INTERVIEW
GYZE
2019.07.10UPDATE
2019年07月号掲載
Member:Ryoji(Gt/Vo) Aruta(Ba/Vo)
Interviewer:米沢 彰
-続く「The Rising Dragon-REIWA- feat. Marc Hudson from DragonForce」は、シングル曲「龍吟」にDRAGONFORCEのMarc Hudsonがゲスト・ヴォーカルとして参加し、Ryojiさんのヴォーカルも録り直したトラックですね。どういった経緯でMarcが参加することになったのでしょうか?
Ryoji:前回入ってなかったパートも入って、なおかつ僕とのユニゾンも増えたっていう形ですね。彼とはチャット仲間というか......何年前から知ってるんだっけ?
Aruta:2015年かな。
Ryoji:そう、それぐらいから連絡を結構取り合ってて、僕らがヨーロッパに行ったときもライヴに来てくれたり、同じフェスに出演したりもして、そのときに"歌って"って言ってみたんです(笑)。DRAGONFORCEの前作(アルバム『Reaching Into Infinity』)にZIGGYの「Gloria」のカバーがあったじゃないですか。
-ありましたね。
Ryoji:「Gloria」を日本語で歌ってる通りMarcは日本語で歌うのが好きで、日本語をしゃべりたがってるのを知ってたので(笑)。
-しゃべりたがってる(笑)。
Ryoji:それで今回日本語の歌で歌ってもらいたいなと。
-頼んだときはどういう反応でした?
Ryoji:"OK!"って(笑)。
-軽い(笑)! Marcってすごくいい人ですよね。元自動車メーカーのエンジニアと言っていました。いい人で、さらに優秀なんですよね。
Ryoji:そう、たしかBMWかなんかの。とにかく優しいですよね。僕はMarcになってからのDRAGONFORCEがすごく好きなんですよ。
-今はもう完全に馴染んでますよね。
Ryoji:年齢的にもAruta君のほうが近いもんね。
-若いですよね。さて、「1945 Hiroshima」という楽曲のテーマは、メッセージ性が強いですよね。このテーマを選んだのはどういった理由からでしょうか?
Ryoji:やっぱり触れないとダメかなと思って。SLAYERが許されるんだから、日本人の俺らが言って何が悪いのかと。この作品のテーマのひとつとして太平洋戦争がありまして。僕らの知り得る中で最も衝撃的なファンタジーではない歴史的出来事っていうのが、第2次世界大戦だと思ってて、そのことについて僕らのようなバンドが触れるっていうのは、当たり前だと考えているんです。僕らは、幸い海外でも活動できたりして日本以外でも知ってくださっている方も多いので、そういったメッセージも入れたいなという。
-全体的なテーマがあってということですね。
Ryoji:雅楽も取り入れていますが、僕らは右翼でもなんでもなく、ただ日本人として、メタルを選んでる身として伝えておきたいものっていう感じです。
-楽曲的にはエモーショナルな表現がすごく多くて、いろんな感情とか場面を、楽器を通じて表現しているっていうのを強く感じました。
Ryoji:爆弾の音をシンバルで表現したりとか、いろんな楽器を使って演出してみたりとかもしましたし。この曲はたしかにメッセージ性もあって重いですよね。扱いにくいし、でも、そのいい部分じゃないことにも目を向けていかないといけないんじゃないかと。そういうことを強く思って書いています。僕は、歌詞とかタイトルをあとから結構付けるんですけど、この楽曲はタイトルありきというか、そのことを書こうと思って作った曲ですね。
-この楽曲は成り立ちが違うんですね。
Ryoji:そうですね。そして、そこからまた「Asian Chaos」に戻ってくると、ひとつの答えがあるんじゃないかな。最終的には、平和が続くといいよねっていうところに着地させたいっていうふうに思っています。
-なるほど。日本盤ではそのあとに「Forever Love」が入っていますね。これはどういった経緯で入ったんですか?
