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INTERVIEW

湾岸の羊~Sheep living on the edge~

2024.08.13UPDATE

2024年08月号掲載

湾岸の羊~Sheep living on the edge~

Member:HIRØ(Vo) REDZ(Vo/Gt) TATSU(Gt) Ryo-Ta(Ba) CHARGEEEEEE…(Dr) ONODUB(Mp)

Interviewer:フジジュン Photographer:Kanda Yukiya

都会派ハードコア・ロック・バンド 湾岸の羊~Sheep living on the edge~(以下:湾岸の羊)が、6月9日(ロックの日)に全国24ヶ所を巡るライヴハウス・ツアー"湾岸の羊~Sheep living on the edge~ RISING SUN TOUR 2024-HARD CORE TRAVELING BAND-ROCK'N ROLL JOURNEY"の開催を発表した。今年4月には新宿 歌舞伎町よりアンプラグドで配信ライヴを行い、社会の闇に真正面から切り込み、今を生きる全ての人々に向けたメッセージを送った彼ら。その溢れるエネルギーと行動力を持って、トラベリング・バス1台で全国を駆け抜けるライヴハウス・ツアー、そしてその原動力となる熱い想いや全国に届けたいメッセージについて、マニュピレーターのONODUBを加えたメンバー6人に訊いた。

-2024年、湾岸の羊の最初のアクションとなったのは、3月にYouTubeで公開された"焚き火TALK"でした。あの場では"(みんなで集まるのは)「NYRF(50+1 New Year Rock Festival 2023-2024)」以来だよね"なんて話をされてましたが、あの段階で2024年はこうしていきたい、というヴィジョンはあったんですか?

HIRØ:"焚き火TALK"をしたのが"NYRF"が終わって1ヶ月半くらい後だったんですが、焚火を囲んでみんなで話すことで、ここから何か生まれるかな? という期待があって。というのも、みんなで火を囲みながら喋ると素直になれるというか、心の声がどんどん出てくるんで。2024年が始まって、今までテレビに出ていた人が急にいなくなっちゃったり、いろんな人がバッシングされたり、日本代表のチームから1人いなくなったり、いろいろあったじゃないですか? そんな時事問題について話すなかで、"人は過去とどう向き合うか?"とか"私生活をどうするか?"という話になって。さらにホストの売掛問題による人身売買とか、歌舞伎町の立ちんぼ行為といった話になっていって、最初に起こしたアクションが"歌舞伎町アンプラグド"でした。

-4月18日、歌舞伎町某所から行ったアンプラグドでの配信ライヴですね。では"焚き火TALK"の段階では、歌舞伎町でのライヴやツアーをやるというヴィジョンはなかった?

HIRØ:なかったです。本当は東急歌舞伎町タワーの前の広場(シネシティ広場)でライヴをやりたかったんですけど、新宿区の反対があって中止になって。"オープン・エアーでやらないと意味がない"って話から、歌舞伎町のビルの屋上でやらせてもらったんですけど。さすがにビルの屋上ではエレクトリックでガンガンできないということで、初めて自分たちでアンプラグドをやって、"湾岸の羊の曲ってアンプラグドでもできるじゃん!"という新しい発見がありました。

-曲の良さがすごく際立ってましたし、言葉がしっかり伝わるものになってましたし。何よりすごく新鮮に聴こえました。

HIRØ:ですよね。それと"焚き火TALK"では、"ツアー行っちゃう?"みたいな話も出ました。去年の東京キネマ倶楽部でのワンマン("STREET BLOOD 湾岸の羊~2020 RISING SUN~")でいろんな仕掛けや演出もやらせてもらって、"ああいったライヴをいろんな土地で、みんなに見せられたらいいよね"と話していたんですけど、それって結構大掛かりなことになっちゃうなと思ってたら、TATSUが"それよりもライヴハウスでガツンとやったほうがいいよ。地道にやろうよ"と言い出して。"だったら、バス1台に楽器とメッセージとロマンを積んで、全国回れたらいいね"という話になりまして、全国ツアーが実現しました。このチームは"あれがしたい、これがしたい"と言ったら、本当に実現できてしまうチームなんです。

TATSU:僕は30年ぶりのライヴハウス・ツアーなので、久しぶりでワクワクしてるんですけど、日程が出て"やった!"と思ったのと同時に、"どうやって休もうか?"というのも考えてしまいました(笑)。やっぱり30年前とは状況も違うんで心配もあるんですが、初めて行く土地も多いし、どの会場もガチでやりたいし、そこで演る湾岸の羊が楽しみです。

