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INTERVIEW

The Cards I Play

2021.07.03UPDATE

2021年07月号掲載

The Cards I Play

Member:Joji(Vo) Daniel(Gt) Yosaku(Gt) Wataru(Ba)

Interviewer:山口 智男

6月30日に約1年半ぶりとなる配信シングル「Making History」をリリースしたThe Cards I Play(以下:TCIP)。同曲を含む全12曲のフル・アルバムをすでに完成させているという彼らは、来年2月のアルバム・リリースに向けて、そこから順々にシングルをリリースしていくという。コロナ禍のなか、メタルコア・バンドからメロディ重視のモダン・ロック・バンドに変貌を遂げた彼らには、ここから再スタートという意気込みもあるに違いない。バンドに訪れた転機について訊いた。

-TCIPはいつどんなふうに始まったのでしょうか?

Daniel:いつってはっきり言うのはちょっと難しいんですけど、Jojiと僕は高校時代から親友だったんです。当時、彼は違うバンドをやってたんですよ。僕はバンドこそやってなかったけど、ギターをやっていて、彼がそのバンドをやめたとき、"じゃあ一緒にやるっしょ?"ってなったんです。

Joji:高校の頃から話はしてたんです。"こういう音楽もあるんだよ"ってメタルをDanielに聴かせてあげたら、"かっこいいね!"ってテンションがあがって、"バンドをやろうよ!"と盛り上がってたんですよ。さっきDanielが言ったように、僕はそのとき、違うバンドをやっていたけど、"いつかやりたいよね"って言ってましたね。そのあと、高校を卒業してからになるんですけど、僕がそのバンドを抜けたタイミングで、"改めてやらない?"って話になって、ふたりで曲を作り始めたんです。そういう期間を経て、一昨年だっけ?

Daniel:そう。19年の5月に真面目にというか、正式にバンドとしてやっていこうって、1stシングル「Something More」を配信リリースしました。

Joji:で、ライヴもしたいよねってなって、去年の2月に初ライヴもやったんですけど、それに合わせて2曲目のシングル「Full Circle」(2020年1月)も配信でリリースして、サポートも含め、メンバーもちゃんと入れて、ライヴの練習もして、渋谷CYCLONEでライヴ・デビューしたのが2月29日でした。

-へぇ、それが初ライヴだったんですか。そのときにはWataruさんとYosakuさんはもうメンバーだったんですか?

Wataru:いえ、まだです。"ベースやりたいです"って僕のほうから声を掛けたら、"とりあえず初ライヴやるから見に来いよ"って言われて、お客さんとして観にいったんですよ。

Daniel:Yosakuはその頃、僕らのカメラマンやデザイン周りをやってくれてたんです。

Joji:バンドのロゴとか、ライヴのマーチャンダイズとかね。

Yosaku:「Full Circle」のアートワークから関わり始めたんですけど、最初はクライアントだったんですよ(笑)。

Joji:友達だったでしょ(笑)?

Yosaku:いや、クライアントだよ(笑)。

-そして、Yosakuさんは今年3月に正式にメンバーとして加わった、と。

Yosaku:もともと、Jojiとは彼が前にやっていたバンドの頃からの知り合いで。19年の夏頃にたまたま再会したら、"また新たにバンドを始めるんだ"って言っていて、そこからまた付き合いが始まったんです。

Daniel:「Something More」をリリースした頃、バンドのSNSを始めたんですけど、他にフォロワーが全然いないなか、Yosakuだけめちゃくちゃ"いいね"してくれたんです(笑)。

-「Something More」をリリースしたときは、メタル・バンドと掲げていましたね?

Joji:メタルというか、メタルコアですね。

-このバンドを始めたとき、ふたりはメタルコアをやりたいと考えたわけですね?

