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LIVE REPORT

ARCH ENEMY

2023.02.22 @Zepp DiverCity(TOKYO)

Writer : 菅谷 透 Photographer:MASAYUKI NODA

ARCH ENEMYがジャパン・ツアー"DECEIVERS JAPAN TOUR 2023"をスタートさせた。これまでに幾度となく来日してきたARCH ENEMYだが、単独での来日は実に5年ぶり。さらに、強力な最新アルバム『Deceivers』を引っ提げてのツアーということで、初日公演のZepp DiverCity(TOKYO)には平日にもかかわらず多くの観客が詰め掛けていた。

オープニングBGMとしてMOTÖRHEADの「Ace Of Spades」が流れたあと、イントロと共にステージ前面の"PURE FUCKING METAL"と記された幕へメンバーのシルエットが映し出される。幕が切って落とされると共に放たれたのは、最新アルバム収録の「Deceiver, Deceiver」だ。パンキッシュなビートは観客を即座に焚きつけ、フロアには無数の拳が上がっていく。続いて演奏されたのはAlissa White-Gluz(Vo)期の代表曲と言える「The World Is Yours」。威勢良く激烈なドラミングを叩き出すDaniel Erlandsson、どっしりと土台を支えるSharlee D'Angelo(Ba)のリズム隊の上で躍動するツイン・ギターはまさに鉄壁のアンサンブル。プレイ・スタイルだけでなく、立ち振る舞いもストイックなJeff Loomis、時折フロアに笑顔を向けるMichael Amottというキャラクターの違いも面白い。そしてAlissaは、そんな楽器隊にも負けず劣らずのブルータルなヴォーカルを繰り出しながら、華のあるステージングも披露。聴覚でも視覚でも楽しませる強靭なパフォーマンスを展開していった。

Alissaの"また日本に来ることができて嬉しいよ"というMCを経てスリリングな「Ravenous」が投下され、メロディに合わせてこの5年間の想いをぶつけるような大合唱が起こる。ヘッドバンギングを誘発させる「War Eternal」に続いて、「In The Eye Of The Storm」ではAlissaがフラッグを掲げ、フロアとの一体感を高めていく。"ニュー・アルバムからの曲が聴きたい?"と放たれた「House Of Mirrors」では、強烈なハイトーン・ヴォイスやメロディをなぞったスクリームも披露。前バンドの活動もあって、Alissaが"歌える"ヴォーカリストなのは周知の事実ではあるのだが、改めてその巧さに驚かされる。ヘヴィなリフの「My Apocalypse」ではスマホのライトが掲げられ、最新アルバムからのファスト・チューン「The Watcher」では勇壮なメロディが奏でられ、ブレイクに合わせて拳が宙を舞う。観客がいかに『Deceivers』を聴き込んできたか、そしてどう評価しているのかが窺える瞬間だ。「The Eagle Flies Alone」ではAlissaが鷲をイメージしたであろうローブを羽織って登場し、羽ばたくように腕を伸ばしながら歌唱。こうしたシアトリカルな演出も、今のARCH ENEMYは深い説得力を持って表現しているし、それだけのカリスマ性がある。

流麗なタッピングのイントロから幕を開ける「Handshake With Hell」で、ライヴは後半戦へ。パワフルなクリーン・ヴォーカルからデス・ヴォイスへとシームレスに切り替わる楽曲はライヴでもド迫力だ。「Sunset Over The Empire」ではコール&レスポンスが繰り広げられ、けたたましいサイレンと共に始まった「Blood On Your Hands」では"Remember!"に合わせて演奏を止め、観衆の咆哮が響き渡る。ファンもバンドも、この自由な空間を熱望していたことが伝わってきた。本編ラストには「As The Pages Burn」が奏でられ、MichaelとJeffによる圧巻のギター・プレイで締めくくった。

ピアノのイントロと共に楽器陣が再び登場すると、「Enemy Within」からアンコールがスタート。Alissaが今度はキラキラと光るギリー・スーツのようなローブを纏って現れたのだが、若干シュールな見た目でも怒濤のサウンドの前ではなんだか格好良く見えてくるから不思議だ。続けて「Burning Angel」で畳み掛け、熱気をさらに加速。Jeffの流麗なソロを挟んで、インスト曲の「Snowbound」ではMichaelの哀愁漂うフレーズが炸裂。途中にギターを使って観客とコール&レスポンスを行うと、大歓声を受けて感慨深そうにガッツポーズする姿が印象的だった。クライマックスには「Nemesis」が投下され、誰もが"One for all, all for one"を叫ぶ最高潮の盛り上がりへ。叙情的な旋律が疾走する「Fields Of Desolation」で大団円を迎えた。

各地で好評を博した今回のジャパン・ツアーは、今のARCH ENEMYの充実ぶりが窺える内容となった。進化を続ける"PURE FUCKING METAL"が、さらに大きな舞台で鳴り響く日を楽しみに待ちたい。

[Setlist]
1. Deceiver, Deceiver
2. The World Is Yours
3. Ravenous
4. War Eternal
5. In The Eye Of The Storm
6. House Of Mirrors
7. My Apocalypse
8. The Watcher
9. The Eagle Flies Alone
10. Handshake With Hell
11. Sunset Over The Empire
12. Blood On Your Hands
13. As The Pages Burn
En1. Enemy Within
En2. Burning Angel
En3. Snowbound
En4. Nemesis
En5. Fields Of Desolation

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