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COLUMN

ESKIMO CALLBOYのいきなり!チャラアゲ伝説。 vol.17

ESKIMO CALLBOYのいきなり!チャラアゲ伝説。 vol.17

Kevin Ratajczakの日本向けコラム 2016年3月5日・記

バンドをやっていると、ツアー、パーティー、酒だけの人生なんだろうってみんなに思われる。でも真実は、それはほんの半分だってことなんだ。
俺たちはもちろん酒も飲めばパーティーもする。......しかもかなりうまくやっている。だけどその裏には意外にもずっと多くの仕事があるんだぜ!

数ヶ月前、俺たちはPAPA ROACHとFIVE FINGER DEATH PUNCHのヨーロッパ・ツアーから帰ってきた。みんなが想像するとおりの内容だったよ。夜更かし、睡眠不足、何ガロンものウイスキーやジン、良いおしゃべり――キッズ時代のヒーローとプレイするチャンスは普通ない。だから睡眠は選択肢になかったんだ。
地元に戻ると、通常は腐った身体を元に戻さないといけない。バスタブやベッドの中で何時間も過ごして、服を洗濯する。というか、デカい樽の中に放り投げて樽ごと燃やしてしまうんだ。

で、数日するとスタジオに戻る。そこから本当の仕事が始まるんだ。
俺たちは音楽を愛しているし、新曲を書くのはいつでも楽しい。だけどいざプロダクションを始めようとしても何も心に浮かばないときはどうするのか?というか、EPを1枚とフル・アルバム3枚出したあとだと、いろんなアイディアを良いものも悪いものも出してみても、俺たちが大嫌いな、同じことの繰り返しに感じてしまうんだよね......。俺たちはいつも、これまでのどんな曲にも入っていない究極の新しいアイディアを生み出そうとトライするんだ。でもそれって本当に必要なことなんだろうか?

時間が経っても、いいアイディアはまったく発展しなかった。短いリフやパートはできるんだけど、それ自体はクールでも曲には絶対使わないだろうって一瞬でわかるんだ。アーティストとしての仕事っていうのは、工事現場で働くみたいにはいかない。砂の山を左から右へとシャベルで移動するのにどのくらいかかるかはすぐに予想できる。だけど、完璧なアルバムをいつ作り終えられるかなんて決してわからないんだ。1日以内に完成する曲もあれば、完成できずじまいの曲もある。何をもって完成の域に達すると判断するかは個人の感性によるからね。

レコード会社からアルバムのリリースのために締切を与えられると、曲作りに身を入れる手助けにはなるけれど、同時に大きなプレッシャーもかかってくる。そしてそれはやっぱりクリエイティビティにとっては純粋に毒なんだ。だから、自分自身の完璧なクリエイティビティの追求と、締切を守ることのきわどい綱渡り状態になるんだ。

曲を書きたいという意思に日々の生活がどんどん支配されていく。スーパーに行っても、前の晩に夢見たメロディを口笛で吹いてしまう。卵と牛乳の間に立ってそのメロディを後々のために録音しておく姿はバカみたいに見える。あるいは、夜中に目が覚めたとき、頭の中に浮かんだアイディアを忘れてしまうのを恐れて、下の階に下りて、パソコンを立ち上げて、ステージ・ピアノでちょっと録音しておく。それも午前3時にね。
あるいは、渋滞にはまっているときに、昨日のギター・リフにぴったり合いそうな素晴らしいビートを感じてハンドルをビシッと叩くところに、他のドライバーたちが通りすぎる。こいつ発作でも起こしたのかみたいに思いながらね。
俺が他人と一緒にいるとき上の空みたいに見えるって周りのやつらに言われてちょっと当惑してしまう。でもまたプロダクションに入るときのあのお手上げ状態と闘うにはこれしかないんだ。

こういうのは新しいアルバムの曲作りを始めるときにつきもののマッドネスなんだ。でも時間が経てばいつも乗り越える。いつものワークフローが軌道に乗れば、心がソングライティングのモードに完全に突入するからね。そこからは羽が育っているような気分だよ。あのぎこちない感触はなくなって、最終的には自分の作ったものに満足できるだろうって確信がもてるんだ。
俺たちは今その状態にある。
新しいアルバムに良いコンセプトを見出したし、曲の良いアイディアもいくつか録音したし、とびきりクールでスペシャルな計画もいくつかある。......未来は明るそうだぜ!

さて今度はまたツアーだ!
今年のロシア・ツアーが近づいている。つまりまたツアー・モードに戻って、荷物をまとめて、パンツを畳んで、出発の準備をするってことだね。
俺たちにとって、ひとつとして同じツアーはないんだ。ツアーは毎回新鮮でエキサイティングなアドベンチャーを与えてくれる。だから俺たちの最新情報に注目しておいてくれ。近いうちに日本にも行けるかもしれないしね。そっちにいるみんなに会いたいんだ。
元気でな!!!

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