INTERVIEW
The Cards I Play
2022.04.07UPDATE
2022年04月号掲載
Member:Joji(Vo) Daniel(Gt) Wataru(Ba)
Interviewer:山口 智男
-その他にも印象的な曲があって、UKロック風のアンセミックな「Break Me Down」は、イントロのエスニックなフレーズが......。
Daniel:あぁ、エジプシャン・スケールですね。
-エジプシャン・スケールっていうのがあるんですね。
Daniel:あるんですよ。ただ、まったく意識してなかったですけど(笑)。
Joji:血が騒いだんでしょ?
Daniel:そう。俺、エジプトのハーフだからね。あとからそれに気づくっておもろくね(笑)?
-あっ、そうだったんですね!
Daniel:そうなんです。だから、エジプシャン・スケール使ったんだぜって言うタイミングを狙ってました。
Joji:え、そうなの? 先に言っちゃって、ボケ潰しみたいになっちゃったじゃん(笑)。
-エスニックなフレーズがところどころで鳴っているのはそういうことだったんですね。
Daniel:血が騒いだんでしょうね(笑)。
-バラードも「Wherever you are」と「Sometimes」、2曲収録されています。
Daniel:やっぱりやりたいですからね。楽しいし、聴くと気持ちいいし。どっちの曲も音数、わりと絞ってるんですけど、コード進行とメロディが曲のすべてだよってことがわかるのがバラードだと思うんで。別にアコギ1本でも、ピアノ1台でもいい曲になるし、どんなかたちで表現してもいいと思うから、作曲家としては今後もやっていきたいし、もっと増やしていきたいですね。
Wataru:このシーンのバンドってバラードをあんまりっていうか、全然やらないから、そこに挑戦できる選択肢があるのもこのバンドの強みですよね。
-音数を絞ったとおっしゃったとおり、「Sometimes」は、ほぼ歌とシーケンスとギターの単音のリフだけという。
Daniel:音数を絞るってリスクなんですけど、僕らそういうポップスだったりR&B的なアプローチ好きなんですよ。例えばBillie Eilishって"音数を絞る"の極みだと思うんです。ベース・ラインとヴォーカルだけでもこんな素晴らしい曲が作れるのかみたいな。自分たちもそういうことをやってみたかったのもあるし、「Sometimes」は、最初は音数を絞ったところから、どんどん音が増えていって最後には壮大になるっていうのもやりたくて。だから、最初のAメロはオクターブ1個下で歌ったり、Bメロと2サビ目からオクターブ上で歌ったり、ブリッジにシャウトを入れたりというふうに、どんどんでかくしていくってテーマで作りました。
-そんなふうに様々な曲がインストを含め、全11曲収録されているわけですが、おひとりずつフェイヴァリット・ソングを教えてください。
Joji:ヴォーカルとしてって観点から言うと、「Shades of Gray」か、「Sometimes」かな。曲がいいし、マジでテイクもめちゃくちゃ重ねたし、普通にムズいことをやっているんですけど、そのなかで限界を突破できた。他の曲もところどころ、限界突破してるんですけど、その2曲は1曲通して限界突破しているんです。
Wataru:僕は1曲目の「Golden Age」が好きですね。意外というか、たぶんふたりは選ばない曲だと思います。僕、途中加入なんですけど、加入する前に観たTCIPのライヴの1曲目がこの曲だったんです。そのとき、かっこいいと思って。このバンドに入りたいと思いながら観ていた最初の曲なので、自分の中で思い入れが強いというか、(サポートで)A Ghost of FlareのTakuya(Ba/SABLE HILLS)さんもいるし、C-GATEのHiroki(Dr)君もいるし、錚々たるメンバーでやってるなって憧れもあったし、その曲に自分のベースが入って、しかもシャウトのコーラスもしてるんですけど、自分の声が入ったってことも嬉しかったんですよ。
Joji:この曲、全員の声が入ってるんじゃない?
Wataru:Danielもラップしてるし、僕もシャウトしてるし。みんなで歌っているっていうのもいいなって思います。3人の声が入っているって唯一じゃない? シンガロングのコーラスじゃなくてって意味では。
-最後にDanielさん。
Daniel:なんだかんだ「Sometimes」なのかな。本当は「Run」か「Making History」って答えようと思ったんです。ロックだし、それがTCIPだし。でも、「Sometimes」は挑戦というのもあるし、「Sometimes」を書いたときって、7曲ぐらいできたところで曲作りがスタックしてたんですよ。全然いい曲できない、アイディアが出てこない、どうしようみたいな感じになっていて、1回ゼロから作り直してみるかってできたのが「Sometimes」だったんですけど、それができたことでスタックを乗り越えたっていうのもあるし。歌詞も僕の中で一番思いを込めたというか、ラヴ・ソングに聴こえるかもしれないけど、TCIPへの愛を語っているんですよ(照笑)。一生やるぞっていう約束みたいな曲で、しんどいときもあるけど楽しいこともあるし、つらいこともあるけど、やっぱり幸せだよねみたいな。本音というか、バンドをやりながら感じてることというか。それを歌詞に書いたんですよ。
-そんなTCIPはアルバムのリリース後、どんな活動をしていこうと?
Joji:ツアーを回って、またすぐEPを出すよね?
Daniel:そうなの!?
Joji:だって、曲を作るの楽しくない?
Wataru:Danielも作りたいって言ってたよ。
Daniel:たしかに作りたい欲は高まってるけど。
Joji:ただアルバムだと時間がかかるから、出すとしたらEPぐらいの曲数がいいんじゃないかって。
Daniel:その前に、もう1曲MVを出して、アルバムをもうちょっと宣伝しますけどね。
-これから作る曲は、どんな曲になりそうですか?
Daniel:今回のアルバム、いろいろなことを試したので、それをガッチャンコするのか絞るのか、さらに広げるのか。それこそアルバムから外した曲はゴリゴリのラップ・メタルなんですけど、その方向でやってみるのか、やってみないのか。次どういうところに挑戦するのか考えているところではあるんです。たぶん作り始めてみたら、こんな曲ができたぞってなると思うんですけど。
Joji:そうだね。その時々の感覚だもんね。これ、入れたら面白いじゃんっていう。だから、どんな曲ができるのか楽しみにしていてください(笑)。