FEATURE
FOO FIGHTERS
2017.07.26UPDATE
Writer 井上 光一
元NIRVANAのドラマー・Dave Grohlを中心に始動し、いまやグラミー賞11冠を達成、アルバム総セールス3,000万枚超というモンスター・ロック・バンド、FOO FIGHTERS。そんな彼らが8月19日(土)、20日(日)に東京と大阪にて開催される"SUMMER SONIC 2017"にヘッドライナーとして初出演することを記念して、その来日を目前に控えた7月26日、1995年のデビュー作『Foo Fighters』を含む過去作品全9タイトルが期間限定スペシャル・プライス盤でリリースされた! 今回激ロックでは、その全9作品のレビューを一挙公開! ニュー・アルバム『Concrete And Gold』のリリース前でもあるこの機会に、FOO FIGHTERSの軌跡をおさらいしておこう!
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1st ALBUM
『Foo Fighters』
Originally Released in 1995.07.09
NIRVANA解散を経て、新たな歴史の始まりとなる衝撃のデビュー作!
喪失と絶望と混乱の中、世界を変えたロック・バンドのドラマーであった男が、スティックをギターに持ち替えて、ほぼ独力で作り上げた本作。これが現代ロック・シーンを代表するトップ・バンドの、すべての始まりであった。ライヴ定番曲Track.1「This Is A Call」、Track.2「I'll Stick Around」を始めとして、ざらついた音像はいかにも90年代グランジ~オルタナ的サウンドと言える。全体的に荒々しく未整理ではあるが、英国ギター・ポップ風と言えるTrack.3「Big Me」や、シューゲイザー的なTrack.6「Floaty」といった楽曲もあり、乾いた轟音の中に光り輝くメロディの数々は、Dave Grohlの突出したソングライティング・センスの証左となっている。
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2nd ALBUM
『The Colour And The Shape』
Originally Released in 1997.05.20
代表曲、名曲を多数収録。バンドのアイデンティティを確立させた90年代名盤!
前作『Foo Fighters』(1995年)は事実上、Dave Grohlがほぼひとりの手で作り上げた作品なので、本作はセカンド作にして、バンドとしての実質的デビュー作と言えるかもしれない。最古参のメンバーとして今もDaveを支える、元SUNNY DAY REAL ESTATEのNate Mendel(Ba)や後期NIRVANAのツアー・ギタリストでもあったPat Smear(Gt)らを迎え、ダイナミックでポップなフーファイ印のロックで、商業的にも成功を収めた傑作となった。多くの名曲、代表曲がずらりと並ぶなか、インターバル的に導入された短めの楽曲が良いアクセントとなって、アルバム全体のドラマチックな構成を作り上げている。90年代を語るうえでも、欠かせない名盤として、その名を残す1枚であろう。
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3rd ALBUM
『There Is Nothing Left to Lose』
Originally Released in 1999.10.27
グラミー初受賞! Taylor Hawkins初参加で破壊的サウンドが炸裂!
グラミー賞を受賞し、いよいよバンドとしてのキャリアや地位を確かなものとした3rdアルバム。とはいえ、この時点ではギタリストの脱退など流動的なバンド編成に悩まされ、"失う物は何もない"といったタイトルに、自らのバンド名を刻んだ、Dave Grohl自身のうなじがアルバム・ジャケットとして使われているのも、象徴的なものがある。本作は彼らの作品群の中でも非常にメロウで、Track.2「Breakout」のようなロック・ナンバーもあるが、Track.6「Aurora」やTrack.8「Next Year」といった楽曲の切ないメロディが印象深い。なお、本作はTaylor Hawkins(Dr)がバンドに加入後、初参加したアルバムであり、楽曲に寄り添うような見事なドラミングを披露している。
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4th ALBUM
『One By One』
Originally Released in 2002.12.18
新ギタリスト・Chris Shiflettを迎えた、バンド最大のヒット作!
新ギタリストとして、パンク畑で活動していたChris Shiflettを得て、ようやく安定した"バンド"となった、彼らにとっては通算4枚目となるアルバム。今もライヴの1曲目として演奏される機会の多い、Track.1「All My Life」を皮切りに、ヘヴィ且つアグレッシヴに突っ走るプリミティヴなロック魂が炸裂しており、理想のバンド・メンバーが揃ったことへの喜びが感じられるような、迸る熱量が素晴らしい。ゲスト・ギタリストとしてBrian Mayを迎えたTrack.6「Tired Of You」で見せる、情感たっぷりのメロウな一面も健在。ギター、ベース、ドラムスがそれぞれシンプルながら素晴らしい仕事をした結果生まれた、見事なロック・アルバムである。前作に続きグラミー賞を受賞。
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5th ALBUM
『In Your Honor』
Originally Released in 2005.06.15
バンドの音楽的冒険を示した、ロック&アコースティックの豪華2枚組!
