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INTERVIEW

DESURABBITS × Sxun

2021.02.26UPDATE

2021年03月号掲載

DESURABBITS × Sxun

2021年6月のラスト・ワンマン・ライヴをもって7年間の活動に幕を下ろすことを発表したDESURABBITSが、ラスト・アルバム『JUMP』を完成させた。激ロックでは、2ヶ月連続でデスラビに取材を敢行。その前編として、本作の先行配信シングル「無視するな、君の色は君で決めればいい」を楽曲提供したSxun(ex-Fear, and Loathing in Las Vegas/P.L.W.STUDIOS)との座談会を開催した。ラスト・シングルでもある本作からは、"本当に解散してしまうの?"、"まだまだ行けるじゃん!"と思わずにはいられない、新たなデスラビの魅せ方を感じ取ることができるはずだ。

DESURABBITS:EMI YUZU KARIN BUCHO
Sxun(ex-Fear, and Loathing in Las Vegas/P.L.W.STUDIOS)
インタビュアー:宮﨑 大樹 Photo by うつみさな

-3月31日に3rdアルバム『JUMP』がリリースされることが発表されました。デスラビ(DESURABBITS)は6月に解散することを発表していて、これがラスト・アルバムということになります。解散については次回のインタビューでじっくり聞いていければと思いますが、アルバムとしては約5年ぶりということで。

YUZU:5年出していなかったから"アルバムってなんだっけ?"(笑)みたいな。そういうところからだし、そもそも去年の時点でコバテツ(小林哲也/サウンド・プロデューサー)さんの曲以外はできあがっていたので"そういえば、アルバム出していないな"という感覚でした。だから、ファンの人は待っていたし、YUZUも待っていました。出せて嬉しいです。

EMI:出すタイミングがなかなか難しくて、今になっちゃったんですけど、ちゃんとアルバムを出せて、嬉しいです。出せないままにならなくて良かったです(笑)。

YUZU:出す出す詐欺で終わらずにね。

KARIN:アルバムの音源を聴いたんですけど、"あ、この曲もアルバムに入ってなかったんだな"と思って。たぶんみんなもビックリする気がします。

BUCHO:ワインって、寝かせれば寝かせるほど美味しくなるじゃないですか? そんな感じのアルバムですね。熟成させた意味というのが生まれていて。デビュー曲から最新の曲まで入っていて、ベスト盤とは違うんですけども、5年寝かせた意味がそこに凝縮されているなと。聴いていても楽しいと思うし、もしライヴでやったらもっと楽しいだろうなって。個人的にはギュッと凝縮された最高の出来だと思います。

YUZU:(笑)

-え、YUZUさん、どうしました?

YUZU:いや、なんかBUCHOが言うと鼻につくなって(笑)。

-(笑)今回、衣装も新しくなりましたね。大人になった3人を象徴するような衣装です。

YUZU:今までで一番かわいくないですか!? どうですか?

-今までとイメージが違いますけど、大人になった今だからこそ似合う衣装ですよね。

YUZU:ですよね、わかる。女の子も好きそうですよね。デザイン的にもかわいい。

BUCHO:大人だから着こなせるチャコールとかオリーブ色が、すごくマッチしてますよね。

-改めて、大人になったんだなと思いました。

BUCHO:7年間一緒に歩んできたからこそ、一緒に成長できたのもあって。いつのまにか大人の女性になってたなという感覚はありますね。ステージングも、作品もそうですし、話すときにもいつのまにか"こういう発言するんだ"、"こういうふうに考えてるんだ、大人になったな"とグッと来ることがあります。

-さて今回は、本作の先行配信シングル「無視するな、君の色は君で決めればいい」のリリースを記念して、サウンド・プロデュースを担当したSxunさんとの座談会を開催することになりました。まずは、今回のサウンド・プロデュースの経緯を聞かせていただけますか?

Sxun:僕が楽曲提供をやり始めたときに、いろんなクライアントさんにメールを送って、最初のほうに返信してくれたんです。変わったグループが好きですし、正統派のアイドルに曲を作るよりも面白そうなグループがいいかなと。DESURABBITSは、見るからに変だし、名前も変だし、それでやらせていただいた感じですね。

BUCHO:最初、事務所のインフォメーションのところに、"良かったら曲を書きますよ"というメールをいただいたときに、前のバンド、ベガス(Fear, and Loathing in Las Vegas)の名があったので"まさかこれドッキリか?"って。もともとミクスチャーとか、デジタル・ハードコアが好きだったので、"まさかこの人が!?"と。すぐにプロデューサーにメールしたら"よし、任せろ!"って調整してくれて、この楽曲提供が実現しました。

YUZU:楽曲提供を受けるのが初めてなんです。BUCHOに熱いプレゼンを受けて、ライヴの映像とかも観させてもらったら"めっちゃカッコいいじゃん!"と思いました。"そんな人が曲を書いてくれるの!?"って、嬉しかったですね。

-それはいつごろの出来事なのでしょうか?