Joji:僕が前にやっていたバンドがメタルコアだったんです。あと、Danielとバンドをやろうって盛り上がったきっかけがやっぱりメタルとかメタルコアとかだったから、じゃあメタルコアをやるかって最初は考えてたんですけど、曲を作っているうちにそこからどんどんやりたいことが変わってきたり、お互いにスキルも上がってきたりして、"俺たち、結局、何が好きなの?"ってなったとき、メタルよりもロックが先に来たんですよ。

Daniel:子供の頃からギターを弾いてるんですけど、始めた頃は80年代のロック――BON JOVI、VAN HALEN、GUNS N' ROSESとか聴いてました。でも、人生で最初に好きになったのはQUEENなんですよ(笑)。小3ぐらいのとき、友達がQUEENのCDを持ってきて、それをみんなで一生聴いてました。それをきっかけにギターを始めたんです。そのあと、BLINK-182とかSUM 41みたいなポップ・パンクとか、ヒップホップにもハマったんですけど、高校でJojiに出会ったらASKING ALEXANDRIAを聴かせてくれて。シャウトうるさいけど、クリーンはかっこいいって(笑)。共通点がそこだったから最初はメタルコアから始めましたけど。

-Jojiさんももともとのルーツはロックだったんですか?

Joji:そうですね。Danielと同じようにVAN HALENとか、GUNS N' ROSES、MÖTLEY CRÜEとか、日本で言うLAメタルとかですね。でも、そもそもは小4のときにSLIPKNOTを見て、めちゃくちゃかっこいいと思って、ロック・スターになろうと思ったんですよ(笑)。そこから一番重いメタルを聴き漁ってからLINKIN PARKに出会って、歌モノもかっこいいとなりました。そのあと、TAKING BACK SUNDAYとか、THE GET UP KIDSとか、MY CHEMICAL ROMANCEとか、エモにハマったんですけど、中学2年のとき、前のバンドに入って、またメタルに戻ったんですよ。そのときはスクリーモも多かったですけど。主にはUNDEROATHとか、THE DEVIL WEARS PRADAとかでした。この頃はメタルをあまり聴いてないですね(笑)。最近はポップスを聴いてます。山下達郎とか、海外で言ったらBillie Eilishとか。

Daniel:僕はまだメタルを聴いてますけどね。

Joji:帰ってくるとかっこいいんだよね。やっぱり自分たちの中にあるからね、メタルが。

-WataruとYosakuさんも音楽のバックグラウンドを聞かせてください。

Wataru:僕はもともと、高校までサッカーやってたんですけど、飽きちゃってやめたとき、当時、好きな子が軽音楽部でギター・ヴォーカルをやってたんです。不純な動機なんですけど、その子と付き合いたくて、軽音楽部に入りました(笑)。最初はメンバーをかき集めて、ELLEGARDENのコピーをやってましたね。当時、地元にメロコア推しのライヴハウスがあって、中学時代の先輩にDizzy SunfistのmoAi(Dr/Cho)さんがいたんですよ。そのライヴハウスにDizzy Sunfistとかがよく来ていて。だから、日本のメロコアから入ったって感じです。その後、ハードコア・バンドとも対バンするようになって、メタルコアも好きになっていきました。

-Yosakuさんはいかがですか?

Yosaku:音楽を好きになったきっかけは、僕が小学生の頃、親父が好きだったL'Arc~en~Cielなんです。当時、周りがYUIとか、ORANGE RANGEとか、あとジャニーズとかを聴いているなかで僕ひとりだけそういうバンド音楽が好きだったんです。そこから中学までずっとヴィジュアル系も含め、ちょっと暗めの音楽にハマってたんですけど、中3の時、UVERworldを聴いてバンドを始めて、地元である静岡のバンド・シーンで歌モノよりもハードコアのようなバンドをやることが多かったので、そういう音楽にもハマりました。その後、ARCHITECTSとか、WHILE SHE SLEEPSとか、結構UKの音楽にのめりこんで、OASIS、ROYAL BLOOD、NOTHING BUT THIEVESといったUKの様々な音楽ばかり聴くようになったと思ったら、また歌モノに戻ってアイドルを聴いたり、J-POPを聴いたり、メタルとポップスを交互に聴いてる感じです。

Daniel:それぞれに聴いてきた音楽はごちゃごちゃですね(笑)。

Joji:ほんとに(笑)。

-20年2月に初ライヴをやった時点では、その後も精力的に活動していこうと考えていたと思うのですが、新型コロナウイルスの影響でライヴ活動ができなくなってしまったじゃないですか。そこから今回、活動を再開するまでの間にバンドの方向性として大きな変化があったようですね?

