LIVE REPORT
零[Hz]
2022.09.27 @Zepp DiverCity(TOKYO)
Writer 杉江 由紀 Photo by 菅沼剛弘
夢物語を創作者としてただ描きだすのではなく、零[Hz]は自らが主人公となり夢を生み出していくことを実践しているバンドだ。
"俺たちは今日、このZepp DiverCityでまたひとつ大事な夢を叶えました。チームゼロヘルツ(※ファンの呼称)のみんな、ほんとにありがとう! これからも一緒だよ。今日みたいなこういう大きい舞台があったり、地方の小さいライヴハウスがあったり、ライヴをやる会場には大小はあったとしても、ライヴという空間の中で生まれる幸せの大きさ自体に大小は関係ありません。俺たちはこれからも、全国にいるチームゼロヘルツのみんなと幸せを掴み、夢を一緒に見ていこうと思います!!"(ROY/Vo/Lyric)
最新アルバム『ZODIAC』を今年4月にリリースして以降、零[Hz]はここまでに計2本のツアー"ZODIACT TALE:ACT1"、"ZODIACT TALE:ACT2"を経て、ついにこのグランド・ファイナル公演"「ZODIACT TALE:ACT2」-FINAL-"で自身最大キャパの会場となったZepp DiverCity(TOKYO)のステージに立ったわけだが。いい意味で、彼らの姿に初々しさのようなものがちらつくことはなかった。着実に1本ずつのライヴでこれまでモノにしてきた成果を、余すところなく演奏やパフォーマンスに投入していくことで、零[Hz]は頼もしい音と地に足のついた姿を我々に対して存分に見せつけてくれたのだ。
冒頭の「ZEUS」からアンコールの最後に至るまで、終始クリアで伸びやかなハイトーンと表情豊かなヴォーカリゼイションを隙なく繰り広げてみせたROY。それぞれに異なる個性を光らせながら、ロックにラテンの彩りを添えた「raison d'etre」ではアコースティック・ギターを鮮やかに弾いてみせたLeoと、セミアコ・ギターで躍動感のあるプレイを聴かせてくれたRio。音源以上の迫力を感じさせた「IDEATRUMP」で、やんちゃなベース・ソロを決めつつラウドな音で魅了してくれたTEIKAと、テクニカルなドラミングと確かなツーバスでバンドのグルーヴを牽引していたRYOGA。
細かく挙げだせばキリはないが、零[Hz]というバンドは何かと見た目の華やかさや曲のキャッチーさのほうが目立ちがちなところがある一方、彼らが始動から約4年でライヴ・バンドとしてのポテンシャルをこれほど高めてきているという事実はもっともっと評価されていいのではないかと思う。本編のラストで歌われた「TRAUM」の1節が、今宵改めて説得力を持って深く場内に響いたのはその証左とも言えたのではなかろうか。
"理想論じゃない/それが真実なんだって魅せてあげる"
ちなみに、以前ギタリスト Leoが激ロックでのインタビューにて"Zepp DiverCity(TOKYO)は零[Hz]にとっての到達点ではなく通過点だからね"と発言していた通り、零[Hz]はここからもその歩みをさらに加速させていくことになるようだ。11月23日に待望のニュー・シングル『DAZZLING ABYSS PARADE』を発表したのち、全国ツアー"DAZZLING ABYSS PARADE"に出ることが決まっており、なんとそのファイナルは2023年2月9日に開催される中野サンプラザホール公演になるとのこと。これは零[Hz]にとって初のホール・ライヴともなるわけで、そこにかかる期待は当然のこと大きい。
理想論を真実に変えていきながら、夢物語を生み出すのではなく、自らが主人公となり夢を生み出していくことができるバンド 零[Hz]。次のフェーズで彼らが具現化していくのであろう眩き深遠なる世界がどんなものになるのか......とにかく楽しみでならない。
[Setlist]
1. ZEUS
2. DISTURBO
3. 惡鬼招雷
4. raison d'etre
5. IDEATRUMP
6. Othello
7. Is This Love~夜明けの前~
8. エンドロール
9. enigma10. VENOM
11. BAKEMONO carnival
12. N0.name
13. TRAUM
En1. The DOPERA
En2. j am out
En3. skeles me dop HEADz
En4. AXIZ
En5. RENDEZVOUS
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