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LIVE REPORT

FOO FIGHTERS Japan Tour 2008

2008.04.13 @幕張メッセ

Writer KAORU

近年のFOO FIGHTERSというのは、アコースティックサウンドに力を入れており、グラミー賞の最優秀ロックアルバムにも選ばれた最新作、「Echoes, Silence, Patience & Grace」は、「In Your Honour」「Skin And Bones」で作り上げたサウンドを生かしつつ、更に成長したFOO FIGHTERSの"ロック"を感じさせてくれる作品となった。

このアルバムを引っ提げた今回の来日。会場には1万人の観客が!客層は若干高め。

特に外人さんの姿が多く見られた。



FOO FIGHTERS ライブレポート


大歓声と共にライブはスタート。

一曲目は長いイントロを経て「Let It Die」だ。

デイブ・グロールの深みのある声で語りかけるように歌う姿はとても眩しい。そして二曲目にまさかの「Pretender」だ!一気に熱気が増し、私のいた後方Bブロックでも外人さんのグループが思いっきり暴れ始めた。
しかしデイブの喉の調子はとても悪そうだ。

声を張り上げるとかなり苦しそう。
「Break Out」ではここぞとばかりにモッシュが起こり、サビでは大合唱が。

FOO FIGHTERSは美しく、繊細かつ、スケールの大きい強い曲を作る。ファン層の幅広さの秘訣はこの楽曲力にあるだろう。


MCではデイブが「今日は2時間やるぜ!」と言うも、個人的には、この喉の調子で、最後までライブを終えられるのか?と、かなり心配になった。
ノエビアのCMで有名な「LEARN TO FLY」では、ベースのネイトが首を振りながら煽る。デイブも自分で自分を励ますかのように、思い切り声を張り上げる。
「THIS IS A CALL」では曲が一旦終わったと見せかけて、ブルース調のインプロが導入され、ギターの音が緩く気持ちよく会場を包む。

そしてとても印象的だったテイラーのドラムソロ。FOO FIGHTERSの、静と動が激しく織り交ざった情熱的なサウンドは、表情豊かで、押し引きをわきまえながらも、骨太で力強いテイラーのドラムが大きな鍵となっているのだ。




その後はピアノ、バイオリン、トライアングル、アコーディオンなどの編成も加わり、アコースティックセットに。

生楽器の音は暖かく気持ちいい。特に幕張メッセのような、無機質で巨大な倉庫のような場所で聴くと、なんだかホッとした気持ちになる。
このような静かなセットではボーカリストの力が浮き彫りになるが、声の調子はあまり良くないながらも、情熱をもって、語りかけるように歌うデイブの姿には、多くの人々にインスピレーションを与えることの出来る、特別な力を持った歌い手だということを十分に感じることが出来た。しかしオーディエンスの中には 、退屈そうにしている人も少なからずいたように思う。



「BUT HONESTLY」からバンド編成に戻り、「EVERLONG」では、それまで静かに聴き入っていたオーディエンスが一気に爆発!「MONKEYWRENCH」はオリジナル音源より幾分かテンポが遅くなっており、曲の終わり方は

Neil Young & Crazy Horse とか、往年のロックバンドがよくやっていたような、「ジャーン!~~~ジャカジャカジャカ・・・ジャァ~ン!~~~ジャ~~~~~~~ン!」という感じで、長~く長~く引きのばした終わり方であった。

今見るのはなんだか新鮮。
「ALL MY LIFE」で本編は終了し、アンコールでは「BIG ME」「LONG ROAD TO RUIN」。そしてラストは「BEST OF YOU」で締めくくった。


今回は本当にデイブの喉の調子が良くなかった為、正直勿体ないと思ったし、アコースティックセットや、曲の展開の仕方、終わり方へのこだわりなど、更に深みを増し、大人になった印象は受けつつも、オーディエンスとの熱の差を感じた。まだオーディエンスが、今のFOO FIGHTERSに追いついていないということなのだろうか。

しかし、既にベテランの彼らが、更なる成長と変化を恐れない姿勢を見せてくれたことはとても嬉しかった。

自分たちのファンが望んでいることをしっかり踏まえつつも、より多くの音楽体験を与え、音楽の素晴らしさを伝えていきたい、インスピレーションを与えたい、という志の高さを感じた。

需要以上のものを与え、常に前向きな姿勢のアーティスト達こそが、惰性の娯楽ではない、より良いエンターテイメントを築いていくのだと私は思う。彼らのアーティスト魂を十分に感じる、頼もしいライブであった。


Reported by KAORU

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