BUCHO:1年前?

Sxun:もうちょっと前ですね、2019年の11月とか。

-それは、まさかリリースがこの時期になるとはという感じですね。

Sxun:コロナ禍を象徴するような出来事で。

-そのころは、解散することはおそらく決まってないですよね?

YUZU:決まってないですね。

-それはSxunさんも驚きですよね。

Sxun:そうですね。年齢に対して長く活動されていたので、大人になっていくタイミングでグループの規模感とか音楽性的にも、ひと回りグレードアップさせて、みたいな感じの狙いで作った曲だったんです。それが、グループというよりは個人個人の羽ばたきに向けての曲になるとは、そのときは思っていなかったですね。

-結果的にメンバーそれぞれに対しての曲としての振る舞いをしているなと。なので、ラスト・アルバムの先行配信としては意味のある曲に感じます。Sxunさんは、他にもラウドロック系のアイドル・グループへの曲提供をしていますよね。Sxunさんから見たDESURABBITSというのは、どんなグループですか?

Sxun:絶賛迷走中だったのかなって。

一同:(笑)

Sxun:資料を辿れば辿るほどわかんなくなってきちゃって。

YUZU:たしかにそうですよね、2回も名前が変わってる人たちっていないですし。

Sxun:いろんな狙いはあって、模索模索で来てるなかで僕に順番が回ってきたのかなと。そこで本来ならば、奇をてらう、トリッキーな作品にしても良かったんですけど、メンバーの資料とかを見ていると、逆に正統派で勝負してもいいんじゃないかなと思って。いろいろなところに行った結果、真ん中に戻した感じ。BUCHOの散らかりもいったん回収しようぜ、みたいな。年齢的にも、若かったら遊び心のある曲とかをかわいく歌えたかもしれないですけど、ここで1回、グッと締まる曲が真ん中にあってもいいんじゃないか、という最初の印象でしたね。

-正統派で勝負してもいいんじゃないかというのは、そういった曲で勝負できる実力が備わっている印象があったからですか?

Sxun:それは......まだ備わってはなかったんですけど(笑)。でも、成長していってほしいし、いろんなことを試した結果ここにいると思うので、1回ど真ん中ストレートを思い切り投げて見えてくるものもあるかなと。この曲が似合ったり、歌いこなせるようになったりしたときには、スキルも、歌い上げる力もついている。そういう成長を見越して作りました。

-今聞いている感じ、レコーディングはかなり大変だったんじゃないですか?

YUZU:2回レコーディングしたんですけど、1回目のレコーディングは、本当に地獄みたいな時間で。

一同:(笑)

Sxun:穏やかな空気出してたけど(笑)。

YUZU:もともと私はレコーディングがあまり好きじゃなくて。Sxunさんというすごい人が座っていて緊張するし、そのときちょうど"ユメデス"というキャンペーンで、お客さんがレコーディングに来ていたんですよ。それも相まって"何このプレッシャー!?"みたいな。本当に心が疲れた印象の1回目ですね。でも、2回目は楽しかったです。

EMI:自分は1回目も2回目も楽しいレコーディングでした。

-レコーディングが2回に分かれているのはどうしてなんですか?

EMI:アルバムは、去年出すつもりで、この曲の歌レコーディングも終わっていたんですけどコロナの感染拡大で、出せなくなっちゃって、でも去年の私たちのテーマが進化だったじゃないですか? 活動自粛中でもちゃんと進化できていると思ったので、もう1回、今の自分たちの歌で録りたいなと思って、無理にお願いをしてもう一度録ってもらいました。

Sxun:分けたのではなく、リテイクということですね。

-あぁ、なるほど。Sxunさんから見て、1回目と2回目の出来栄えは違ってましたか?

