LIVE REPORT
零[Hz]
2022.06.12 @新宿BLAZE
Writer 内堀 文佳 Photo by 菅沼剛弘
フル・アルバム『ZODIAC』を引っ提げての全国ツアー"ZODIACT TALE"の前半戦に当たる"ACT1"を、3度目の新宿BLAZEで締めくくった零[Hz]。ここまでに終えた19本の公演を通して成長した新曲たちと共に、9月末に控えるZepp DiverCity(TOKYO)というさらに大きな舞台("零[Hz] ONEMAN TOUR「ZODIACT TALE:ACT2」-FINAL-")への覚悟を見せたこの日は、ステージに立つ5人と会場に集まったチームゼロヘルツ(※ファンの呼称)を結ぶ絆の固さを再び確かめ合う場にもなった。
大きな手拍子で迎えられた零[Hz]がこの日最初の曲に選んだのは、ニュー・アルバムでも1曲目を飾る「TRAUM」。コロナによる様々な制限をはじめとする逆境の中でも、決して諦めずに夢に向かって突き進んでいく姿勢を表した、まさに今のバンドの想いを象徴する1曲だ。"叶えられない事もあるかもな/でも叶えられる事も必ずある"、"その一度見た夢 叶えに行こう"、"その夢/今叶えに行こう"という力強い言葉に、演奏するメンバー、集まったファン含め、この空間にいた誰もが背中を押されただろう。続けてダンサブルな「Changing Mrs.SATELLITE」、そしてメディア・ミックス・プロジェクト"マガツノート"への楽曲提供により、新たに攻撃的なサウンドが引き出された「惡鬼招雷」を披露し、熱気は加速度的に増していくばかりだった。
ここまで、彼らがコンセプトとして掲げる"東京ミクスチャーロック"を、同期音源をふんだんに使用したサウンドだけでなく、色とりどりの照明やレーザーを駆使した近未来感のある演出で視覚的にも表現してきたが、次に選んだ「raison d'etre」はRioとLeoがアコースティック・ギターをスタイリッシュにかき鳴らす新鮮なナンバー。しかし、彼らが以前インタビューで語っていたように、東京はありとあらゆる背景を持つ約1,400万人が集まった街であるということを考えると、疾走感や煌びやかさなどに代表される零[Hz]らしさにアナログな要素を取り入れたこの曲もまた"東京ミクスチャーロック"と言える。その演奏を、ステージの5人もオーディエンスも大いに楽しんでいた。
ROY(Vo/Lyric)が本ツアーの後半戦"ACT2"について触れながら"これだけのたくさんのチームゼロヘルツとまたいろんなところに回れると思うとワクワクが止まらないし、みんなとまたたくさん思い出作りたいし、何より集まってくれたチームゼロヘルツのみんなに、もっといっぱい好きって伝えたい、もっと大好きですって、もっと音楽で俺たちの気持ちを伝えたいと思ってます。今日「ACT2」に繋がる最高のファイナルにしてやろうぜ!!"、"音を楽しむと書いて音楽、そうだろ! みんなの楽しい音を聴かせてくれ!!"と煽り、"好き"という気持ちについて歌ったEDM調の「enigma」をプレイ。続けて投下した「ROYAL RAMPAGE」ではアグレッシヴ且つ蠱惑的なROYの歌声や歌詞に加え、TEIKAのベース・ソロが炸裂。テクニックに裏付けられた、まだまだこれからキャリアを重ねていくバンドとは思えないほどのカリスマ性で、さらにフロアを支配する。本編ラストは、8ビットのピコピコ・サウンドに、ここに来てさらに音圧が増したように感じるRYOGAのドラムのキメが気持ちいい「BAKEMONO carnival」、そしてピアノの音を取り入れたり、テンポ・チェンジしたりとめまぐるしく展開する「N0.name」が飾った。
アッパー・チューンが多かった本公演のアンコールは、ロマンチックな歌詞を聴かせるナンバー「エンドロール」でスタート。そのあとを、サビのパワフルなコーラスがステージだけでなくフロアからも聞こえてきそうな「j am out」、メンバー紹介と共に楽器隊4人がそれぞれソロを披露した「DarthHerz」が追う。"今日ここに集まってくれたチームゼロヘルツのみんなは、日本全国いろんなところから会いに来てくれたんだと思います。俺たちが会いに行って、愛して、そしたらみんながこうやって会いに来て、愛される。そんな素敵な関係になれるチームゼロヘルツのみんな、これからもどこにいたって迎えに行きます。待っててくれ!!"とROYが絶叫すると、"ZODIACT TALE:ACT1"はファンへの愛を歌った「RENDEZVOUS」で幕を閉じた。まだこの日の時点では、フロアからステージへの愛を直接声や言葉で伝えることはできていなかったが、"ACT2"が開催される頃には、制限されていた間の分の愛を、思う存分ぶつける光景が見られるようになっていてほしいと、切に願いたくなる一夜だった。
[Setlist]
1. TRAUM
2. Changing Mrs.SATELLITE
3. 惡鬼招雷
4. raison d'etre
5. LIBIDO
6. The DOPERA
7. Is This Love~夜明けの前~
8. DISTURBO
9. enigma10. ROYAL RAMPAGE
11. VENOM
12. BAKEMONO carnival
13. N0.name
En1. エンドロール
En2. j am out
En3. DarthHerz
En4. AXIZ
En5. RENDEZVOUS
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