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FEATURE

LOUD∞OUT FEST 2016

2016.09.20UPDATE

2016年09月号掲載

LOUDNESS×OUTRAGE主催"LOUD∞OUT FEST 2016"、初映像化!スペシャル・ゲストにANTHEM、海外からLOST SOCIETYを迎えた熱血ライヴ!

Writer 荒金 良介

ジャパニーズ・メタル・シーンを牽引し続けてきたLOUDNESSとOUTRAGE。昨年、この2バンドが音頭を取る形で初開催された"LOUD∞OUT FEST 2015"。何より、この主催2バンドの共演自体が初という話題性もありながら、第1回は大盛況のうちに幕を閉じた。
そして、今年5月1日に2回目となる"LOUD∞OUT FEST 2016"が新木場STUDIO COASTで開催され、ライヴDVDというパッケージで映像化されることになった。昨年同様、計4バンドが出演したのだが、今作にはそれぞれ均等に4曲ずつ収録されている。このDVDは、東京までわざわざ足を運べず、観に行けなかった人にも嬉しい映像集と言えるだろう。なぜなら、イベントの雰囲気を含め、再生画面から各バンドの熱気がビシビシ伝わってくるからだ。

四者四様、有無を言わせないヘヴィ・メタルの魅力を封印!

昨年はメキメキと頭角を現しているHER NAME IN BLOODがオープニング・アクトとして登場したが、今年はフィンランドからイキのいい若武者スラッシャー・バンド、LOST SOCIETYを迎えた。ここ数年はスラッシュ・リヴァイヴァルの機運もあり、MUNICIPAL WASTEやTOXIC HOLOCAUSTといった有名どころを筆頭に、HAVOK、VIOLATOR、SUICIDAL ANGELS、EXUMER、CRISIXなどがシーンを賑わし、彼らもその一群に属するバンドと言えるだろう。実際の映像を観てもらえば、とにかく若さ溢れる暴れん坊っぷり全開のパフォーマンスに目を奪われる。フロント3人がステージを所狭しと動き回り、ジャンプし、長髪を振り乱しながらMEGADETHばりに揃ってヘドバンを決める。EXODUSに通じるソリッドな演奏を振りかざし、前へ前へと突っ走る加速ぶりに圧倒されるばかり。Samy Elbanna(Gt/Vo)は熱きスクリームを放つ一方で、ライトハンドやギター・ソロを率先して弾くテクニシャンぶりも発揮。Mirko Lehtinen(Ba)はPANTERAのメジャー2ndアルバム『Vulgar Display Of Power』、Arttu Lesonen(Gt)はSEPULTURAの2ndアルバム『Schizophrenia』のTシャツを着ているあたりも見逃せない。特に後者は荒々しいスラッシュ・メタルを掲げた作品で、メンバーの音楽的嗜好が窺えて興味深い。ファストな音像からどっしりした作風にシフトした最新3rdアルバム『Braindead』から「Hollow Eyes」もプレイされ、足腰の強いダイナミックなプレイは、若さに任せるだけではない安定感を見せつけている。

そして、これは現場にいたときも驚いたが、主催者の一翼を担うOUTRAGEが早くも2番手に姿を見せた。そのあとに続く先達バンドに対する尊敬の念を込めているに違いない。だが、彼らも来年デビュー30周年というアニバーサリー・イヤーを迎える。これまで、"解散"の2文字が頭をよぎったことは一度もなかったと、丹下眞也(Dr)は取材時に答えてくれたことがある。とはいえ、これまでの歩みは決して平坦ではなかったはずだ。1999年にバンドの金看板的存在の橋本直樹(Vo)が脱退し、バンドは残ったメンバー3人で走り続けることを選択する。それから2008年に橋本が電撃復活を果たし、今日に至る。彼らの代表作にして大傑作の4thアルバム『THE FINAL DAY』に収録の「My Final Day」でOUTRAGEのライヴ映像はスタートしている。日本はもちろん、海外バンドと聴き比べても決して劣ることがない骨太メタル・サウンドで一気呵成に攻め込むパワーは凄まじい。また、自主制作による記念すべきデビュー・ミニ作『OUTRAGE』(当時3,000枚限定生産)に収録の「Step On It」が収録されているのも嬉しい。そのジャケは彼らのステージ背面にも飾られている、バンド・ロゴにバッテン印(通称:ペケレイジ)を施したあの有名なアートワークだ。1987年に作られた楽曲だが、ライヴでもまったく錆びついて聞こえない。さらに昨年リリースしたカバー&未発表曲を集めた最新作『GENESIS Ⅰ』からTHE MOPSのカバー「御意見無用」も披露。OUTRAGEがというより、橋本が日本語で歌い上げているのが新鮮であり、きっちりバンドの色に染めている点も特筆すべきだ。ライヴの流れにいいフックを作っている。