Sxun:そうですね。BUCHOが年齢を重ねるにつれてしっかり退化していて。

EMI:進化しているはずなのに(笑)。

Sxun:事前に振ってくるんですよね。見せ場が真ん中と最後にあって、"シャウト、マジいけるんで"みたいな感じで、シャウト・パートに気合が入っていたんです。で、いざRECが始まったら"いつまでふざけてるんかなぁ?"と(笑)。もうそういう取れ高は十分なんだけどなと思っていたら、実はマジだったという。ミックスしながら頭を抱えていた記憶がありますね。

BUCHO:ありましたね。やっぱり、超一流の方だからすごいプレッシャーだったんですよ。スクリームは、年齢と共に衰えたのかなと思って。それもあって1回目は悔しかったんです。1回目のレコーディングのときって、デス・ヴォイスのほうがメインだったんですね。でも、やっぱりスクリームをどうしても入れたいって、プロデューサーに相談して。2回目のレコーディングには絶叫系のスクリームを入れさせてもらいました。最後は上手くミックスしてもらったので、僕としては心残りがなかったですね。過去最高と言ってもいいのかなと正直思います。個人的に変則、転調ってすごく好きで。そういうSxunさんなりのスパイスが入ったところに我々なりの歌い方ができて、BUCHOの叫びとかのエッセンスも入ったので、それらが上手く融合した、新しい形のデスラビ節になったのかなと。

-制作にあたっては、メンバーのことを想像して作り上げていったのかと思いますが、Sxunさんから見た、各メンバーのアーティストとしての印象を聞いてみたいです。

Sxun:YUZUさんは、歌うと実は大人寄りというか、語弊を恐れずに言えば、アダルト寄りなニュアンスが出せる。めっちゃ良く言うと、LiSAさんみたいな。意図的にセクシーさを語尾にくっと入れてくるみたいなことが、いつか遠い未来にできるようになればなと。

YUZU:......近い未来にしたいなぁ(笑)。

Sxun:今だと声の悪い癖が正されずに残っている状態というか、それでまっすぐ歌おうとしちゃうことによって、かみ合わせが悪かったんです。逆に、はみ出すところははみ出して強調してもらうことで、歌のメリハリが出て、歌いこなせている感がディレクションしていくなかで作れました。"私ってこういう声を出せるんだ"というのを探求して自分のものになれば、それは歌唱力に繋がると思うので、遠い未来に歌姫になる世界線があればいいなと。

YUZU:歌について深く言われることはないので、不思議な気持ちです。1回目のレコーディングのときに今みたいなことを話していただいて、2回目のレコーディングに挑みました。

-たしか1年前のインタビュー(※2020年4月号掲載)で、次のアルバムではYUZUさんの声がエロいって言ってましたよね。

KARIN:覚えてる!

-それがこの曲ですか?

EMI:そうです。"点滅する信号"のところ。

YUZU:でも(2回目のレコーディングで)ちょっと変わりましたよ、歌い方。

EMI:たしかに。EMI的には1回目のレコーディングのその部分も聴きたいから、データがほしい。

-そんなEMIさんについてはどうですか?

Sxun:EMIさんは声がそもそもきれいで、本来はグループのメイン・ヴォーカルになる感じなのかなと思ったんです。でも、それを生かせば生かすほど面白みに欠けてきちゃうというか、広く見たときに誰の声かわからないみたいなことにはしたくなくて。両サイドにとんでもない個性派ヴォイスいる、かといって遊びすぎると全部がガチャガチャになるという、そこのバランスが一番難しかったかもしれないです。ストレートに歌ってもらいつつ、"ここだけは"というポイントだけ何回も録り直してもらいました。パッと聴きわからないんですけど、玄人向けの"ここだけは"というところを、ジェネレーションギャップに苦しみながらいろんな言葉で伝えて......。例えが全部伝わらないんです(笑)。

一同:(笑)

Sxun:たぶん、伝わっていないけど歌ってくれてるんだろうなと。

EMI:歌詞の頭と終わりは、癖強めな、ねちっこい感じを意識して歌っていました。きれいに歌わない感じかなと自分の中で理解して。

Sxun:それで結果的に着地できましたね。

-では、KARINさんについてはどうでしょう?

Sxun:KARINさんはもう仕上がってますから。どう歌ってもKARINさんの声ってわかるのがすごいじゃないですか。声の良さを残したまま、それをいいバランスでメンバーに馴染ませるようにしました。順番的にも最後に録ったので、ふたり(EMI、YUZU)の声との印象でハメどころを決めていきましたね。

KARIN:Sxunさんとのレコーディングは初めてだったからめっちゃ緊張したんですけど、歌いやすかったです。最初、(レコーディング・ブースに)入るときは緊張しすぎてどうにかなりそうだったんですけど、入ったら平気でした。

Sxun:どうにかなってても面白いのに(笑)。あとは、同じタイム感で喋れている気が1回もしなかったですね。

一同:(笑)