Joji:急に変わりましたよね(笑)。

-それはライヴができない間、制作に打ち込むなかで生まれたものなんですか?

Daniel:そうですね。がっつりライヴ活動をやっていくぞって予定だったんですけど、それがいったん崩れたんです。でも、時間を無駄にしたくなかったから、"曲は作っていこう"って話になって。コロナ禍がいつ終わるかわからないから余裕ができたというか、最初は、とりあえず活動できるように音楽を作ろうって感覚で、わかりやすいメタルコアを作ったんですけど、ちゃんとこのバンドのサウンド、どういうふうにしたいんだっけ? みたいなのは――

Joji:見つめ直す期間になったよね。

Daniel:そう。僕も作曲のプロセスを180°変えて、歌メロから曲を作っていったんです。それまではギターを含めたインストから作ってたんですけど、頭の中で思いついたメロディをiPhoneのボイスメモで録って、それをパソコンで打ち込んで、曲の構造を作って、コード進行を決めてからやっと楽器隊に触るっていう作り方をしてみました。最初にできたのが第2弾シングルになる予定の曲だったんですけど、バンド・サウンドがガラっと変わったからちょっと心配しながら、"でも、これ、良くない? この方向性でやりたい"となりました。そこから"ライヴがいつできるかわからないから、フル・アルバムを作っちゃおうぜ"って話になって、もうひたすらメロディから曲を作るというやり方で作っていったら12曲できたんですよ。

-歌メロから作ってみようと思ったきっかけがあったんですか?

Daniel:たぶん、Jojiと僕はもともとメロディが好きで、頭に残るメロディとか、コード進行でどういう感情を作れるとかってところに興味があったんですけど、正直これまではそれをやるスキルがなかったんですよ。

Joji:以前は、お互いに思いついたメロディをボイスメモに入れて、送り合っていたのに、それを曲にするんじゃなくて、そのときある曲に合うメロディはどれだってはめこんでたんですよ。でも、中には、このメロめっちゃいいじゃんっていうのもあって、それに対して、"じゃあ俺、曲つけるわ"って、あるときやってみたら、そこからガラッと変わったよね?

Daniel:そうだね。インストから作ると、もうコード進行ができちゃってるからそれに合うメロディしか作れない。それが制約になってたんですよね。だから、頭に残るメロディ――それはヴォーカルももちろん、リード・ギターもそうなんですけど、とりあえず頭に残るものを作りたいと思ったのが一番のきっかけだったのかな。

Joji:残ってくれないと意味がないですから。歌詞を書いた意味もなくなるし、みんなでレコーディングして、曲をリリースする意味もなくなるし。結局、聴いてもらえる状態になってからが作品だと思うので、何聴いてるの? って言ったら、たぶんヴォーカルを一番聴いてると思うので、そしたらそれが耳に残らなきゃダメだよねって。

Daniel:メロディからコード、コードからリフを作ってというこれまでとは真逆のやり方がやりやすくて、前の作り方に戻るのはもう無理だと思いますね(笑)。

Joji:そうやって作った今回の曲は、全曲アコースティック・バージョンが作れるんですよ(笑)。

Daniel:それもデカかったです。アコースティック・バージョンが作れる曲にしたいと思って。

Joji:コードとメロディが噛み合ってるからね。ピアノだけでもできちゃう。

-そういう作り方をしていったなかでメタルコアだけにとどまらないアレンジや音色の使い方が出てきたわけですね?

Daniel:自然と出てきましたね。

Joji:もともと、凝り固まってなかったので、"こういうのもかっこいいよね"、"ああいうのもかっこいいよね"、"今ならできるよね"っていうのが俺たちの中で出てきて、"じゃあ、これもやってみよう"、"あれもやってみよう"となって、今回作った12曲ははちゃめちゃだよね(笑)。

Daniel:いい意味でね(笑)。たしかに、いろいろなジャンルとかスタイルとか、テイストとかが入っていて面白いものになりました。