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INTERVIEW

"52nd NEW YEAR ROCK FESTIVAL 2024-2025" 対談

2024.12.12UPDATE

2024年12月号掲載

"52nd NEW YEAR ROCK FESTIVAL 2024-2025" 対談

Producer:HIRØ(湾岸の羊~Sheep living on the edge~)
KYONO BAND/T.C.L:KYONO
Interviewer:フジジュン Photographer:Kanda Yukiya


"どうせやるなら楽しまなきゃ損"って考え方だから、大変なことがあっても、どうエンタメに変えていくかだと思う(HIRØ)


-KYONOさんはHIRØさんと初めて会ったときや仲良くなってからの印象って?

KYONO:最初からすごいちゃんとした人でしたよ。勝手なイメージで怖い人だと思っていたんだけど、喋ったらすごいきちんとした話し方で、すごく紳士だなと思いました。

HIRØ:基本的にジェントルマンですよ、俺。蹴っ飛ばされたら、蹴っ飛ばし返しますけど(笑)。

KYONO:あとは今も昔から変わらない、すごいエネルギーを感じますね。どこからそのパワーが出るんだろう? ってくらい、いつも元気じゃないですか(笑)。絶対に疲れた姿を見せないんですよ。"NYRF"の日も朝から次の朝までフル稼働じゃないですか? なのに、気迫なんでしょうか? 疲れた姿を絶対に見せないんです。

HIRØ:あはは。もしかしたらですけど、基本が"どうせやるなら楽しまなきゃ損"って考え方なので一番楽しんでるし、根っから楽しいだけなんでしょうね。つらいこととか大変なことはありますよ? でも、そこをどうエンタメに変えていくかだと思うんですよね、俺は。俺は長年、内田裕也の背中を見てきて。あの人もここぞのとき、全てエンタメに変えるじゃないですか? "なんで事業仕分けなんかに行ってんだろう?"と思ってたら、蓮舫さんにバラの花束を渡したり(笑)。せっかくショービズの世界にいるんで、いいことも悪いこともエンタメに変えるチャンスと土壌があるんで。エンタメにして、それを楽しまないと。

KYONO:なるほど、そういうことなんですね。勉強になりました。

-筋肉断裂してたのに気付かずにライヴをやり続けたって話も信じられないですもん。アドレナリンが出てたというのもあると思いますが、気迫や根性だと思います。

HIRØ:いや、楽しかったからやれちゃったんですよ、きっと。

-HIRØさんは、先程"KYONOザウルス"という例えも出てきましたが、KYONOさんの印象っていかがですか?

HIRØ:いや、すごいですよ。映像でしか観れてないですけど"Ozzfest"とか、日本代表でずっとやってきたヴォーカリストじゃないですか? SLIPKNOTのSid(Wilson/DJ)とやってる(2008年リリースのWAGDUG FUTURISTIC UNITYの1stアルバム『HAKAI』収録曲「HAKAI(x DJ STARSCREAM(Sid #0 of Slipknot))」)のを見たり、渋谷 WOMBでやったイベント("STAR FORTUNE5 10th Anniversary")も観に行ったりして。俺はMADの時代からずっとファンだったし、ものすごいリスペクトしてるんで、同じ時代を生きてきたことを誇りに思うし、ここはデリケートな話ですけど、いつかMADも観れたらいいなと思ってます。

-"NYRF"はロックからヒップホップから、ジャンル不問の出演者が揃っていて。1つ共通したテーマを挙げると"不良性"みたいなところになると思うんですが。

HIRØ:そうですね。そこの危険な香りだけはキープしていきたいなと思っているし、大事なのはジャンルじゃないんですよね。"ヒップホップのアーティストが多いんじゃない?"と言われることもありますけど、ヒップホップだろうがレゲエだろうが、さっき言ってたアコースティックだろうが、そこにロックを感じるか? そこに不良性があるか? で俺はいつも判断していて。

-ヒップホップが多いのは、時代性もありますしね。

HIRØ:極論ですけど、今の不良って楽器やらないですからね(笑)。でも面白いのが、ラッパーの連中が一回ヒップホップ行くんですけど、"やっぱバンドってカッコいいよね"と気付いて、バンド演奏でやるようになったりして。今の日本の土壌で不良がロック・バンドをやるのは難しいから、BAD HOPみたいなクルーを作ってヒップホップをやるんだけど、バンドのカッコ良さに気付いた連中がロック・バンドにシフトしてくるっていうのが、今の不良の正しいロックの形なのかな? と思ってますけどね。

KYONO:たしかに増えてますよね。あとライヴだと特にトラックだけより、生ドラムが入ってたほうが音が強いし、レンジも広がるから。お客さんにもドーンと来るし、それを一回味わうとクセになるというか(笑)。

-去年も"NYRF"の出演者が集って座談会企画をやって(※2023年12月号掲載)、みんなが口を揃えて言ってたのが"「NYRF」というのは特別な場所で、毎年緊張感を持ってステージに臨んでる"ということだったんですが、KYONOさんはいかがですか?

