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INTERVIEW

DESURABBITS × Sxun

2021.02.26UPDATE

2021年03月号掲載

DESURABBITS × Sxun

DESURABBITS:EMI YUZU KARIN BUCHO
Sxun(ex-Fear, and Loathing in Las Vegas/P.L.W.STUDIOS)
インタビュアー:宮﨑 大樹 Photo by うつみさな


ラスト・シングルに相応しい曲。メンバーも、お客さんも、前を向いてどんどん進んでいける、そんな曲になっています(YUZU)


-では最後に、BUCHOはどうでしょうか?

Sxun:BUCHOはもう......満場一致で活動終了やなって(笑)。

BUCHO:(笑)出し切った。ライヴはまだまだ続くと思うけど、作品としては燃え尽きましたね。

Sxun:シャウトを長年やっている人って、シャウトでは声が枯れないけど普通の歌で枯れるみたいなタイプが多いんです。だけど、BUCHOは魂を削ってやっているので、ただただ消耗していくっていう。漢気スタイルというか。

BUCHO:本当にねぇ、後半がつらかった。

Sxun:どんどん波形が小さくなって(笑)。でも、気持ちが熱いというか、気持ちだけでシャウトしているみたいな感じは、実はシャウトの一番大事なところというか。BUCHOに言うと臭くなっちゃうんですけど、魂の叫びは事実そうであるし、カッコ良くとか、いい感じのシャウトというよりは、喉が千切れそうですみたいな感じで。最初の2発ぐらいはカッコ良かったので、それをなんとか編集して使いました。

-魂の叫び、ですか。シャウトのレコーディングはどんな意識で臨んでいるんですか?

BUCHO:ライヴを想定してレコーディングしているんですよ。ライヴって一発限りの生ものじゃないですか? そのときに、変に力を抑えたテクニック重視というよりも、そこで燃え尽きて、もう二度とライヴができないくらいの感覚なので、それがレコーディングでも前面に出たのかなと思います。ただ、賞味期限が短かったです。

-これまで本当にお疲れ様でした......。ここからさらに曲を掘り下げていきます。「無視するな、君の色は君で決めればいい」には、どんなテーマやコンセプトを設けていましたか?

Sxun:直近のミュージック・ビデオを観させてもらったら、その手前の活動よりも、ひと回り大人びていて。コンセプトとしてもそういう状態だったので、その延長線上にあって違和感がないもの。且つ、もう1個スケールとか奥行きを出したいというのが僕の中ではありました。なので、この流れのままどんどん成長して、大人になっていく姿に沿うような曲にしようというテーマでまとまった感じで。

-この曲、約4分なので決して短いわけではないんですけど、前半と後半で別の曲のようにも聴こえることもあって、あっという間に終わる感覚ですよね。だからリピートでずっと聴いていられるというか。

EMI:たしかに、4分もあるんだって思うくらい。一番短いんじゃないかなって思っていたんですよ、だから4分あるんだと知ってビックリしました。

YUZU:歌っていても踊っていても本当にあっという間だし、楽しい。後半で(テンポ、曲調などが)変わるじゃないですか? あそこがめっちゃ好きで。そこのダンスもめっちゃ好きなのに、MVのカッコいいところを最後BUCHOに持っていかれるんです(笑)。あれ、マジで悔しい。そのくらい、全部好きですね。

EMI:EMI的にはイヤホンで、大音量で聴いてほしいなって。歌い方とかもめちゃくちゃこだわって、語尾の切り方とか息使いとか、そういうのも意識してやったので、イヤホンで、大音量で聴いてほしいです。

KARIN:曲だけ聴いてもいいし、MVを観ても伝わる曲です。自分たちの等身大の曲だからこそみんなに響くかなと思います。

-Sxunさんはメンバーからこうやって直接曲の手応えを聴くのは初めてですよね。

Sxun:結構不安だったというか。楽曲提供一発目とかのレベルだったんです。自分たちで作って自分たちで演奏するのって、そのプロセスの中に自分がいるから、手応えもわかるじゃないですか? でも、メンバーさんからすると、データだけ送られてきて、当日に多少ディレクションがあったとしても"なんとなく歌って、できあがった音源が来た"ということなので、曲を気に入ってくれるのかなと。この曲以外でも、曲に対する思い入れがどれくらいあるかわかっていない状態でしたし。みんなで作った作品だという想いが、多少なりともあったらいいなと思っていたので、聞いて良かったです。

EMI:めっちゃ好き。いい曲だよね?

YUZU&KARIN:うん。

Sxun:レコーディングで歌っているときは全然そんな感じじゃなかったよ。

一同:(笑)

BUCHO:そりゃ緊張してましたからね、みんな。

-制作の実作業は、どこからアプローチしていきましたか?

