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FEATURE

WHISPER OUT LOUD

2024.08.05UPDATE

新たなステージへの道のりを自ら切り開く強力ナンバー シーンに大きなうねりを起こすニューEP『ECHOES』

Writer : 菅谷 透

Members:Motokichi(Vo) Kanato(Gt) TK(Ba)

表現者である以上、どんな状況であっても 自分たちに限界を作らず、最高の楽曲を作っていきたいです


東京を拠点に活動するWHISPER OUT LOUDが、全6曲を収録したニューEP『ECHOES』を完成させた。1stアルバム『CIRCLE OF LOVE』(2023年リリース)から約1年半ぶりのリリースで、バンド初となるEPは、より洗練された楽曲を揃え、新たなステージへの道程を自ら切り開くようなパッションに満ちている。そんな新作について、メンバーのMotokichi、Kanato、TKのコメントを交えつつ迫っていきたい。

2022年より現体制で活動を開始した彼らは、自らの音楽性を"オルタナティヴR&B/ロック・バンド"と表現し、ジャンルにとらわれないサウンドでライヴ・シーンを中心に高い評価を得てきた。なぜこうした音楽性へ至ったのか彼らに問うと、非常に多様なバックグラウンドが窺える回答が返ってきた。

Motokichi:楽曲に関しては、自分たちが目指す目標が海外の舞台ということもあり、海外のポップスであったり、R&Bからの影響を強く受けています。でも、ただ洋楽の流行りに乗っかるだけではなく、各々がその音楽に対して理解を深め、自分たちなりのオリジナリティと混ぜ合わせた結果、生まれた音楽性なんだと思います。影響を受けたアーティストは、ONE OK ROCK、Justin Bieber、Shawn Mendes、Dan Lancaster等で、特にDan Lancasterからはものすごく影響を受けています。

Kanato:僕らは非常に様々なジャンルから影響を受けていて、それを咀嚼した上で自分ならこうするなと思ったところから今のサウンドや楽曲になっています。もっとこういう曲が聴きたいな、でも見つからないな......それならば自分で作ってしまえばいいというところから作曲を始めました。影響を受けたアーティストはLINKIN PARKや、DIRTY LOOPS、INTERVALS、ISSUES、2WEI、Charlie Puth、THE WEEKND等です。あとは、映画やゲームのサウンドトラックなどからも大きく影響を受けています。

TK:自分たちの音楽を形容する言葉がなかなか見つからなかったなかで、オルタナティヴR&B/ロック・バンドという言葉はしっくりくるなと思い、そう表現するようになりました。僕は企業に就職して営業マンとして働いていたのですが、WHISPER OUT LOUDの音楽に出会い、仕事を辞めて上京しバンドに加入しました。自分がステージに立ちたいと思ったのは、SUPER BEAVERのライヴを観たことがきっかけです。
ベースのプレイに関しては、海外のR&Bやポップス、ヒップホップ、ゴスペルなどが好きで、その影響を受けています。

彼らは2024年に入ると、1月に"NO MATTER LIVE"(Zepp Sapporo)、2月に"ZEPHYREN 10th Anniversary A.V.E.S.T project『鼓動』"(国立代々木競技場 第一体育館)、6月に"SATANIC CARNIVAL 2024"(幕張メッセ 国際展示場9-11)と、大規模なイベントへ立て続けに出演が決定。SNSでも大きな反響を呼び、バンドの知名度をグッと上げる、まさに転機と呼べるような結果となったが、大舞台でのパフォーマンスが決まった際は不安な気持ちもあったのだという。

Motokichi:楽しみな気持ちと、不安な気持ちの半々でした。今まで経験したことのない未知の領域に踏み入れるワクワク感と、そこで自分たちのベストを尽くせるのかどうかっていう不安が入り混じった複雑な感情でしたね。実際にプレイした結果は、まだまだ壁は高いな、という気持ちでした。でもそれと同時に自分たちの音楽の可能性も大いに感じました。

Kanato:大きな舞台が決まった時はもちろん嬉しかったです。ただ飛び跳ねるような嬉しさというよりは、より大きなステージでライヴができることにワクワクしてたという感じです。作編曲をするときは大きなスケールをイメージしているので。プレイしたときは単純に"気持ちいい"という印象でした。バンドの持つサウンド・スケールとやっぱり合うなと思いました。いつか絶対に自分たちの力で大きなステージに立ちたいです。

TK:決まったときはもちろん嬉しかったんですけど、それ以上に気が引き締まりました。どうすれば観てくれたお客さんが、WHISPER OUT LOUDが一番良かったと言ってくれるか、対バンのバンドをビビらせれるか、ということを考えていたのと、実際にプレイしてみて、自分たちの曲の世界観と会場の規模感がマッチしていて、めっちゃ気持ち良かったです。ただ、O.A.ではなく本編で呼んでもらえるようになるには、もっと成長していかないといけないなと強く思いました。

