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FEATURE

ATREYU

2009.11.08UPDATE

2009年11月号掲載

初期の攻撃性/ 衝動性を取り戻し、全曲アンセムとも言える完成度を誇る5thアルバム『Congregation Of The Damned』リリース!!

Writer KAORU

ATREYU。そのバンド名前の由来は、ミヒャエル・エンデ作「果てしない物語( 原題:The Neverending Story)」の主人公である少年勇者、アトレイユだ。オレンジ・カウンティ出身の5人組である彼らは、01年にインディ・レーベルTRIBUNAL RECORDSよりミニ・アルバム『Fractures In The Facade Of Your Porcelain Beauty』を発表。02年にデビュー・アルバム『Suicide Notes And Butterfly Kisses』をリリースし、SNAPCACEやSHAI HULUD、SEPULTURAや数々のバンドとのツアーを積み重ねながら、知名度をぐんぐんと上げていく。(このツアー中に、メンバーの交代劇があり、現在のラインナップとなる。)04年にセカンド・アルバム『The Curse』、06年にサード・アルバム『A Death-Grip On Yesterday』をリリースし、圧倒的な人気を誇るバンドへと成長していったのだ。そして、07年に発表した『Lead Sails Paper Anchor』では、全米チャート8 位を獲得し、全米のみで31万枚のセールスを記録。このアルバムにおいてATREYUはハードコア/ メタルバンドとしての地位を、更に確固不動のものとした。

そんな前作から約2年ぶり、バンドにとって5枚目となるアルバム『Congregation Of The Damned』がリリースされる。

「俺達はヘヴィなハードコア・バンドとしてスタートした。でもここ最近の俺達は、そこからちょっと離れちまってたような気がする。例えば前作は、ヘヴィ・パートがあるロック・バンドとしての俺達を表現出来たと思うんだけど、この作品では俺達のルーツに戻りながらも前進したかった。俺達にある二つの要素のベストなバランス・ポイントを見つけたんだ。」

このようにヴォーカルのAlex Varkatzasが語っている通り、『Congregation Of The Damned』の大きな特徴の一つは、初期ATREYU を思わせる攻撃性/ 衝動性を、自ら意識的に取り戻させているということにある。ATREYUが始動してから約10年というキャリアの中で、バンドにとっての核たる部分は何かということを自問自答しながら製作されたアルバムということになるのだろう。

更に、より洗練されたヴォーカル・メロディも注目すべき点だ。憂いのあるメロディのクリーン・パートと、スクリームとのコントラストが大好きなキッズへの需要を満たすと共に、タイムレスなグッド・メロディが、これでもか!というほど供給されている。全ての曲がアンセムと言っても過言ではない。
この、全ての曲をアンセムたらしめている理由は、もちろんヴォーカル・メロディの良さだけではない。ブルースを通過したロックンロールに憧れた、ルーツメタルへの敬意を感じると共に、ブレイクダウン・パートが多く導入されているバンド・アンサンブルも、この現代においては、特にキャッチーに響いてくる。
今作のプロデューサーである、OZZY OZBONEやBLACK SABBATH、SALIVAなどを手掛けたBob Marletteと、ミックスを担当した、THE MARS VOLTAやSYSTEM OF A DOWNを手掛けたRich Costeyがいい仕事をしており、バンドの打ち出すこのサウンドを、更に強烈なものへと導いたのだろう。

そして今作でも、(もちろんATREYUが暢気なアルバムを作るはずはないのだが)、全編を通して、力強い意志とエモーションが感じられる。その原動力は“怒り”だ。

「ここに収録されている曲には、確実にダークでヘヴィな感情がある。これには最近の風潮が影響していると思う。個人的には怒りを感じているから、それが音楽となって吐き出されている。経済問題や雇用問題、そしていまだにイラクに兵士達がいるという事実・・・。ニュースでそんな事ばかり見ながら曲を作っていたからね。」-Alex Varkatzas

外圧に対する怒りと思考は、新たな自己を呼び起こす起因となる。歌詞の対訳を読みながら、更に成長した彼らが投げかける言葉に、耳を傾けようではないか。
来年1月の“TASTE OF CHAOS”にて、IN FLAMES、CKY 等と共演することが決定していることは、既にご存知だろう。今までの度重なる来日キャンセルで泣いたファンにとって、とても嬉しいニュースだ。この『Congregation Of The Damned』の素晴らしい出来栄えを知った後なら、今回の来日り楽をしよみにせずにはいられない。

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