そして、3番手はスペシャル・ゲストとして招かれたANTHEM。実は1回目の"LOUD∞OUT FEST"のときにもオファーをかけていたようだが、昨年はデビュー30周年というタイミングでバンドは多忙を極めていた。今年は満を持しての登場となったわけだ。2014年に森川之雄(Vo)、清水昭男(Gt)、柴田直人(Ba)、田丸勇(Dr)の現ラインナップに固まり、精力的に活動を続けている。とにかく、そのキャリアと反比例し、ライヴは"円熟味"なんて言葉は微塵も当てはまらないパワフルさ。今が最も脂が乗っているのではないか、と思うほどアグレッシヴなパフォーマンスを見せつけている。理屈ではない。観る者を圧倒する人間力が演奏から溢れ出ているのだ。"今、この瞬間にすべてを賭ける!"と言わんばかりの気迫が伝わってくる。以前の取材で、柴田は"音には生き様が表れるべき"と言ってくれたことがあるが、まさに不屈のメタル魂が熱く燃えさかるステージングは目が離せない。3rdアルバム『BOUND TO BREAK』収録の表題曲や「HEADSTRONG」を含め、坂本英三(Vo)時代の楽曲も完璧に歌いこなす森川の絶唱ぶりにも震えが止まらない。もちろん柴田、清水、田丸の演奏陣が一丸となって攻めてくる迫力にも興奮しっぱなし。ANTHEMのすごさはライヴを観てもらうのが一番早いけれど、この映像からも十分すぎるほど強靭なバンド・グルーヴを感じてもらえるに違いない。

最後は今年結成35周年を迎えたLOUDNESSだ。このイベント開催後の6月以降は"Hellfest 2016"(フランス)、"ROCK FEST BARCELONA"(スペイン)、"Wacken Open Air"(ドイツ)など海外の大型メタル・フェスに名を連ね、世界中のメタル・ファンを熱狂させている。その大車輪の活躍ぶりは、世界に誇れるメタル・バンドの称号に値するだろう。二井原実(Vo)の腹の底から歌い上げるパワフルなヴォーカル、また、ギター・ヒーロー 高崎晃(Gt)のプレイは何度観ても惚れ惚れするかっこ良さ。テクニックもさることながら、リフやギター・ソロでは強烈すぎる個性を発揮し、楽曲を華やかに彩る手腕はさすがのひと言。ただ闇雲に派手なプレイに興じているわけではなく、一発で聴き手の耳に残るような大胆且つ繊細なフレーズを繰り出す。そのキラメキは宝石の輝きのよう。思わず、うっとり聴き入ってしまう。名曲を数多く持つ彼らだけに、この日もギター・キッズなら一生懸命コピーした経験があるだろう、「CRAZY DOCTOR」や「CRAZY NIGHTS」を披露。極めつけとなった、疾走感抜群の「S.D.I.」で締めくくり、観客が激しく熱狂している様をカメラは捉えている。問答無用、有無を言わせないヘヴィ・メタルの魅力がここには詰まっている。

四者四様のパフォーマンスが封じ込められ、あの場にいた人も、いなかった人も楽しむことができる好アイテムと言えるだろう。ここ数年は世界各地で多くのフェスが開催されているが、規模感的には個々のバンドをたっぷり吟味して楽しめる最高のフェスが"LOUD∞OUT FEST"だ。来年もぜひやってもらいたい! 心の底から楽しみにしている。


▼リリース情報
DVD
『LOUD∞OUT FEST 2016 / Loudness , Outrage , Anthem , Lost Society』
LOUDOUT.jpg
2016.09.28 ON SALE!!
UIBN-1005 ¥4,800(税別)
[UNIVERSAL MUSIC]
amazon | TOWER | HMV

【収録曲】
LOST SOCIETY
1. Braindead
2. Hollow Eyes
3. Terror Hungry
4. Riot

OUTRAGE
1. MY FINAL DAY
2. STEP ON IT
3. 御意見無用
4. YOU SUCK

ANTHEM
1. BOUND TO BREAK
2. HUNTING TIME
3. HEADSTRONG
4. ONSLAUGHT

LOUDNESS
1. ROCK SHOCK(MORE AND MORE)
2. CRAZY NIGHTS
3. CRAZY DOCTOR
4. S.D.I.

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