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INTERVIEW

the GazettE

2018.06.11UPDATE

2018年06月号掲載

the GazettE

Member:RUKI(Vo) 麗(Gt) 葵(Gt) REITA(Ba) 戒(Dr)

Interviewer:KAORU

-では、話をアルバムに戻しますが、今作の"LIMITED EDITION BOX"には、2017年3月10日に国立代々木競技場第一体育館にて開催された"十五周年記念公演 大日本異端芸者「暴動区 愚鈍の桜」"のライヴ映像が収録されていますよね。"大日本異端芸者"の映像化は待望されていたじゃないですか。個別の映像作品としてリリースする手段もあったのではないかと思うのですが、特典という形態にした理由というのはなんだったのですか?

RUKI:"『NINTH』につけたいね"ということで、前々から決まっていたんですよ。"単品で出すことかい?"っていうのもありますし、『NINTH』の特典という形にも、それなりの意味があると思いますし。

-もちろん、バンドの原点でもある"大日本異端芸者"と、最新の『NINTH』をコンパイルするというアイディアは興味深いものでした。まず『NINTH』を聴いて、そのあとに"大日本異端芸者"の映像をすべて見終えると、アプローチは違うにせよ音楽的にはちゃんと繋がっている部分も改めて発見することができましたし。『TRACES VOL.2』(2017年リリースのバラード・ベスト・アルバム)の制作を通して、『NINTH』の方向性が決まっていったという部分はあるのでしょうか?

RUKI:いろいろ含めてはあるかもしれないですね。基本的には、アルバムを作る前に、"自分たちが今表現する、新しい形のthe GazettE"というテーマが基本にあるんですけど、それは『DOGMA』のときもそうだったんですよ。で、『DOGMA』までは基本それをやり切ってしまって。今回は9枚目のアルバムということで、過去も含めた形で今のthe GazettEを表現できたら、という感じですね。

-『NINTH』は、『DOGMA』のような明確なリファレンスが見えるものではないんですよね。いわゆる"○○っぽい"というのが、あまり見えないというか。成熟したラウドロックであり、実験的でもあり、さらに要所要所で"音楽的な意味でのV系らしさ"を彷彿させるフレーズもあるような。2ビートから突然16ビートに展開する「TWO OF A KIND」や、「裏切る舌」のメロディにもそういう雰囲気を感じました。

RUKI:「裏切る舌」は、昔にやってたこと――バンドをやり始めたくらいのときの雰囲気っていうのを表現した感じですね。

-「TWO OF A KIND」のビートは個人的にとても好きなんですが、このビートを叩く戒さんを早くライヴで観てみたいです。

戒:そうですね~。本番でも音源どおりにできたらいいんですけど(笑)。これは一番忙しい曲なので(笑)。

-「NINTH ODD SMELL」は、リフ・ワークがとても強烈でした。普通、こういう音階にはならないんじゃないかな? というか。

葵:これはRUKIが作ったフレーズだなって。すごくRUKIを感じられる曲ですね。

-この曲に関しては、譜面を見ながらじゃないと覚えるのが難しそうです。アレンジが大変だったのではないでしょうか?

麗:曲を持ち帰ってアレンジするときに、フレーズを読み解くわけですよ。(RUKIの原曲は)ギターをきっちり弾いた状態で入っているわけではないので、"ニュアンスで"っていうのが多いんです。"ここでチョーキングしてるのか? してないのか?"がわからない。それとも"チョーキングになっちゃった"のかもわからない。っていうのを、なんとか拾って擦り合わせていくっていう作業が大変で(笑)。

-なるほど。原曲に入っているものを実際に弾くとなると、そのような大変さがあるんですね。

麗:そうなんですよ。自分で曲を持っていくときは普通にちゃんと弾くわけですけど、変なところで曖昧さのあるチョーキングが入っていたりしてるので(笑)。"曖昧なんだけど、揃える"っていう難しいテクニックを入れてくるので、RUKIはすごい才能の持ち主です(笑)。

RUKI:テクニシャンっていうね。ってか、めちゃくちゃディスってんじゃんよ(笑)。

葵:まぁ、原曲を作るときっていうのはパンチラインも多くなってくるから、"どっちなの?"っていうフレーズもあったりはしますよね。

麗:でも、それがすごく面白かったりするんですよ。無理矢理いく感じが(笑)。

RUKI:えっ......? 知らなかった、無理矢理いってたんだ......。

麗&葵&REITA&戒:(爆笑)

REITA:ベースは基本ユニゾンなので、僕もRUKIを感じてましたよ。RUKIのスメルがぷ~んと(笑)。

-不協和音ギリギリのような部分もありますよね。

REITA:そうそう。だから、この曲だけは"どうやって弾いてるか"を、やたらと検証してたよね。それを擦り合わせて研究してました。そうやったのはこの曲が唯一かな。それくらい複雑だったんですよ。

麗:この曲だけだよね。やたらとピッチがうんたらかんたらとか言ってたのは。

REITA:耳に馴染めばすっと聴けるんですけどね。

戒:自分はわりとやりやすかったですね。合わせるところは合わせて。大きいリズムは大きくとって、オカズでダメ出しくらったくらいです(笑)。

-本作では「THE MORTAL」と「BABYLON'S TABOO」が麗さんの原曲ですが、ご自身で作った曲はご自身でミックスを手掛けていますね。

麗:そうですね。そのぶん、この2曲とは誰よりも向き合ってる時間が長いので、そこを出せないと意味がないなって。

-『TRACES VOL.2』でもミックスを手掛けられていましたが、そこからさらに勉強されたのでしょうか?

麗:『TRACES VOL.2』がすでに勉強になってはいたんですけど、僕はエンジニアでもなんでもないし、経験もないので、それなりにメンバーを不安にさせるようなこともあるんですよ。そのぶん、前もって"こういう感じになるよ"っていうことを、他のエンジニアさんよりも先に出しておかないとメンバーも納得してくれないと思うので、そこは早め早めにやったんですけど、それでもやっぱり時間がかかるな~っていう。

-麗さんは、こうしてインタビューでお話しされているときはとても優しい雰囲気ですが、この2曲は非常に殺伐としている曲ですよね。

RUKI:この人の書く曲は、基本極悪ですよ(笑)。理解し難いんです。1回聴いただけじゃまったくわからなくて、圧倒されるってこういうことだなっていう(笑)。

麗:手グセなんですかねぇ......。でも「BABYLON'S TABOO」は、ギターで圧倒しようと思ったら、逆にヴォーカルに圧倒されて困っちゃいました。音数がすごくて(笑)。結果そのヴォーカルを生かしたら、ギターがすっと後ろに下がることになったっていう(笑)。