思った。
後半に差し掛かるあたりでは、前作のタイトル曲「Come Clarity」で会場全体がシンガロング。IN FLAMES好きがこんなに居たなんて。改めてIN FLAMESの人気を見せ付けられたような思いだ。そして、後半のハイライトはやはり「Take This Life」。この曲が完璧に演奏されているのが全く信じられない。イントロのツービートからもう原曲そのまんまで、オーディエンスも狂ったようにヒートアップ。圧巻のステージというのはこういうことを言うのか・・・。本レポートの冒頭の方でも書いたが、IN FLAMESを支えているのは間違いなくドラムス、ベースの圧倒的なレベルだ。特にDanielが難なく「Take This Life」を叩いているのを目の当たりにして確信した。
Jesper不在のステージではあったが、IN FLAMESのパワーはしっかりと表現され、オーディエンスも120%満足していた。演奏を含むパフォーマンス、オーディエンスとの一体感、どこをとっても最高のステージだった。Jesper脱退は本当に残念ではあるが、これならIN FLAMESはこれからもIN FLAMESであり続けるであろう。
(米沢 彰)
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