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LIVE REPORT

[激ロックpresents"Burning Blue"]

2024.03.01 @下北沢LIVEHOLIC

Writer : 菅谷 透 Photographer:小山田祐介

激ロック/Skream!プロデュースの下北沢LIVEHOLICにて、ライヴ・イベント[激ロックpresents"Burning Blue"]が開催された。今回のイベントは、激ロック編集部が選んだ5組が出演。ラウドロックという共通項を持ちながらもそれぞれカラーの異なる多彩なサウンドを奏でる、まさにこれからのシーンを担っていくであろうバンドたちが一堂に会するということで、開演前からフロアには多くの観客が集まっていた。

1番手で登場したのは、男女混合4ピース・バンドのWisteriaだ。曲中にミイ(Vo)のラップを取り入れた軽快なロック・サウンドの「Sign」で口火を切ると、「No Way」ではダンス・ビートとファンキーなベースで揺らし、持ち前の明るくポジティヴなムードでフロアを包み込む。龍星(Gt)のギター・ヒーロー感溢れるアグレッシヴなプレイも目を惹いた「ラブトレイター」を挟んで、「シグナス」ではエモーショナルな歌声を響かせ、フロアと物理的だけでなく心の距離まで近づけていく。MCではバンドが"Peaceful Days With You..."というモットーを掲げて活動していることを伝え、今この瞬間を楽しんで笑顔で帰ってほしいと呼び掛けると、まさにそんな想いを具現化したようなフレッシュなナンバーの「ピース」を披露。多幸感溢れる空間へと変化させ、ステージもフロアもお互いにピース・サインを交し合ったあとは、アッパーなサウンドの「インベーダー」から爽やかな旋律が沁みる「White」をプレイ。終始エネルギッシュなパフォーマンスで、会場を笑顔で満たしていった。

続いてステージに姿を現したのはThe Cards I Play。Daniel(Gt)が"このシーンの未来を見せてやるよ"と告げ、トラップ・ビートから凶悪なギターを叩きつける「BEST OF LUCK」で一気にフロアの治安を悪化させると、キャッチーなメロディも併せ持った「FATE」で観客の心を掴んでいく。Joji(Vo)が"俺たちと一丸となって次へ次へと進んでいこう"と焚きつけ、「BLACK AND BLUE」ではその熱量に呼応するかのようにモッシュ・ピットが発生、会場の温度がグッと高まる。Jojiが自らの胸を拳で叩き"俺たちはここで音楽やってんだ、お前らもここで受け止めてみろ"と投げ掛けたあとは、「AFTERGLOW」、「Run」が投下され、ステージも観客も相乗効果で熱気が増していった。この公演の前日の2月29日で4周年を迎えたという彼らは、4年間の中でファンに支援されて立つことができたステージもあったと感謝を述べ、そこから"このバンドももちろん、ラウドロックのシーンももっと上まで俺たちが担いでいかないといけないと思う"と宣言。シーンを引っ張っていく覚悟とともに届けられた「TIME」は、多くの観客の心に響いたことだろう。

CrowsAliveは静謐なSEから、強烈なビートを叩きつける「Higher」でライヴをスタート。壮大なスケールの荒涼とした風景を脳裏に描き出すアンサンブルと、シャウトからハイトーンまで自在に変化するKenta(Vo)のヴォーカルはその表現にさらに磨きが掛かった印象で、気を抜くとただただ見入ってしまいそうなほど。そんなフロアの光景も予測できていたのか、尖った音像と美メロが身体を揺らす「Neo Romancers」、シンガロングも配置された「Dawn」で観客を巻き込んでいく構成も巧みだ。KentaはMCで"同じ世代の5バンドが集まったことに意味があると思う"と語り、この日会場に集結した5組が新しい何かを生み出し、上へ登っていくことを見届けてほしいと呼び掛ける。熱いメッセージのあと披露された「Twilight」で未来を照らすような希望のサウンドを鳴らすと、ラストはエモーショナルに疾走する「Feather Bloom」で観客を昂らせ締めくくった。今年は名古屋から東京へと行く機会を増やすそうなので、さらに注目を集める1年となりそうだ。

ライヴも終盤に差し掛かるなか登場したLIKE A KIDは、オルタナ・ロックのエッセンスが耳を惹く「Still」でじわじわと陶酔させると、アップテンポでシンガロングも用意された「ISTG」で一気にオーディエンスを巻き込んでいく。この日唯一のツイン・ギター体制で、重厚ななかに叙情的なメロディを忍び込ませるアンサンブルもクールだ。kento(Vo)は10年前に激ロックのフリー・ペーパーを読んでいたと述べたあと、"今度は俺らがロックのカルチャーを作る番だよ"と「What we have」、「M.Y.S」をドロップ。どこか懐かしくも新しい、力強くも温もりのあるエモ・サウンドでフロアの温度を高めていき、曲中の"ラウドロックのシーンが復活できるように俺らもバンドを続けるから、お前らも好きなことを諦めんな"という言葉も胸を熱くさせた。オーディエンスひとりひとりに寄り添うような「e.R.a.S.e. M.e」を届けたあとは、「SORRY」で再びテンションを上昇させ、次へとバトンを託していった。

この日のトリを務めたのはWHISPER OUT LOUDだ。壮大なイントロから披露された「Face My Fate」で幕を開けると、「MAGIC」では80sポップを思わせるスペーシーなシンセやドラム・パッドを大胆に取り入れ、表現力豊かなMotokichi(Vo)のヴォーカルと、心地よいカッティング・ギターでさながらディスコのような洒脱で親密な雰囲気へと一変させていく。"全バンド最高にカマしてくれました。でもお前ら気づいてねぇよ、メイン・ディッシュはこれからだぜ"というギラついたアジテートのあとは、グルーヴィなダンス・ビートが自然と身体を揺らす「One More Time」、シアトリカルで荘厳な「AsUrA」、ダーク・サイドを覗かせる「27club」と多彩なサウンドを提示し、オーディエンスを色とりどりの音の旅へと誘っていく。切なくも優しい歌声を響かせた「STEP」を経て、最後は「Memories」のシンガロングでフィナーレへ。会場に集まった人々に向けた"ここにいることを誇りに思う日が必ず来る"という言葉が、実に頼もしかった。

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