Sxun:テーマが決まった段階で、こういう曲にしようというのは、ほぼほぼ頭の中で見えていたんですよ。具体的に名前を出すと、マイケミ(MY CHEMICAL ROMANCE)の「Welcome To The Black Parade」という曲がリファレンスとしてパッと浮かんで。まったく同じことにはならないんですけど、俺だけが勝手に思っている裏テーマみたいなところでした。あれくらい歌い方に力が入っていて、だけどメロディはすごく美しい。そして歌詞が強くて、歌い上げてお客さんの心をグッと掴む。このグループの中で言う名曲になればいいなというイメージで作り始めたのが最初です。

YUZU:「Welcome To The Black Parade」、聴きたいと思います。

BUCHO:最初にデモ音源を聴いたときに、僕の中でのインスピレーションは、MARILYN MANSONの「The Beautiful People」だったんですよ。全然曲のトーンは違うんですけど、あの曲も変則だというのもあって、"転調するんだ、こういう感じか"と思って、実はMVのときに動きをオマージュしていたんですよ(笑)。

-それは注目ポイントですね。BUCHOが言うところの変則的な部分も、最初から構想にあったんですか?

Sxun:そこはどうしようかなと思っていて。最初の歌パートの雰囲気に、無理やり掛け合いでシャウトを入れてもなって。歌詞をちゃんと聴いてほしいし、日本語のシャウトが飛んでくると、言い方が悪いんですけどノイズになってしまうので、完全に棲み分けしようと思いました。だったら、きれいに繋がずにバチっと場面を変えてしまおうと。それが上手く共存している、DESURABBITSだからできるアプローチとして成立したらいいなと。あと、BUCHOパートに関しては、モダンなメタルコアとかのトレンドっぽいサウンドは捨てていて。おじさんだけがこぶしを突き上げる、古き良きじゃないですけど、"あのころは良かったよね感"が、その世代の人に伝わればいいなと思って作りました。そのミスマッチが共存しているのが、結果的には良かったなという感じです。

-デスラビには、BUCHOという、アイドルにおいては特異な存在がいるわけですけど、前後半の棲み分けはそこを生かすためだったんですね。

Sxun:BUCHOの置きどころというか、これまでのコンセプトにも紆余曲折があって、出てきたり引っ込んだりがあったと思うので、これはもう別扱いでいいかなと(笑)。でも、結果的にすごく出てきちゃったなというのはあるんですけどね。BUCHOの気持ちが乗ったことによって、フレーズが強くなっちゃったというか。これは大誤算だった。

BUCHO:いい意味でね(笑)。

-特に最近は一歩引いて3人を支えているイメージでしたけど、この曲に関しては前面に出ていて、懐かしくもありました。

BUCHO:正直、嬉しかったですね、パートが貰えて。数年ぶりでしたから。デスラビってダウンビートの曲をあまり扱ってなかったんですよ。唯一「卒業少女‐未来絵‐」(2019年リリースの9thシングル表題曲)にあの感じはあったんですけど。そのなかでSxunさんの曲にそういう要素が入っていて、いいメリハリがついたなって。それを踏襲してもらったら、デスラビにしかできない、他のアイドルには絶対できない作品ができたのがすごく嬉しかったですね。

-ところで、これは私の先入観かもしれないんですけど、Sxunさんが曲を書くと聞いていたので、音楽ジャンル的にはエレクトロニコアになると思っていたんですよ。でも実際はそうではなく、基本的にはギター、ベース、ドラムで構成された、オーソドックスなバンド・サウンドですよね。

Sxun:"思っているような感じの曲を書かないですけど、大丈夫ですか?"と確認して、先にテーマを伝えた記憶があるんですよ。いわゆる"俺です"みたいな、ピコピコな曲は書かないです、と伝えて。単純にイメージが合えばそういう曲を書いたと思うんですけど、自分のインスピレーションがこっちだったんです。根本で言うとメロディを書く人なので、サウンドよりも歌を作りたいんですよ。自分の武器としても、実はこっちを見せたかった部分もあったので、あえてサウンドを少なめにしました。なので、ピアノとか、生の歌を支える伴奏楽器で留めましたね。サウンドを足そうと思えば、どこまでも足せたんです。でも、歌があって、シンフォニックなシンセがうっすらと背景にいます、というほうが際立つかなと。それは最初から決めてました。

BUCHO:こっちで攻めてくるんだって感じました。PassCodeさん的な、いわゆるピコピコ系のシンセが入るのかなと思っていたんですけど、逆にオールド・ロックで。そこに、この4人が入ったときにどうなるのかなというのは、正直楽しみでしたね。

-3人は、こういうサウンドになってどう感じてましたか?

YUZU:デスラビって変な曲――って言ったらアレなんですけど、ユニークな曲だらけじゃないですか? だから何が来ても驚かないし、カッコいいなという感想でしたね。

EMI:たしかにデスラビって変な曲がいっぱいあるんですけど、最近はわりとわかりやすい曲構成だったんです。久しぶりにデスラビっぽい変則的な曲が来たなと思いました。

KARIN:私は、歌詞がいいなって思いました。

YUZU:サウンドについて聞かれてるのに(笑)。

-(笑)歌詞についてはSACHIKOさんがクレジットされていますが、イメージやオーダーはどう伝えていったんですか?