KYONO:毎年、いい緊張感を貰ってるというのは全く一緒ですよ。この日しか会えない人たちがいて、違うジャンルの人たちと一緒にステージに立つというのが楽しさでもありながら、いい緊張感があるし。"負けたくない、やってやるぞ"って気持ちもありつつで。

HIRØ:フェスの醍醐味はそこですよね、ある種の戦い(競演)というか。

KYONO:"いつもお世話になってます"という気持ちもありつつ、複雑な思いで1年を締めくくれるというのは楽しいですし、そういう場を与えてもらえてるというのが本当にありがたいです。

HIRØ:1年間自分たちがやってきたことの集大成で競い合うというのが、もともとの"NYRF"だったんですが、長く続くものってずっといい状態が続くのはすごく難しくて。裕也さんの後期の頃も思い出作りのバンドみたいなのとか、スポンサーや政治の力で出演するバンドがいたりして、そういうのに僕も反発してきたし、"NYRF"のレガシーはすごく大事だなと考えているので、そういう意味でも今はすごくいいラインナップになっていると思います。例えば、去年から出てもらっているMOUNTAIN MANにしても、原田喧太と高橋和也がアイドルを経てロック・アーティストとして築いてきたものがあって。今もツアーを回っていて、1年の集大成として"NYRF"で締めくくるという。これが一番いい形だと思うんですよね。

KYONO:今思い出したんだけど、"渋谷ジャック"ってフェスをHIRØ君がやってて。T.C.Lでそれに出てから、よく喋るようになったんじゃないです?

HIRØ:あ~、たしかに。あれが2007年だから、17年前だね。

KYONO:あれも渋谷中のライヴハウスやクラブを借り切って、出演者も多ジャンルですごかった。今はそういうイベントって結構あるけど、あれが最初でしたよね?

-今、全国各地でサーキット・フェスが行われてますが、その先駆けだったんですね!

HIRØ:僕が高校生のときに"六本木レボリューション"ってタイトルで、六本木にあった25店くらいのディスコを全部借りてパーティーをやったんですけど、それをそのままライヴハウスでやったのが"渋谷ジャック"で。お店だけじゃなくてSHIBUYA-FMもジャックして、"この会場は入場規制だけどこっちは入れます"とか放送したり。良かったのは、キッズが公園でタイムテーブルを広げて"次はあっち行こう"とかやってて、あれは楽しかったし嬉しかったですね。

KYONO:大晦日にそれはできないですか?

HIRØ:昔は大晦日って"NYRF"しかやってなかったんだけど、今はハコを取るのも大変で。

-ライヴハウス主催のカウントダウン・イベントもありますしね。

HIRØ:俺は30年、"NYRF"で内田裕也に監禁されてたから、大晦日に他が何をやってるかとか全然知らないんですよね(笑)。

KYONO:神田明神ホールのときは、外に屋台とか出てて楽しかったです。(渋谷)ストリームホールの広場に屋台が出てたら、祭りっぽくて楽しいですよね。

HIRØ:ただ、会場内での飲食の問題があるんだよね。でも、今Zeebraとあれやろう、これやろうってライヴ以外のところもいろいろ企ててるんで、楽しみにしててください。今は大晦日にいろんなところでライヴをやってたり、カウントダウン・イベントをやってると思うんですが、今年も渋谷で、みんな集まりやすい場所だと思うんで、あっち行ったりこっち行ったりする中で、ぜひ"NYRF"にも足を運んでいただいて。こんな感じでやってるんだっていうのを体感していただけたらと思います。

-最後にもう1つ聞かせてください。内田裕也さんが"今ロックがヤレること!?"という問い掛けを遺したじゃないですか? これって"今"と言ってるから、世の状況やそのときに抱えてる問題というのは常に変わっていて、永遠に答えの出ない、ものすごい深い問い掛けだなと思うんですが、今年の"NYRF"で一番伝えたいこと、"今ロックがヤレること"はなんだと思いますか?

HIRØ:社会情勢の話になってしまいますが、ロックってそういうことも大事だと思うし、世界では未だに戦争とか、問題が山積みじゃないですか? ただ、大きいことは言えないので、半径何メートルの話をさせてもらうと、今は若い子たちが目先のお金でトクリュウ("匿名・流動型犯罪グループ")に巻き込まれたりしてるじゃないですか? 僕らが"歌舞伎町アンプラグド"で取り上げた立ちんぼ行為とか、Zeebraたちがやってるいじめ問題もそうなんですけど、やっぱり今確実に足りないのが愛だと思ってて。愛すること、愛されることで全てが解決する、全てが報われると考えてるんです。去年と同じになっちゃうけど、今年も愛を届けられればいいなと思うし、(忌野)清志郎さんの"愛しあってるかい?"じゃないけど、愛をシェアしていければどんどん広がっていくと思うし。それがやっぱり永遠のテーマだし、愛の強さをもっとド真面目に伝えていければというのを、ド真面目に考えています。

KYONO:僕はもうそれ以上言うことはないし、それが全てだと思います。愛がなければ伝わらないですよ。人に対しての愛もそうだし、音に対しての愛もそう。音楽を愛していれば、きっと音楽は応えてくれるんじゃないかと思っているし、愛し続けてるから今もやり続けてるわけで。愛は大切ですね。

HIRØ:うん、間違いない。"NYRF"に来てくれれば、間違いなく愛とパワーを俺たちがメッセージとして渡せるから、ロックで俺たちと年越しして、来年もなんとか生きていけるような愛とパワーを交換しましょう。"NYRF"で待ってます!

EVENT INFORMATION
"52nd NEW YEAR ROCK FESTIVAL 2024-2025"

12月31日(火)渋谷ストリームホール
OPEN 18:00 / START 19:00 / END(予定) 1月1日(水)2:00

■出演アーティスト
ICE BAHN / KYONO BAND / Zeebra / J-REXXX BAND / Showy / MOUNTAIN MAN / RIZE / 呂布カルマ / 湾岸の羊~Sheep living on the edge~
Executive Producer:HIRØ
[チケット]
スタンディング:¥6,900 / 当日 ¥8,000(D代別/税込)
■一般発売中
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