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激ロック | ラウドロック ポータルサイト

LIVE REPORT

DESURABBITS

2020.07.26 @TSUTAYA O-WEST

Writer 宮﨑 大樹 Photo by Mana Hirai

この日、新時代で行うライヴの"ひとつの形"を見たのかもしれない。

"ファンと一体になってライヴを作り上げるアイドル"というと、個人的に真っ先に名前が思い浮かぶのが、ラウドロック・アイドル DESURABBITSだ。

オリジナル・メンバーのまま今年11月で結成から丸7年を迎えるDESURABBITS。文字通りに子供だったEMI、YUZU、KARINは、今や大人っぽい表情を感じさせることが多くなった。そんな女性メンバー3人(+DJ兼スクリーマーのBUCHO)と、彼女たちの成長過程を共に過ごしてきたデスラビ軍(※ファンの呼称)との関係は、ただの"アイドルとファン"というよりも、"仲間"や"家族"という言葉がピッタリだ。絆を持った両者が、時に会話をするように、時にじゃれ合うようにして、ひとつのエンターテイメントに昇華したライヴがDESURABBITSの魅力と言える。

そんなDESURABBITSとデスラビ軍の物理的な距離は、他のアーティストの例に漏れず、コロナ禍によって遠ざけられてしまったのだが、そんななかで開催されたのが今回の"参加型"オンライン・リモート・ライヴ。本公演では、通常のライヴとしてはもちろん、配信ライヴとしても珍しい試みが多数取り入れられた。フロアに設置されたのは、デスラビ軍が映ったメッセージ・パネルと、そのパネルに装飾された感音LEDライト。これにより、音楽に合わせてファンがペンライトを振っているようなフロアが再現できる。実際にパネルを眺めてみると、普段からDESURABBITSのライヴを支えているファンはもちろん、海外のファンからのパネルも少なくない。普段はライヴに参加できない遠方のファンの顔を会場で見ることができるのは、この企画ならではだろう。他にも"リモートチアラー"というアプリを使用することで、視聴者が遠隔で会場に声援や拍手を届けられるようにしたり、Zoomでライヴ本編中の企画(打ち上げにも!)に参加できるようにしたりと、メンバーがファンを身近に感じられるように、そしてファンがライヴ会場にいるような感覚を得られるように考えられている。なお本番前にはZoom参加者向けにメンバーも同席した打ち合わせも実施。ある意味、これまでの有観客ライヴでもなかなかできない貴重な体験を提供していたことも有意義だった。これらは、これまでもずっとファンを大事にしてきたDESURABBITSだからこそ生まれた発想だろう。

開演前、"YUZU! EMI! KARIN! BUCHO!"とメンバーを呼ぶ声が無観客の会場に響いた。過去のライヴで録音されていた、リアルなデスラビ軍の声が流れたのだ。ファンの心強い声に背中を押された4人がステージに登場し、「卒業少女‐未来絵‐」でライヴ本編がスタート。ヘヴィなサウンドに乗せて、個性豊かな女性ヴォーカルとBUCHOのスクリームがクロスし、唯一無二のデスラビサウンドを届けていく。その表情からは、ライヴをできるという喜びがひしひしと伝わってきた(おそらくBUCHOもマスクの下でそんな表情をしていたことだろう)。パフォーマンス中には、こちらも過去のライヴで録音されていたコールが曲に合わせて流れていく。やはり、ファンの声援あってのデスラビのライヴなのだ。

1曲目を披露したあとのMCでは、メンバーとファンが"リモートチアラー"を通してコミュニケーションを取っていたのだが、DESURABBITSとデスラビ軍の息の合ったやりとりはさすがだった。メッセージ・パネルと感音LEDライトについては、"全然フロアが寂しくない、みんなのおかげでとっても楽しくライヴすることができています"とYUZUが笑顔で語る。その表情は、心から安心をしてライヴに臨めていることが汲み取れた。

