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INTERVIEW

The Cards I Play

2021.07.03UPDATE

2021年07月号掲載

The Cards I Play

Member:Joji(Vo) Daniel(Gt) Yosaku(Gt) Wataru(Ba)

Interviewer:山口 智男

-12曲の中にはバラードも入っているそうですね。

Daniel:2曲入っているんですよ。そういう挑戦もそういうプロセスだからこそできたと思います。

-そこからヴィジュアル面も変わってきたんですか?

Daniel:いえ、こっちがもともと、僕たちの自然体なんですよ。前回のヴィジュアルってとりあえずこのシーンに染まらないといけないと思って。

Joji:革ジャン着とけばいいでしょ、みたいなね(笑)。

Daniel:でも、なんか違くね? って。2月のライヴが終わって、時間の余裕ができてから、改めてバンドのことをしっかり考え直したら、それまでのスタイルってあんまり俺たちらしくないよね。もっと各メンバーの個性とか自然体を生かそうってなって、ほんと自然とこういうヴィジュアルになりました。

-WataruさんとYosakuさんは今回の変化については、どう感じていますか?

Wataru:僕が入るか入らないかのときにすでに曲作りを始めていて、こういう方向性になるんだろうなとはわかってたんで、大賛成でした。というのも、このバンドに入る前にJojiさんのクリーンが好きだと思ったんですよ。それもあって、クリーンがどんどん前に出る曲調になったので、個人的にもいいなと思いました。

Yosaku:僕も加入前から12曲のデモを聴かせてもらってたので、今の形になるのはわかってたんですよ。そのあと、制作の状況を見ながら、メンバー各々のスキルも上がっていくし、バンドもまとまってきて、士気も高まっていったので、いいアルバムになると確信した状態で加わりました。だから、曲作りには関しては何もしてないんですけど......。

Joji:でも、他の部分で貢献してるじゃん。

Yosaku:そうですね。自分の役割として、今回の「Making History」のアートワークやMVは作らせてもらったので。

-今回、作った12曲をアルバムとして来年2月にリリースするまで、「Making History」を皮切りに12曲の中からシングルとして順々にリリースしていくそうですね。

Daniel:そうです。アルバムをリリースするときには絶対、ライヴをしたい、ツアーもしたいという気持ちがあって、いつツアーできるのかなと考えたら、来年だったらイケるでしょって。ただ、もう初ライヴから1年半ぐらい経ってるんで、さすがにこれ以上、何も更新しないのは良くないと思って、アルバムを来年リリースするにせよ、それに向けて、シングルを順々にリリースしていきつつ、アルバムがリリースされたときには一気に勢い良くツアーできるように計画を立てました。

-第1弾リリースとして、「Making History」を選んだのはなぜだったのでしょうか?

Joji:かっこいいからです(笑)。

Daniel:そうだよね(笑)。TCIPの古い要素も残しつつ、ガラっと変わったという印象も同時に与える曲なのかな。リフの感じは前とそんなに変わってないけど、メロディ重視になったところや同期を使い始めたところはガラっと変わった印象もあるし、個人的にはメロがすごいキャッチーだと思うし。インパクトという意味でも、第1弾に相応しいと思って、これを選びました。

Joji:僕はもう、聴いて! 聴いて! って感じです。俺、頑張ったよ! って(笑)。

Daniel:たしかにヴォーカル頑張ったよね。

Joji:前のバンドで、僕はスクリームを担当してたんですけど、スクリームが2秒ぐらいしかない曲でやっていくってなったとき、ヤバい。練習しなきゃと思って、むちゃくちゃ練習した賜物が「Making History」なんです。しかも、最初にレコーディングした曲でもあるんですよ。

Daniel:最初に歌入れしたよね。

Joji:頑張ったという意味も含め自信作です。もちろん、全曲が自信作なんですけどね。

Daniel:それまでって歌メロをMIDIで打ち込んでたんですよ。だから、実際声を入れると、どう聴こえるのかって僕の想像でしかなかったんです。で、実際、Jojiに歌を入れてもらったら、想像以上にかっこ良くなって、そのときのインパクトが結構大きかったんです。そういう意味でも愛着のある曲ですね。

Joji:歌詞の内容も、コロナ禍以前に、みんなが楽しめていた日常をコンセプトに置いていて。もちろん大きなテーマとしてですけど。細部になると、いろいろなことを歌ってるんですけど、全体的なイメージとしては、今はいろいろ規制があって、楽しめない状況だけど、こういうときに戻りたいよねっていうポジティヴなものを最初に出したかったというのもあります。

Daniel:歌詞はライヴの体験を具体的に表現しているんですよ。Aメロがバックステージ、Bメロがステージにいるときの気持ちで、ブリッジがクライマックスっていうふうに具体的に言葉にしていて、今、ライヴができない状況だからこそ、せめて音源でライヴを思い出してほしいという気持ちもあります。

-そうだったんですか。僕はTCIPの来るべき未来を謳い上げているんだとば思っていました。

Joji:それもあります。

Daniel:サビは結構それで。

Joji:ステージに上がって、"俺たち最高!"ってなってる場面なんで(笑)。

-曲も明るくて。

Joji:そうですね。MVもそうだよね。

Yosaku:MVを作るにあたっては、メンバーからたくさん意見を貰いながら形にしていったんですよ。「Making History」はコロナ禍以前の世界観を表現しているんですけど、第2弾シングルのMVは、その続編になっているんです。

Joji:2部構成なんですよ。

Daniel:第2弾シングルはコロナ禍の中で楽しかった頃を振り返るノスタルジーを歌詞で表現しているんですけど、MVはコロナ禍を最大限に表現するために結構ディストピアな世界観になってるんです。楽曲だけじゃなくて、MVも含め、表現したいんですよ。それもあってYosakuに入ってほしかったんです。バンド内でクリエティヴを作っていきたいという志向があって、Yosakuをめちゃくちゃ誘惑しました。

Joji:誘惑? 勧誘じゃないの(笑)?