そんな大型イベントへの出演経験も大きなインスピレーションの1つになったであろう今回のEPは、スタジオ・ワークとしての楽曲の強度を高めつつ、ライヴでの盛り上がりも脳裏に浮かぶような仕上がりだ。"よりキャッチーに、そしてより大きなサウンド感で勝負をしたい"というMotokichiの言葉からも、新たなステージへと進む意志が窺える。

Kanato:大型イベントの出演は、まだ自分たちを知らない多くの人に観てもらえる素晴らしい機会でした。僕らの曲は複雑に音をレイヤーすることが多いのですが、今回のEPはレイヤーしつつも、初見でも僕らの良さをしっかり感じてもらえるような聴きやすさや、ライヴでプレイしている時の気持ちの高鳴りを意識しました。また、何度も聴き込んでふと気がつくような面白さもあると思うのでじっくり聴いてほしいです。

Motokichi:でかいステージ、でかい会場、たくさんのお客さんの視線、それらを全て掴み得るために、よりキャッチーに、そしてより大きなサウンド感で勝負をしたいと思いました。でもこれは大型イベント出演に限らずの話ですね。 表現者である以上、どんな状況であっても自分たちに限界を作らず、最高の楽曲を作っていきたいです。

こうして完成に至ったのが、従来のファンだけでなく新たなリスナーにもリーチするであろう強力作『ECHOES』だ。作品のタイトルに込めた意味を訊くと、興味深い答えが返ってきた。

TK:今年は大きなイベントやステージも経験していくなかで、自分たちの発信する音楽を受け取ってくれる人の声や、想いや、感情に気付く瞬間が多かったんですよね。"日々の繰り返しの中に自分たちの音楽が響いていてほしい"っていうテーマとともに、その反響がより大きく広くこだましていく未来をイメージしてこのタイトルを付けました。

EPのオープナーであるTrack.1「Face My Fate」は、本作の楽曲の中で最初にリリースされた楽曲で、先に触れた大型イベントでも披露された楽曲だ。この曲の制作背景について訊くと、意外なインスピレーションを明かしてくれた。

Motokichi:壮大で、且つキャッチーで、攻撃力も兼ね備えた曲を作りたくて、まずはサビメロから作り始めました。でもなかなか思い浮かばなくて。そんなときに実写版の"キングダム"を観たときの興奮、感情を思い出したんです。立ち向かうこと、運命に向き合い、もがき続けることの過酷さ、そして、それと同時にある美しさ。"これだ!"ってなって、そこからあっという間に曲全体のメロディまで完成しました。なかなかライヴでの表現が難しい曲ではありますが、観てくれるお客さんには僕が"キングダム"から受けたインスピレーションを身体全身で感じてもらえるように頑張ります。

Kanato:Motokichiがデモを聴かせてくれたとき、馬が駆けている情景が浮かびました。サビの疾走感はまさに、"キングダム"からのインスピレーションにマッチしているなと思って。それを踏まえて、ビートや美しい響きをよりダイナミックに引き出すためのブラッシュアップを加えたアレンジを取り入れました。

続くTrack.2「Find Me」は、バンドがこれまでに発表した楽曲の中でもかなりアップテンポでラウドなナンバーに。ライヴでの強力な武器になるであろう、新境地とも言えるような楽曲だ。

Kanato:この曲は軽快なビートとは裏腹に、"闇にのまれて自分がどこにいるかも分からない状態"をイメージして作りました。"ここから抜け出して頑張るぞ!"ではなく、闇の中でただ苦しくてもがいている曲です。あえてこうしているのには、自分が過去に同じような状態にあったとき、苦しいけれど別にこの状態が間違っているとか悪いことではないと感じたからです。もちろん抜け出したいとか開放されたいとは思っていますが。この状態から抜け出せずとも、もがき続けられればそれでいいかなと思っています。

TK:「Find Me」はKanatoのデモ音源の段階で、曲のテーマがある程度固まっていたので、それをもとに歌詞を書きました。やりたいことが見つからないまま、ずっともがいていた昔の自分の姿も少し重ねています。この曲は音源だけで完結ではなく、ライヴで進化していくと思うので、どう変化していくか自分たちも楽しみです。

Track.3「Talking To Myself」はダンサブルなトラックに、バンドの意志表明のような歌詞が綴られている楽曲だ。制作背景を訊くと、意外な苦悩の言葉が返ってきた。


WHISPER OUT LOUD - Talking To Myself (Official Music Video)


Motokichi:最初は大人の男女の色恋沙汰をダンス・ミュージックで表現しようと思っていました。でもあまりしっくりこなくて。もっと等身大の内容にしたいと思って、改めて歌詞を書き始めました。ちょうどそのときに悩んでいたのがライヴ・パフォーマンスについてで、僕等はラウド系のイベントにお誘いいただくことが多くて、ライヴをするたびに本来魅せたいものから離れていっている自分がすごい嫌で。でもイベントに来るお客さんは刺激的なものを求めているだろう、という思いから、パフォーマンスも激しく、煽りもたくさん入れるようにしていました。要は何が言いたいかっていうと、自分が何をどう魅せるべきなのか分からなくなってしまったんです。ライヴに対する苦悩を、自分が魅せたい音楽に乗せて表現しました。未だに答えは導き出せていないです。これは僕の永遠の課題曲なのかもしれないですね。