この日は"参加型"オンライン・リモート・ライヴならではの、Zoomを用いた企画も実施。そのひとつは、Zoom参加者にリアルタイムでリクエストを募ってパフォーマンス曲を決定するというものだ。シナリオなし、ガチの集計により決定し、披露されたのは「うさぎのダンス」。ヘヴィでアッパーなサウンドに乗せて、EMI、YUZU、KARINは、タイトル通りうさぎのようにぴょんぴょんと跳ねながら歌い、踊っていく。スクリーンに映し出されたZoom参加者は、メンバーに合わせて完璧な振りコピをしたり、頭を振ったり、アルコールをキメたりと、思い思いにライヴを楽しんでいた。もうひとつのZoom企画は"みんなと一緒に踊ってみよう"と題されたコーナー。このコロナ禍において"マスクをすることは愛"だと伝える、DESURABBITS史上最短の曲「Put on a MASK」をみんなで一緒に踊る企画は、アットホームな雰囲気が魅力のDESURABBITSらしさを感じさせた。

中盤のハイライトになったのは、「うちゅちゅ」~「怪獣ANPONTAN」~「Don't think, Feel!」~「2nd Attack」のメドレー。曲がシームレスに繋がれるなか、フロアに下りて自由自在にパフォーマンスを届けていくメンバーたちからは、その場にお客さんがいないからこそ、カメラを通して、画面の向こうの"あなた"に届けていこうとする意志が表れていた。メイン・ヴォーカルのEMIは持ち前のハスキーな歌声、YUZUはキレッキレのダンス、KARINは"ワールド"担当らしいふんわりとした世界観、そしてBUCHOは凶悪なデス・ヴォイスとコミカルな動きで、4人がそれぞれにしか出せない個性を弾かせていく。これこそがDESURABBITSのライヴの真骨頂だ。メドレーを締めくくった「2nd Attack」では、"にゃんこ! 子にゃんこ! 大にゃんこ!"の大合唱を経て"今は大変な時期ですが一緒に頑張ろう!"と英語も併記されたメッセージを掲げるBUCHOの姿もあった。

メドレーに続いて披露されたのは、4月にリリースしたものの、生でパフォーマンスをしたことがなかった「一瞬で」。この曲は、"DESURABBITSがライヴでやりたいことが全部詰まっている曲"とインタビューで語られていたこともあり、メンバーにとってもファンにとっても待望のお披露目となった。デスラビの進化を感じさせる、壮大なストリングスから幕を開けるサウンドに乗せて、等身大の歌詞を力強くまっすぐな歌声で届けると、そこから「Magic of Butterfly-成蝶-」に繋ぎ、ライヴもいよいよ終盤へ。

「恋する季節」、「デスラビッツ軍の七ケ条」と、初期からのキラーチューンを畳み掛け、最後にパフォーマンスされたのは、ライヴ終盤の定番であり夏曲の「お祭りJAPAN!!告白Night」。デスラビの曲の中でもとりわけファンとの距離を身近に感じさせる1曲を披露し、心の中でファンとともにサークルモッシュをして本編を締めくくった。

歓声に応えて登場したアンコールでは、感謝の言葉とともに、今のDESURABBITSの気持ちが最も表れているという和ロック調の新曲「アイコトバ」を披露。サビで歌われた"またね 未来への アイコトバ"という言葉は、きっとDESURABBITSからデスラビ軍への、心の底からの素直なメッセージだ。

たくさんの試みを取り入れた今回の"参加型"オンライン・リモート・ライヴは、新たな時代における配信ライヴの形を提示した、大成功の公演だったのではないだろうか。あえて欲を言うならば、MC中に噛んだYUZUにいつも通り突っ込む"リモートチアラー"の機能が欲しかったくらいか――という冗談は置いておくとして、今回の配信ライヴは、DESURABBITSとデスラビ軍がお互いの絆を改めて確かめ合うような、どこか崇高で、温かいものだった。


[Setlist]
1. 卒業少女‐未来絵‐
2. RAY WORD
3. うさぎのきもち
4. うさぎのダンス(リクエスト曲)
5. アイドル STAR WARS
6. でも、逃げんな
7. Put on a MASK
8. メドレー(「うちゅちゅ」~「怪獣ANPONTAN」~「Don't think, Feel!」~「2nd Attack」)
9. 一瞬で
10. Magic of Butterfly-成蝶-
11. 恋する季節
12. デスラビッツ軍の七ケ条
13. お祭りJAPAN!!告白Night
14. アイコトバ

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