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INTERVIEW

ANTHEM

2014.10.15UPDATE

2014年10月号掲載

ANTHEM

メンバー:柴田 直人 (Ba)

インタビュアー:荒金 良介

聞きたいことがあれば何でも聞いてください(笑)!

-最初にそんなことを言ってくださるかたはあまりいないです。

そうですか?まったく問題ないですよ。必要であれば好きな色から足のサイズまで(笑)。

-ありがとうございます(笑)! 早速ですが、今作は曲の粒も立ってますし、作品トータルの出来も素晴らしいですね。

そう言っていただけると、すべてが報われます。ヴォーカルが代わって1作目になるので、各方面から"それは意識しましたか?"という質問を受けるんですが、曲作りを始めたのは去年の11月なんです。その時点でヴォーカル交代が完全に決定していたわけじゃなく、12月にヴォーカルが代わり、その間もずっと曲作りをやってたんですよ。

-そうなんですね。

だから曲を作ってるときは、まず自分が自信を持っていいと思えるアイデアが出るかどうか、そればかり考えてましたね。毎日掘って掘って掘って、そこでコツンと何かに当たればラッキーみたいな(笑)。毎日ひたすら爪がなくなるまでギター弾いてたから、あまり余計なことは考えなかったですよ。で、メンバー・チェンジを発表して、今年1、2、3月もずっと曲作りする中で、気づいたら頭の中で聴こえるのは森川の声だったんですよ。アルバムを出すたびに"今回の新機軸はここです!"みたいなことをどこか意識してやっていたけど、今回はそれすらないんですよ。

-このタイミングで新機軸を考えなかったは、なぜでしょう?

このメンツの1stアルバムですからね。脚色なくやろうと。アレンジを凝った覚えもないし、音楽的な理論を投下したヘヴィ・メタルを作らなきゃという考えもなかった。ただひたすら、このメンツでやったら気持ちいいだろうなと思うものを追求しただけなんです。僕は森川ともう1回やりたかったし、彼はその思いに応えてくれましたからね。ずっとヘルプで手伝ってくれたドラムの田丸も"バンドのメンバーとして一緒にやろうぜ?"と言ったら、喜んで参加してくれた。今回は何かを意識して作り上げたというより、出てきたものを作ったという感覚の方が近いかな。ライヴでも新曲をやったら、腑に落ちることが多かった。ああ、これで良かったんだなと。

-腑に落ちるというのは、もう少し具体的に言うと?

前のラインナップに不満があったわけではなく、例えば今のラインナップで昔の曲をやると、また表情が違うんですよ。まあ 同じ曲なので全然違う曲に聴こえるわけじゃないし曲にもよるけど、"そうそう、こういう感じ!"という声が背中から聞こえてくる感覚(笑)。田丸はずっとヘルプでやっていたけど、正式メンバーになると、心構えも違うんでしょう。アイ・コンタクトを取っても、表情がイキイキしてるんですよ。それが音にも表れる。リズムもすごく躍動しているし。横で歌う森川は、前任者とはまったくタイプが違う声やルックスで、彼(森川)が歌う姿を観ていて、自分の衝動に素直に突き進んで良かったなと。物作りの集団って、この辺でこのコンビネーションは終わりかなのかもなと思ったら、なかなか物は作れないから。僕もやはりメンバーに触発されたいし、そのために必要なメンバー・チェンジだったのかな。

-しかし、前のラインナップでの活動も長かったですよね?

12年以上やってましたからね。

-それからメンバーがふたり交代しても、しっくり来るというのは奇跡的なことじゃないですか?

僕の周りのスタッフは"ヴォーカル代わりますか? そうですかぁ、大変だと思いますよ"と思っていたんじゃないかな。僕は大変なのはわかってるよと(笑)。解散前にも1度経験してますからね。だけど、そうしないと、先に進めない。言葉ではうまく説明できないけど、必ずうまくいくと思ってました。前のラインナップも、英三と本間君とじゃないとやれなかった事という自負はあるんですよ。それは誇りです。でもそれは永遠に続かないんだな、と痛感したんですよ。そう感じたら、違う道に進むしかないじゃないですか。それを受け入れられないファンのかたもいるでしょうけど、そこを追いかけても仕方が無いと思います。僕はANTHEMのリーダーとして、信じる最善策を取ったと思っています。

-ユニバーサル移籍第1弾の前作『BURNING OATH』発表後、この2年間はいろいろあったと思いますが。

長くお世話になっていたビクター・エンタテインメントから、ユニバーサルに移籍するのも僕の中で大きな決断でしたね。 まぁ極論言うと、バンドはどこに行ってもやることは変わらないんだけど。でもあの時ユニバーサルが手を挙げてくれたのはさらなる動機を持つ大きなチャンスだった。実際僕らもフレッシュな気持ちで制作に入れましたからね。前作は評価がすごく高かった。ただ、それと同時にいろんな対価を支払った。

-というのは?

本当に制作にすべてをかけたから。今考えると、あそこであのラインナップのコンビネーションは終わったんだなと。

-燃え尽きた、という感覚ですか?

悪い意味じゃなくてね。俗に言うケミストリーは、あの作品が最後だった。あと、僕も胃ガンという病気が発覚して、やはり人生を振り返ったり、ANTHEMのことを考えるいい機会になったんですよ。30年近くやってきたけど、僕はいつも自分がやりたいことに対して貪欲にやってきたから。周りのスタッフにもすごく感謝していますし、過去を振り返って、ああすれば良かったのかなというのはあるけど、後悔はないかな。 ただ、この先どうなるんだろうと考えたときに、やりたいことがあるなら、やらなきゃいけないなと。で、去年たまたま森川とANTHEM'91というラインナップで2度ステージに立って、実際やってみると、彼も紛れもなくANTHEMの一員なんだなと痛感したんです。森川とも全然やり尽くしてないし、だから僕の中では彼以外には考えられなかった。もし森川から"ANTHEM はもうできません"と言われたら、しばらくお休みしてもいいと考えてました。そういう意味でも病気はひとつの転機だったのかなと。