Sxun:SACHIKOさんにはどんな案件でも日本語の作詞をお願いしているんですけど、一緒に資料を見て、(DESURABBITSは)こういうタイミングである、と話し合っていました。アイドルだし、見た目の雰囲気も含め、本人たちが言わないような歌詞にしたい。けど、はみ出しすぎるのを良しとはしたくなかったので、この年齢ならあり、みたいな、ギリギリを攻めたかったんです。ふざける、意図的にはみ出すというよりは、気持ちが強いあまりに言葉がきつくなったみたいなニュアンスで。アイドルということは頭から1回どかして、女性として大人になっていくなかで、自分の意志とか自立みたいなことを強く出す、みたいな。

-なるほど。

Sxun:リファレンスが洋楽だったので、メロディが英語っぽいんですよ。なので本来このメロディに歌詞をつけるなら英語なんですけど、歌をつける時点で仮の日本語というか、日本語の音節ではまる譜割にするっていうのも意識して。きっちりはまるように何回も言葉を変えて仕上げて渡した感じです。BUCHOに関しては、英語なので思い切り強い言葉を言ってもらったほうがいいかなみたいな感じで作りましたね。

-フライング気味に歌詞が好きだと言ってくれたKARINさんは、この曲の歌詞のどんなところが好きなんですか?

KARIN:最近のデスラビの曲って、自分のことを歌っているのかなぁみたいな歌詞が多くて。この曲もピンと来たんですよ。"お、自分じゃん!"となったんです。

-"ピンと来た"ですか。

KARIN:貰ったときは覚えることに必死だったんですけど、レコーディングをしていくうちに歌詞がすごく入ってきて、本当にピンと来て。

YUZU:私は、最初に読んだときにめちゃくちゃ熱い歌詞だなと思って。最近はどっちかというと自分の気持ちを歌っている曲が多かったんですけど、この曲に関しては、自分の背中を押してもらえる曲というか。これを歌うことによって、自分がもっと頑張るんだという気持ちになるので、自分も勇気を貰える歌詞だなと思いました。

EMI:"それな"って、共感する歌詞。言われてみればそうだなと思うようなことがたくさん書かれていて。それを理解できる年齢に自分がなったということも含めて、成長した私たちに来たこの曲は、すごくいいなと。その人の気持ちだけじゃなくて風景も想像できる曲だなと思って、夜道で歩きながら聴きたくなりましたね。

BUCHO:今までの曲に比べて、よりポエムのほうの詩という印象でしたね。デスラビの背景、バックボーンを感じ取っていただいたんですけど、全体を通して言い回しだったり語尾だったりがポエムのほうの詩だなって。すごくアート性を感じました。個人的にEMI、YUZU、KARINの歌うパートがすごく好きだし、そこの歌詞の言い方とか歌い方が、何回も聴き込んでくると違ったように聴こえてくるというのは、この歌詞を書いた意図なのかなと。

-たしかに、これまでの曲と比べて抽象的な表現が多いかもしれませんね。

Sxun:まさにそれを意識したという感じではないですけど、歌詞っぽさみたいなものは絶対にいるし、サビの入りなんて本来は考えないといけないところというか、一番キャッチーであるべきところで。だから"無視するな"と言っていいかどうか、みたいな感じでした。でもやっぱり強くしたいし、みたいなところで。ダメって言われたら直す気持ちで出したんです。

-まとめとして、この曲は改めてどんな作品になったと思いますか?

YUZU:ラスト・シングルに相応しい曲だなと思って。この曲を歌うことによって、メンバーもそうだし、お客さんも前を向いて、どんどん進んでいけるような、そんな曲になっています。楽しい気持ちで聴いてもらいたいです。

EMI:落ち込んだときとかにこの曲を聴くと、頑張ろうと思える、背中を押してくれる曲ですね。みんなにも、楽しいときでもつらいときでも、いろんな場面でこの曲を聴いて、元気になってもらえたらなと思います。

KARIN:聴く人みんなの心に刺さるなと思う曲なので、たくさん聴いていただきたいなと思います。

Sxun:やっと人に聴いてもらえるんだなと。活動終了になると思うんですけど、メンバーそれぞれが今までやってきたことは変わらないし、音楽とか映像とか、作品自体は功績として残り続けるわけで。活動終了したからといって、聴かなくなっていいということではないじゃないですか? ずっと思い出としてみんなの中にあればいいと思うし、この曲も、ファンの人が時々思い出して聴こうと思ってもらえる曲になったらいいなと。

BUCHO:この曲がDESURABBITSにとって、泣いても笑っても最後のシングルになると思うんですよ。我々の歴史の中でも看板になる曲のはずなので、いろんな背景を想ってくれるファンの方もそうですし、この曲で、Sxunさん経由で来てくれた人にも、我々の名前をずっと覚えていてもらいたいなと。そんな想いを込めて歌いましたので、楽しんで聴いてもらいたいです。

-今日はありがとうございました。では、次回のラスト・インタビューに向けての意気込みという形で、この対談を締められたと思います。

EMI:次回はアルバムのお話ということで、まだまだ楽しいお知らせをたくさんできればと。これからも応援していただけたらなと思います!