バンド史上初となる2枚組にして、初めて2作連続で同じメンバーによって制作されたのが本作である。通算5枚目となるアルバムで、ロック・サイドとアコースティック・サイドに分けた構成という音楽的冒険は、ようやく腰を据えて好きなことに取り組めるようになったのであろう、Dave Grohlの大きな自信を感じさせるのだ。Disc.1は豪快なシャウトとロマンチックなメロディがエモーショナルに炸裂する、王道のフーファイ・サウンドが堪能できる。Disc.2では、トラディショナルな楽器の導入に加え、Norah JonesやJohn Paul Jonesといった大物ミュージシャンをゲストに迎え、繊細なアコースティック、ジャズやボサノバ調といった、ロックに留まらない懐の広い楽曲を披露している。
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6th ALBUM
『Echoes, Silence, Patience & Grace』
Originally Released in 2007.09.26
洗練されたハード&アコースティック・サウンドの融合
意欲的なアコースティック・ライヴ作品『Skin And Bones』(2006年)を経て放たれた、通算6枚目となるアルバム。フーファイ節としか言いようのない、熱くエネルギッシュなロックは健在であるにせよ、押し引きをわきまえたバンド・アンサンブルで魅せるバラエティ豊かな楽曲群は、緩急自在の大人のアメリカン・ロックといった雰囲気。リリース時は30代後半、豊富なキャリアを持った男たちによる、王道のロックを展開している。オーストラリア炭鉱事故の被害者に捧げられたギター・インスト曲Track.9「Ballad Of The Beaconsfield Miners」のような楽曲も、付け焼刃ではない説得力を感じさせる。バンドは本作で三度目のグラミー賞を受賞。貫録の1枚であろう。
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7th ALBUM
『Wasting Light』
Originally Released in 2011.04.20
アナログ・レコーディングによる、原点回帰的な裸のロック誕生!
Pat Smearの復帰、名プロデューサー Butch Vigとの20年ぶりの邂逅、Dave Grohl本人の自宅のガレージで敢行された、アナログ・レコーディング。それらの要素は、純度120パーセントの裸のロックを生み出すことに成功した。ラウドであり、ポップでスウィートなメロディも豊富に兼ね備えた、王道のフーファイ節はそのままに、迸る衝動と長い経験から生まれる余裕とが、高次元で融合した作品となっている。NIRVANA時代の盟友Krist Novoselicや、Bob Mould(HUSKER DÜ/SUGAR)をゲストに迎えているところからも、ある種の原点回帰といった意識が働いていたのだろう。通算7枚目となった本作は、各国のチャートで1位を奪取、グラミー賞5冠という快挙を成し遂げた。
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8th ALBUM
『Sonic Highways』
Originally Released in 2014.11.12
壮大なアメリカの大地と、そこに息づく音楽の歴史が体感できる結成20周年記念作!
通算8枚目にして、Dave Grohlを突き動かす、深い深い音楽愛があってこそ作り得た、コンセプチュアルな1枚。アメリカの8つの都市を訪れ、それぞれの歴史あるスタジオで、様々なゲスト・ミュージシャンを迎えて1曲ずつ録音する、というアイディアもさることながら、同時進行でドキュメンタリー・フィルムを制作した彼らの驚くべき行動力、強靭な精神力には頭が下がる思いである。全8曲とコンパクトなボリュームながら、アメリカン・ロックの持つ奥深さ、その歴史を感じさせるサウンドとなっており、キャッチーなポップさこそ控え目だが、味わい深いメロディを、熟練のミュージシャンによるバンド・アンサンブルの妙を、大らかさと渋さが同居したリフを、骨太且つしなやかなグルーヴを、全身で感じ取ってほしい。
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BEST ALBUM
『Greatest Hits』
Originally Released in 2009.11.18
新曲も2曲収録、トップ・バンドのすべてが詰まった最強ベスト盤!
キャリア唯一のベスト盤。活動開始から15年という節目を迎え、この時点ですでにトップ・バンドとしての地位を盤石のものとしていた彼らの道程を、手軽に知ることのできる1枚である。とはいえ、時系列にシングル曲を並べました、という類いのものではなく、1stから6thまでのオリジナル・アルバムから基本的に各2曲程度を時系列バラバラに収録。さらにB面曲のTrack.13「Skin And Bones」が選ばれ、後半に新曲が2曲並び、ラストに名曲「Everlong」のアコースティック・バージョン(日本盤はさらに1曲追加されている)という流れになっているのが興味深い。コアなファンには不満もあるだろうが、単なる初心者向けとは一線を画す内容で、多くのファンにおススメできる好盤である。
▼リリース情報
FOO FIGHTERS
ニュー・アルバム
『Concrete And Gold』
2017.09.15 ON SALE!!
SICP-5600/¥2,200(税別)
※歌詞・対訳付
amazon
TOWER RECORDS
HMV
iTunes
1. T-Shirt
2. Run
3. Make It Right
4. The Sky Is A Neighborhood
5. La Dee Da
6. Dirty Water
7. Arrows
8. Happy Ever After (Zero Hour)
9. Sunday Rain
10. The Line
11. Concrete And Gold
▼配信情報
FOO FIGHTERS
「Run」
iTunes
▼イベント情報
"SUMMER SONIC 2017"
8月19日(土)、20日(日)
東京:ZOZO マリンスタジアム&幕張メッセ
大阪:舞洲 SONIC PARK(舞洲スポーツアイランド)
http://www.summersonic.com/
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