REDZ:"焚き火TALK"の"俺たち、今年どうする?"ってところから全てが始まったんですけど、"焚き火TALK"の時点で物語はすでに始まってて。ロックの日(6月9日)に全国に告知した時点で、ツアーは始まってるんですよね。今この時代にロック・バンドが、それも俺たちみたいな連中がツアーに行く。しかも全国24ヶ所って、凄まじいスケジュールだと思うんですよ。そのスケジュールを見た人が"これすごいな、大丈夫なのか!?"って思ったところから、ツアーは始まってるんです。その反応を受けて俺らも機運を高めてるし、日本全国のロックやバンドが好きな人たちも今一度、初期衝動的な感覚になっていて。バンで日本全国ツアーするっていうことにピュアなワクワク感もあるんですけど、行くと決まった時点で完全に腹括ってるんで。"ロックで何ができるのか?"と考えたとき、"行くなら命懸けで行くぞ!"という元気さや行動力、アクションを起こす気力を見せていきたいと思うし。俺たちのそんな姿勢を見て、みんなにも気合入れて参加してもらって。大げさな話でなく、ロックで日本中を元気にしたいという使命感や志があります。

-ツアーには、全国に音楽やメッセージ、熱量を生で伝えに行くことで、ライヴを観る人に刺激を与えるという意味ももちろんありますが、全国24ヶ所を回るツアーを開催するというエネルギーや行動力にまず触発されて"俺たちも何かやろう!"と思わされることって、絶対あると思います。

HIRØ:俺たちの本気さに触発されたってところで、1つ話があって。"全国をバンで回って"と話しましたけど、この人数とスタッフで楽器を積んでだと、バン1台じゃ無理じゃないですか? で、中型バスで行くことにしたんですが、そうなると中型免許を持ってないと運転できないんで、今回スタッフ2人が"免許取ります!"って自ら手を挙げて、今月から教習所に通うんです(笑)。このやる気と行動力こそが裏方の力ですよ!

-メンバーの本気さに、身近なスタッフが早速触発されたと。すごい話ですね!!

CHARGEEEEEE...:僕はツアー・バンドで日本全国、世界各地を回ってるんですけど、"焚き火TALK"で"アンプラグドやっちゃう?"とか"ツアーやっちゃう?"って少年みたいに無邪気に話して、そのときに盛り上がって終わりじゃなくて、なんとか実現しようとみんなで行動するところがすごい"バンドしてるな"と思ったんです。面白かったのが、"(歌舞伎町)アンプラグド"が終わった後、生配信でツアー・ミーティングをしていて。全国ツアーって普通はイベンターさんが会場を押さえて、アーティストは全国を回って演奏しに行くだけなんですけど、今回は自分たちで行く土地を選んで、"このライヴハウスの店長知ってるから、俺が電話するよ"とか、そうやって会場を決めていったんです。それも配信しながらやってるから、絶対やらなきゃいけない雰囲気になっていって。

HIRØ:配信を観てくれてる人が、"私の街に来て"とかコメントをくれてね。それを受けて"じゃあ、この街に行こう"って決めたり。

CHARGEEEEEE...:だからその場で大まかなことが決まっちゃったんですけど、配信を観てた人に"とんでもないですね! 本当にできるんですか!?"って驚かれたし。観てる人も半信半疑だったんですけど、6月9日に全部公開することができて。こんな大人たちがライヴハウスに直接電話して、"対バンとかもご用意いただけないですか?"ってお願いするとか、10代の頃に返ったような気持ちでできたし、誰か任せでなく、自分たちがその土地に行きたいって気持ちを持って、自分たちでスケジュールを組んでというところで、全箇所にちゃんと気持ちが詰まってるので。現地の人たちとも心を通わせて、ロックで幸せなものを作りたいという思いが詰まったツアーなんです。

HIRØ:そう。だからツアーの半分くらいはワンマンなんだけど、"その土地で現在もレペゼンしてやってる連中と対バンしたい"ってお願いして。半分くらいは地元に根付いてるバンドと対バンできるってことで、こんな楽しみないですよ。その土地の人たちと魂の交換ができるのも嬉しいですけど、その土地のバンドマンが"やるからには絶対食ってやる!"って気持ちで挑んできて、ガチンコでぶつかり合えるのが楽しみで仕方ないです。

REDZ:昔は対バン・ライヴだと"俺らのほうが絶対カッコいいぜ"って気持ちでやるのが当たり前だったし、対バンに触発されていいライヴができたりしてたから、あの頃の気持ちを思い出して、一本一本のライヴを全力で楽しみたいですね。

TATSU:本気でブチかまさないと相手に失礼だからね。個人的には一本一本、いいライヴをやって、たくさん友達を作りたいと思ってます。

-Ryo-Taさんはツアーへの意気込みいかがですか?

Ryo-Ta:僕はツアー前にアンプラグドで配信ライヴができたのがすごく良くて。僕らが思い切り楽しんでるのが観てる人にも伝わったと思うし。その後ツアー・ミーティングをして、大久保公園に防犯メッセージの入ったティッシュを配りに行ったんですが、そういったアクションをすることで、ツアーでも音楽やパフォーマンスを見せるだけでなく、僕らが掲げてるメッセージを届けたいなと思えて。まずはアクションを起こすことが大事だということを伝えたいし。現在の世の中って、リアルってものがあやふやになってるところがあると思うんですけど、ライヴに来た人には自分の目で観て肌で感じて、リアルを体感してほしいし、僕らもリアルを届けたいと思いました。