DISC REVIEW
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スウェーデンが生んだメロデスの代表格、ARCH ENEMYの通算11枚目となる最新作。先行で公開されていた「Handshake With Hell」を聴けばわかるように、前作に引き続き本作でもクリーン・パートを導入している。もちろん基本的にはグロウル中心ではあるが、Alissa White-Gluzの"美麗なソプラノ・ヴォイス"という、もうひとつの持ち味も生かす方向へと舵を切ったのだろう。サウンド面については今まで以上にクラシカルなヘヴィ・メタルへと接近しつつ、トレードマークのテクニカル且つ叙情性豊かなギター・フレーズがこれでもかと迫りくる、暴虐と哀愁とが交差するARCH ENEMY流儀のドラマチックなサウンドは、当然ながら健在である。鉄壁のリズム隊による緩急自在のヘヴィ・グルーヴもさすがのひと言。25年以上に及ぶ長いキャリアの中で常に王道を歩みながらも、進化を続けるベテランの姿に拍手を送りたい。 井上 光一