Daniel:たまに日本語が変になるんですよ(笑)。でも、コロナ禍のおかげってわけじゃないですけど、コロナ禍がなかったらそのままメタルコアのままライヴしてたかもしれない。そういう意味では、いいきっかけにはなったんですよ。

-どう捉えるかですよね。

Joji:ほんとに見つめ直す時間になったから、しんどいこともあるけど、そこだけはありがたいっていうか......言い方は違うかもしれないけど。

-Wataruさんはベーシストとして、「Making History」にどんなふうにアプローチしたんですか?

Wataru:ほとんどギターとユニゾンですからね。むしろMVのほうを頑張りました(笑)。僕以外の3人はメタルコア・シーンに馴染んでた人たちなんですよ。僕だけどこの馬の骨みたいな。ほんと、このシーンに関わりがなかったので、だからこそこの1曲で、どれだけ周りにインパクトを残せるかってことは意識しました。

Daniel:Wataruはこのシーンっぽくないところが良かったんですよ。個性があって。

-今後、バンドとしてはメタルコア・シーンに軸足を置きつつ、活動の範囲を広げていこうと考えているんですよね?

Daniel:メタルコアなのかな。ぶっちゃけライヴも1回しかやったことないんで、メタルコア・シーンに所属しているとは思ってなくて、新曲を順々にリリースしていきながら、逆にどのシーンに当てはまるのか知りたいかな。

Joji:そうだね。

Daniel:ジャンルとしてはもうメタルコアじゃないと思ってます。

Yosaku:そういう限られたシーンだけで終わるバンドにはなりたくないですね。そこから普段、そういう音楽に馴染みのない人たちにも届くような活動を今後もしていきたいです。限られたシーンで戦うっていうよりも、できるだけ多くの人たちに聴いてもらうことが、このバンドが活動するうえでの大事な目標なんじゃないかな。

Daniel:そうですね。とりあえず俺らの音楽を聴いてっていうのが一番ですね。それがメタルなのか、ロックなのか、ポップなのか、なんと言われるのかはわからないけど。

-対バンしたいバンドはいますか?

Daniel:僕はcoldrainとSurvive Said The Prophet。

Joji:そうだね。

Daniel:メタルコア・シーンから始まって、どんどんロックになって、より多くの人に聴いてもらってというところは憧れてるし、リスペクトしているし、同じステージに立てるように頑張りたいです。Jojiは前のバンドでサバプロ(Survive Said The Prophet)と対バンしたこともあるんですよ。

Wataru:僕はCVLTEですね。

Joji:いいね!

Wataru:それこそダウン・チューニングの界隈っぽいけど、ヒップホップをはじめ、他の要素も取り入れているところにシンパシーを感じます。

Yosaku:僕はUVERworldと対バンしたいです。小さいハコでもライヴをする、日本を代表するバンドだと思っているので、自分たちがゆくゆく成長していった先でいつかやれたらいいですね。

Daniel:もっと大きな話をすると、最近、みんなUKの音楽が好きなんですよ。BRING ME THE HORIZON、WHILE SHE SLEEPS、ARCHITECTS。そこらへんとはマジで対バンしたいです。UKってどのバンドも独特のサウンドを持ってるところが面白いんですよね。みんなそれぞれに味がある。それがかっこいい。王道のことはあまりやらないんです。そういうところには憧れますね。

-ところで、アルバムはもう完成しているんですか?

Daniel:曲は完成しているんですけど、本番のレコーディングとミックスおよびマスタリングを同時進行でやっているところです。

-ミックスとマスタリングは海外のエンジニアが担当しているそうですが、どんなコネクションがあったんですか?

Daniel:いや、まったくなかったんです。そこが面白くて。

-つまり、いきなり連絡したんですか?

Joji:そうです。飛び込みです(笑)。

Daniel:マスタリングをやってもらっているTyler Smythは、FALLING IN REVERSE、I PREVAIL、BLESSTHEFALLとかを手掛けていて、グラミーにも2回ノミネートされているスーパーマンなんですよ。個人的に一番好きなミックス・エンジニアで。でも、そんな人とできるわけないじゃんと思ってたんですけど、メールするだけならタダじゃんと思って、「Full Circle」の音源と一緒に"ミックスお願いできないですか?"って送ったら、返事が来て。

Joji:"めちゃかっけぇじゃん"って。

Daniel:ただ、スケジュール的に忙しいからマスタリングだけならって言うから、ぜひって。じゃあ、ミックス・エンジニアを探さなきゃいけないとなって、いろいろな音源を聴き漁った中で印象に残ったのがANNISOKAYというドイツのバンドのギターをやっているChristoph Wieczorekだったんです。彼はエンジニアもやっていて、ヴォーカル・ミックスがすごくきれいなんですよ。しかも、雰囲気を作るのもうまいから、今回のアルバムに合うんじゃないかと思って、その人もメールで直接問い合わせたっていう。Tylerもそうでしたけど、返事が来たときにはほんと死ぬかと思いましたよ(笑)。