INTERVIEW
GYZE
2021.03.29UPDATE
Member:Ryoji(Gt/Vo) Aruta(Ba/Vo) SHINKAI(Gt) Shuji(Dr)
Interviewer:荒金 良介
-最初は誰もがスタイルから入りますけど、「Oriental Symphony」では自分たちの内側にある感情も楽曲に昇華できたんですね。
Ryoji:そうですね。歌詞を書くうえでメンバーや、ファンのこと、自分自身の身の周りのことも考えて、ああいう内容になりましたから。ただ、そういうコンセプトの話はメンバーに話してないけど、あうんの呼吸で理解していると思うんです。
Aruta:うん、全然わかるっすね。
Ryoji:あと、MV撮影の空気感も感動的で、涙なしには観れないものになりました。
-涙なしには観れないポイントとは?
Ryoji:僕らは中の人間なので、それは観た人それぞれに感じてもらえればいいかなと。
Aruta:メンバーでも感じ方は違うだろうし、最終的にいい10周年だったな、というところに集約した映像になっているから。今までGYZEの活動の中でお客さんが感じてくれたものを組み合わせて、グッときてもらえたらいいなと思います。
-先に観させてもらいましたが、かっこつけずに、ありのままの自分たちを曝け出した映像ですよね。
Aruta:素の状態で臨めましたからね。
Ryoji:あの空気感になれたのはShujiが参加したことが大きいと思う。あと、『ASIAN CHAOS』から雅楽の演奏をしてくれた中川君が、MVに参加してくれているんですけど、それも大きいですね。
-MVを通して、ピースフルな雰囲気が伝わってきますね。
Ryoji:そうですね。撮影してくれた人、写真を撮ってくれたカメラマンとかが身内ばかりで、そこで作った空気感が出ているんじゃないかと。
-ShujiさんはMVに参加していかがでした?
Shuji:単純にとても楽しかったです。あと、以前とはまた違う気持ちでドラムに向き合えるになったんですよ。今まではどう見られているかを気にしていたけど、それを100パーセントなくすことができたんです。ドラマーとはどういうものなのかをすごく考えたから。例えると、"ONE PIECE"のルフィはRyojiなのに......ルフィになりたがっていた自分がいたんですよ。それはバンドにとって良くないけど、それに気づかずにやってたんです。お兄ちゃんだから負けてたまるかという気持ちがあったから、みんなのことを考えたドラムを叩けなくて......今はメンバーみんなのためにドラムを叩こうと思うようになりました。
-そういうふうに考え方が変わったきっかけは?
Shuji:Ryojiさぁ、不安障害を持ってることを言ったほうが楽なんだけど。
Ryoji:あぁ、いいんじゃない。
Shuji:今、僕は全般性不安障害で、それに向き合えるようになったことが大きくて。すごく楽に生きられるし、それが一番のきっかけですね。
Ryoji:僕自身もいろいろあったし、それを含めて大切な作品なんですよ。僕は音楽が成り立てばそれでいいと考えていた時期もあったけど、今回はGYZEのメンバーや、スタッフの人生も作品から感じられるものにしたかったんです。
-それが「Oriental Symphony」が放つポジティヴなエネルギーに繋がっているんですね。
Ryoji:Aruta君もバンドの運営をしているので、立ち振る舞いも変わってきたし、Shujiも自分と闘うことで変わってきたし、SHINKAIさんは僕のギターの先生だったので、全体を見回してくれるお父さん的な存在だし、バンドの体制も変わりましたからね。
-人生や、生きること、命を祝福するエネルギーがこの曲には込められてますよね。
Ryoji:GYZE自体が震災をきっかけに立ち上げて、生きることや、死ぬことを真剣に考えた結果、動き出したバンドですからね。そこがGYZEにとって大きな軸なのかもしれない。
SHINKAI:長編作なのですが、録音するなかで身体に染み込んできたし、歌詞を読んでいいなぁと思ったんですよ。最終的に長く感じず、プレイして心地いい曲になりました。人間としてひと回り大きくなった感じがしますね。
Aruta:シンフォニー(交響曲)を書きたいとは聞いていたけど、メタルのドラムが入っていたので、GYZEでやるんだろうなと思ってました(笑)。
-Ryojiさんは最初にどんなヴィジョンを描いていたんですか?
Ryoji:最初はこういうメタルにするつもりはなくて。30歳になったので、シンフォニーを書こうと思ったんですよ。でも、ワンコーラス書いたときに、やっぱりメタルにしたいなと感じたんです。だから、Aメロのギターの掛け合いはフルートや、管楽器の掛け合いをギターに変換したんですよ。シンフォニーだから、長くなったけど、ドヴォルザークの「新世界より」みたいなイメージですね。ただ、クラシックな曲でもオリジナリティを出したいので、音選びや、歌詞をオリエンタルにしました。
-メロディは童謡のような親しみやすさがあり、歌詞は日本らしい四季折々の描写も取り入れてます。
Ryoji:歌詞は中川君と話して、"ゆらゆら"、"ヒラヒラ"みたいな表現も取り入れました。今も困っているんですけど、この曲は英訳しようがなくて。学校の校歌みたいな歌詞にしたいと思ったし、現世で評価されるのは二の次で、何百年先も残る楽曲を作りたかったんですよ。校歌って聴く人を選ばないし、みんなが学生時代に触れてきたものだから、日本人にスッと入ってくるものだと思うんです。
-その意味では「SAMURAI METAL」とは真逆のアプローチですね。
Ryoji:そうですね。あの曲は外国の方が反応してくれたけど、「Oriental Symphony」は日本の方が聴いて、世界に輸出してほしいと思ってます。
Shuji:僕もヨーロッパ・ツアーを経験して、他の国の文化に触れたときにカルチャー・ショックを受けたんですよ。日本人であることに誇りを持たなきゃいけないのに、自信をなくした時期もあったから。「龍吟」(2018年リリースの1stシングル表題曲)という曲から日本テイストのメロディが強くなったけど、やっぱりDNAが騒ぐんですよね。
-今日お話を聞いて、「Oriental Symphony」に対する聴き方がまた変わりそうです。
Ryoji:今回の3作品を聴いて、GYZEがやりたかったことが見えてくるだろうし、次に会場で会うときは世界中のファンとさらに絆が深まった状態でやれると思うので、楽しみですね。20周年も変わらぬメンツでやりたいし、そのためにはオンリーワンの音楽をやらないと続けられないので。作曲家として、日々勉強していこうと思ってます。
-では、このバンドの最終ゴールというと?
Ryoji:数年前だと、"世界のメタル・フェスのヘッドライナーになる!"と言っていたかもしれないけど、それ以上に大事なことを学べた気がするんですよ。今日1日、全力を尽くすことがいい未来への切符になると思ってます。
-取材する前はこういう展開になると思ってませんでしたが、これからどんな曲が生まれるのか、さらに楽しみになりました。
Ryoji:ぜひそれを記事にしてください(笑)。