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INTERVIEW

The Cards I Play

2022.04.07UPDATE

2022年04月号掲載

The Cards I Play

メンバー:Joji(Vo) Daniel(Gt) Wataru(Ba)

インタビュアー:山口 智男

昨年6月、再出発の第1弾となった配信シングル「Making History」をリリースしたときには、すでにほぼ完成していたというThe Cards I Play(以下:TCIP)の1stフル・アルバム『Retrograde』がついにリリースされた。そこに収録された全11曲はコロナ禍の中、メタルコア・バンドからメタルコアだけにとどまらない音楽性を追求するバンドに変貌を遂げたTCIPの果敢な挑戦の記録。多くのことを乗り越え、ついにリリースに至ったアルバムに対する思いを3人が語ってくれた。


3人全員そうだと思うけど、このアルバムは限界を超えてやっとできた


-昨年6月に「Making History」をリリースしてから、アルバムに先駆け、計5曲のシングルを配信リリースしてきたわけですが、バンドの活動が軌道に乗ってきたという実感もあるのではないでしょうか?

Daniel:ライヴ活動も昨年11月に再開したんですよ。再開っていうか、20年2月に初ライヴ1回やっただけで、コロナ禍になって活動が止まっちゃったので、ほとんど活動開始という気持ちなんですけど。

Joji:しかもメンバーひとり抜けちゃったしね。

Daniel:僕ら完全にインディーズなので、時間もお金も全部、自分らで作らなきゃいけない。ある程度のメンタルがないとやっていけないんですよ。そこから月1、2本のペースでライヴをやっていって。自主企画もちょくちょくやりながら、今に至るんですけど、だいぶ活動している感はありますね。

-3人の結びつきがより強くなったところもあるのではないですか?

Daniel:そうですね。3人しかいないんだから、3人でやっていくしかねぇじゃんってなりました。逆に、この3人はいろいろケンカもしたけど、仲良くなったんじゃないかな(笑)。

-どんな理由でケンカになるんですか?

Wataru:やることが多くなって、余裕がなくなるっていうのが一番多いのかな。あれもやらなきゃ、これもやらなきゃってなったときに"お前あれやってねぇじゃん"、"お前もやってねぇだろ"ってなる(笑)。3人になって、ひとりあたりのやることが増えたんですよ。

Daniel:マネージャーもスタッフもいないから、ほんとに全部、この3人でやってるんで。

Wataru:大丈夫? 仲が悪いって思われないかな(笑)。

Daniel:仲が悪かったらケンカもできないから。

Joji:ひとり、それを乗り越えられなかったんですよ。

Daniel:あぁ、そうだね。3人で一緒に乗り越えてる感はありますね。

-いろいろなことを乗り越えてきたうえでのアルバム・リリースなので、思うところもいろいろあると思うのですが、ついにアルバムをリリースした心境を聞かせてください。

Daniel:アルバムというひとつのちゃんとした作品を出して、やっと第1歩を踏み出せたと思います。名刺代わりの1枚というか、今のTCIPを全部詰め込んでるんで。フィジカルでもリリースするんですけど、ちゃんと作品として手に持てるっていうのは嬉しいです。

Joji:Danielと僕が始めた頃に比べたら、経験も知識も比べ物にならないというか、最初はカラオケルームでレコーディングしてましたからね。

Daniel:スタジオ代高いから入らなくていいやって(笑)。

Joji:そこからちゃんとしたレコーディング環境でレコーディングするようになって。曲を作る楽しさは変わらなかったんですけど、そのあとの部分がめちゃめちゃ大変で。最初はレコーディングに対して、できることだけやっていけばいいって感覚だったんですけど、曲のバリエーションが増えていったら、練習が必要になってきて。たぶん、3人全員そうだと思うけど、このアルバムは限界を超えてやっとできたから。音楽的な意味でも、バンドを続けるという意味でも、めちゃめちゃイチから育てあげたひとり目の子供を、難産でしたけど、やっと世に送り出すことができるなって。そんな感動とともに不安もありますけどね。それがどういうふうに評価され、リスナーにとってどういう位置づけになっていくのかって考えると。でも、それも含め、楽しみですね。Wataruはどう?

Wataru:僕が入ったときがちょうど「Making History」の制作に入ったぐらいだったから、アルバムの制作の長さが、僕が加入してからの歴史みたいなところがあるんですよ。だから、この曲を作ってたとき、自分はどうだったのかなって思ったりしますよね。入りたてのときはめちゃめちゃ遠慮していて、ふたりに任せきりみたいなところがあったけど、やっぱりシングルを重ねていくにつれ、意見も言うようになったし、さっきも言ったようにケンカもするようになったし。今に至るまでの自分の歴史がこの1枚に全部入っているから感慨深いって思います。

Daniel:曲はできてたにせよ、ベース・アレンジは結構加えたもんね。

Wataru:最初の頃は、ほんとに言われたことを、わかりましたってやってるだけだったんで。そのあと関係性もそれなりにできてきて、発言もある程度できるようになって、自分なりの色を出せるようになっていった、そのプロセスみたいなのが一曲一曲にちゃんと出てるから、そういう作品が世に出るって嬉しいですよね。

-全12曲の予定が全11曲になったのは、なぜ?