Ryoji:僕ね、カバーが趣味なんですよ(笑)。要は楽曲って、制作してもリリースまですごく時間がかかるじゃないですか。その期間が嫌いなんですよね(笑)。それで、自分の中で消化したいときにカバーとかをするんです。カバーすると勉強にもなるので。その中の1曲がX JAPANの「Forever Love」だったんですよ。この曲は、みなさんご存じの通りバラードで、そのバラードをメタルにするってすごく価値があることだなと。オリジナリティが試されるじゃないですか。それでやってみたいなと思って。あと、X JAPANを好きな方っていうのはきっとGYZEを好きになってくれる可能性があるので、ひとつのGYZEのスタイルみたいなものを集約できたこのカバーが、何かのきっかけになればいいかなと考えました。
-すごく面白いアプローチだなと思いました。
Ryoji:母が昔からhideさんとかを好きだったので、小さい頃から聴いていたっていうのもあって。
-完全にアンセムですよね。
Ryoji:バンドとしても、日本のトップですよね。
-知ってるフレーズ、知ってる歌詞なんですけど、別の命が吹き込まれたような気がしました。
Ryoji:ありがとうございます(笑)。
-そこから、さらにヴィヴァルディの「Winter」が入ってくるんですよね(笑)。これも趣味の延長になるんですか?
Ryoji:クラシックが好きなんですよ。この曲以外にもいろいろやってて、前作だったらベートーヴェンの「月光」の第三楽章のカバーとか。今回入っているヴィヴァルディの「Winter」は特に好きで、「Summer」も好きなんですけど、結構他の人がやりがちというか、選曲しがちなのであえて「Winter」にしまして。ビートを入れて、ヴァイオリンを使ってる全部のトラックをギターで弾いてて、僕の思惑としては、Aruta君にギターを弾かせてステージでやりたいなと思ってるんですけど(笑)。
-それは面白いですね(笑)。3人ギターがいれば結構厚みが出ますからね。
Ryoji:しかも、あの曲はベースが入ってないんですよ。ギターだけで表現できたんです。そもそもヴァイオリンだけの曲なので。それでやってみてトリプル・ギターも面白いかなっていうなんとなくの好奇心はありますね。今僕はヴァイオリンもやってて、この曲を弾くこともあるんですけど、すごく好きな曲なのでメタル風にしちゃいました。
-ベースじゃないんですけど、一番下のパートというか、あれも普通にギターのピック弾きですか? ちょっと音のキレが違う部分があって、なんの楽器だろうって思ってたんですけど。
Ryoji:ヴァイオリンの部分は全部ギターなんですけど、チェンバロは入れてるかな。
-たぶんそれですね。面白い。個人的にはPaul Gilbertを崇拝するレベルで好きなので、こういうアプローチは楽しくてしょうがないです。
Ryoji:Paul Gilbertは雅楽の中川さんも好きなんですよ(笑)。
-(笑)今作アルバムが7月10日リリース、それに先駆けてシングル「Asian Chaos (Far Eastern Mix)」が6月7日配信リリースと一気に畳み掛けるスケジュールですね。リリース以降の予定は決まっているのでしょうか?
Ryoji:9月より"BEGINNING OF CHAOS Tour 2019"をスタートして、東京、大阪、名古屋、札幌、福岡、埼玉、金沢、新潟、長野の9都市を回ります。
-では、最後に読者へのメッセージをお願いします。
Aruta:今回のアルバムは、何事も収まるところに収まった、令和の幕開けに相応しいアルバムとなっております。僕たちのやれることを全部詰め込んだ自信のある作品です。心して聴いてください! よろしく!
Ryoji:今ちょうど北海道は気持ちのいい季節なので、ぜひ北海道にも遊びにきてください(笑)。
Aruta:そうじゃないでしょ(笑)!
Ryoji:Aruta君が全部言っちゃったし、激ロックの読者は釣りの方が興味あるから(笑)。今はサブスクとか、聴ける環境も簡単になってきているし、日本人のDNAに語り掛けるような楽曲にしたつもりですので、ぜひ一度聴いてみてください。間違いなく今回は世界で初めてのサウンドになっているという自負があるので、よろしくお願いします!