続くTrack.4「Take Control」は懐かしさのあるポップ・ロックも取り入れたサウンドに、トップを目指す意志が歌詞から感じられるナンバー。Motokichiの力強いコメントからも、楽曲に対する手応えが感じられる。

Motokichi:大型イベントに出演させていただき、想定以上の空気感を前に、自分たちの未熟さを痛感し、よりいっそう音楽への責任感を持ちました。歌詞は自分たちを奮い立たせるために作り、意思表明のために余計な言葉はいらない、という思いから曲の長さも短くしました。"主導権を握る"。この1曲が、お客さんも音楽シーンも巻き込んで、僕らを次のレベルへと上げてくれることは間違いないはずです。

Track.5「You are Mine」は本EPで言うと「Find Me」とは対極に位置するような、ポップな方向へと振り切った楽曲だ。こうした楽曲の振り幅も、WHISPER OUT LOUDの魅力の1つだろう。

Motokichi:「You are Mine」は、本当の意味で心に寄り添ってくれる優しくて温かい曲を作りたいっていうのがきっかけでした。となると、内容的にはラヴ・ソングかなと思って。でも僕はハッピー・エンドなラヴ・ソングはあまり好きじゃなくて、バッドな要素も入っているほうが美しさがあって好きなんですよね。1stアルバムの『CIRCLE OF LOVE』に入っている「The Last Day」もそうですね。あの曲は地球最後の日に大切な人と過ごす瞬間を切り取った曲です。ハッピー・エンドじゃないんですよ。「You are Mine」も、永遠の幸せを否定し、いつかは来る別れを前に、どれだけ大切な人と過ごす一日一日を大切にできるか、っていう曲です。僕の実体験も組み入れた曲でもあります。愛ってどう定義していいか分からないですけど、僕が思う愛はそういうものです。

Track.6「By Your Side」はEPの最後に相応しい、壮大なスケール感を提示するナンバー。人気曲「Memories」(『CIRCLE OF LOVE』収録曲)のように、ライヴのラストを飾る楽曲へと成長することが期待できる1曲だ。


WHISPER OUT LOUD - Memories (Official Music Video)


TK:まさしくライヴの最後に演奏することをイメージして作詞しました。最近溺愛していた愛犬が死んでしまったり、憧れの人に会えたり、出会いや別れが多くて、過去でも未来でもなくて、今を一番に大切にしたいという想いと、誰かにとって帰って来れる場所になるような、そんな楽曲に成長していってほしいと思ってます。

Kanato:この曲は、人は誰しも生きていくなかで挑戦したり、失敗したり、時に迷い、時に自分を見失うこともあると思いますが、"それでも味方だよ。たとえ離れていたとしても"というような想いを込めています。味方がいるということはとても心強いですが、この曲も安心感や力を与えてくれる曲になったら嬉しいです。作編曲の部分では、内側から力が湧いてくるようなリズムや、今までのわりとクールな音源というよりはライヴ音源寄りなサウンドで、この曲を聴くなかで変わる心情とリンクしたサウンド、楽曲構成を意識しています。

次のレベルを目指す強い意志とともに生み出された『ECHOES』は、きっとシーンに大きなうねりとなって広がっていくことだろう。そして9月21日には、本作を表題に掲げた"WHISPER OUT LOUD 1st ONEMAN SHOW -ECHOES-"の開催も決定している。初のワンマン・ライヴということで、今回の公演に懸ける意気込みも並々ならぬものになっているようだ。彼らの当日への想いを語った言葉を紹介して、本稿を締めくくりたい。

Motokichi:キャリア史上初なので僕たちも未知の領域で。だからこそ、遊びに来てくれるお客さんと一緒に踏み出す、次のステージへの第一歩を記念する本当に特別な日なんです。もちろんソールド・アウトを目指しています。でもこれは売り上げ云々じゃなく、僕等の世界を、最高の音楽を少しでもたくさんの人に体感してほしいという思いから掲げた目標です。僕等がなぜマイクを握り、ギター、ベースを弾いているか。その本質をぜひともその心で感じに来てほしいです。絶対後悔させません。待ってます。

Kanato:ワンマンだからこそできるパフォーマンスがあるのでドキドキしています。初ワンマンなので初披露ですね。僕ららしいライヴでこの日にしかできないライヴを届けたいです。

TK:早い段階からこのワンマンを開催することを決めていたので、かなり気合が入っています。自分たちにしかできない幅の広さを表現しつつ、しっかり全員が楽しめるような空間を作りたいです。そこに、この記事を読んでくれているあなたが来てくれることを望んでます。


▼リリース情報
WHISPER OUT LOUD
1st EP
『ECHOES』
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