Daniel:1曲削ったんですよ。ゴリゴリにトラップ・メタルみたいな曲を半分遊びで作ったら、めっちゃかっこいいかもってなったんですけど、"ちょっと待て。このアルバムに入れるの? これはさすがに浮きすぎだろ"ってなって。"どこかでリリースはしたいけど、このアルバムにはハマらないからやめておこう"ってなりました。

Joji:ちゃんとレコーディングまでしたうえで判断したんです。

-TCIPの全部を詰め込んだアルバムの聴きどころをひもとくうえで、先行リリースした5曲について、選曲理由も含めリリース順に聞いていったら、みなさんが自分たちのどんなところを打ち出そうとしているのかが明らかになって、わかりやすいと思うのですが、「Making History」の次に「Take my Hand」を選んでいますね。なぜその曲が2曲目に相応しいと考えたのですか?

Daniel:諸事情あって、「Take my Hand」のMVは作れなかったんですけど、本当は「Making History」とMVを繋げる予定だったんですよ。それが2曲目に選んだ理由です。「Making History」はライヴの楽しさを表現しているんですけど、「Take my Hand」は、そんなふうに自由にライヴができたパンデミック以前の世界を、あの頃は良かったよねって振り返る曲なんです。ただ、コロナ禍のパンデミックって表現しちゃうとつまんないから、50年後のサイバーパンク的なディストピアをイメージしてたんですけど。そういう世界観のコントラストをつけるには、トラディショナルなロック・サウンドの「Making History」と、同期とかシンセとかも使ったフューチャー感もある「Take my Hand」の流れが、ちょうどいいと考えたんです。

-その次に出した「When The Suns Collide」は、ミドル・テンポのオルタナ・メタル・ナンバーです。

Daniel:一番ナウいメタル(笑)。今回のアルバム、ロックっぽい曲が結構多いから、メタルコアのルーツに戻ったような曲もできるよってポイントで聴いてほしかったんです。

Joji:俺たち、シングルをリリースするとき、そういうふうに選ぶことが多くない? "次どんなことができる?"とか、"この曲だったらわくわくするんじゃない?"とかって。

-そこでメタルコア・ルーツをアピールして、次に選んだのが「Shades of Gray」。この曲はメタルの影響に加え、哀愁も聴きどころではないかと思います。

Daniel:唯一の泣きメロだし、しかもすごく壮大な曲だし。他のシングルと比べて、リフがあるわけではなく、わりと音数を絞ったサウンドで、あと俺的にはJojiのヴォーカルがめちゃ輝いているから、それも表に出したかったっていうのもあるし。今までのTCIPが出したことがない曲だったから、こういう曲を表に出してみて、どういう反応があるのか確かめたかったってところもあります。

Wataru:そしたら一番反響があったんですよ。

-そういう曲を最後に持ってきたのは、曲調だったのか、歌詞だったのか?

Daniel:僕はアウトロのピアノが印象的だったので、アルバム全体のアウトロってこれじゃねって最後に持ってきました。

-そして、シングルとして最後にリリースした「Run」は、それまでの曲とはがらっと変わって、ブギっぽい土埃が舞うようなハード・ロックで。

Wataru:漢のリフです(笑)。

Daniel:もともと好きだった80年代のLAメタルのルーツが出ましたね。その時代のロックを、どうモダンに出せるかっていう。ブレイクダウン前のエレクトロっぽいビートだったりとか、Aメロで鳴っているシンセ・ベースだったりとか、そういうミックスはめちゃくちゃ工夫しました。ただただハード・ロックだと、ね?

Joji:クサいだけになっちゃう(笑)。デモが送られてきたとき、正直、大丈夫かなって思いましたもん。でも、しっかりまとまったね。そしたらMVにもなって(笑)。

Daniel:LAメタルのルーツを大々的に曲に反映したことはなかったから、それを思いっきりできて楽しかったですね。

-そういう曲を、もろに80年代風にやるのは、TCIPとしては違うわけですね?

Daniel:何をしてもそのままはやりたくない。違う要素を加えて、僕らのものにしたいっていうのはあります。僕、ヒップホップもめっちゃ好きで、「Run」はヒップホップっぽい音を同期で使っていて。たぶんわかる人はわかるんですけど、ブレイクダウン前のピロンっていう音は、いろんなヒップホップのビートによく使われているんです。それを入れてみたら面白いと思って入れてみたんですけど、気づいてくれる人、未だにいないんですよ(笑)。