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INTERVIEW

KYONO

2020.10.19UPDATE

2020年10月号掲載

KYONO

インタビュアー:荒金 良介

KYONO名義による2ndアルバム『S.A.L』は、前作『YOAKE』以上に口ずさみやすいメロディが増え、作品全体を通して風通しの良い作風に仕上がった。ヘヴィ且つラウドな"らしさ"はありつつ、きれいに加工せずに生々しい人間味を届けるサウンドは、多くの人にアピールしうる訴求力を持っている。「THE WAY」ではDragon AshのKj、「STAY GLOW」においては10-FEETのTAKUMAをフィーチャリングし、どちらもポジティヴなヴァイブスを解き放っている。表題は"Stem! Art! Loud!"の略であり、ステム・データでやりとりし、芸術性の高い音を目指し、それをデカい音で表現するという意が込められているそうだ。前作以降にライヴも行い、現場のフィーリングを落とし込んだ今作の内容について、KYONOに話を訊いた。


自分の中にある捻くれた部分と素直さ、その両方が前作以上に明確に出てる


-ソロ第1弾にあたる前作(2018年リリースの1stアルバム『YOAKE』)を振り返って、どんな感想を持ってますか?

前作はライヴも考えずに、自分ひとりで何かできるかと思いギター、ベース、シンセも弾いて、ドラムは基本打ち込みですけど、他に歌やコーラスも全部やったんですよ。何か名刺代わりになるものを作ろうと。WAGDUG FUTURISTIC UNITYというソロ・プロジェクトでは、いろんな人のトラックに自分の歌を乗せたらどうなるかにチャレンジしたんですよ。作品を出すごとにライヴのメンバーでレコーディングするようになったんですけどね。このソロはひとりで完結させたくて、今作もそこは変わらずにやってます。ただ、レコーディングの手法は前作と違いますね。

-どこが変わったんでしょうか?

前作は自分で作ったデモの音を後輩のエンジニアに差し替えてもらったんですよ。だけど、デモを差し替えていると時間がかかるので、頭の中でイメージが湧いたものをもとにしてその場でギター、ベース、歌も録りました。そのほうが時間を半分に短縮できるから。

-それは劇的な変化ですね。「THE WAY feat.Kj (Dragon Ash)」は生々しいバンド感が前面に出ています。MVにはKYONO BANDのメンバーも出演してましたが。

Kj(Dragon Ash/Vo/Gt)をイメージして作ったので、バンド感が出たのかもしれない。そういう感想を聞くと嬉しいですね。前作を出して、その翌年にライヴ("YOAKE RELEASE PARTY -The Beginning of Dawn-")をやって、去年9月にライヴDVD(『KYONO LIVE -The Beginning of Dawn-』)を出したんですけど、そこにおまけの音源をつけたくて、CDで2曲(「DRIVE」、「SAILING THE LIFE」)くっつけたんですよ。で、ライヴDVDを出したあと今年頭にツアー([KYONO "SAILING THE LIFE" TOUR 2020])をやって、そこでも新曲が生まれたんです。それをライヴでもやりました。曲のもと自体は去年の暮れにできたもので、それが「S.A.L」と「IN THE MORNING」ですね。

-また対照的な2曲ができましたね。

そうですね。ライヴをやっていると、前作だけの曲だと足りなくなって。ライヴSEにFFFの「Murderous & Vicious」という曲を使っているんですけど、そのSEから1曲目に「S.A.L」みたいな曲があればいいなと。「IN THE MORNING」はライヴで抑揚をつけるために、しっとりした曲があってもいいんじゃないかと思ったんです。

-なるほど。今作はライヴを経て作った作品という意味で前作と成り立ちが異なりますよね?

確実にそうですね。ライヴをやってなかったら、今作はできてなかったと思うから。

-前作はポップを意識して歌に意識を向けた内容でしたが、今作はさらにその比重が強くなり、開放感に溢れた作風になりましたね。そこは狙ったところでしょうか?

前作はどんな曲を入れていいのかわからないところもあったけど、今作は前作を聴いた人、ライヴに来てくれた人の反応を貰ったあとの作品ですからね。もっと自由にやろう、もっと変なことをやってもいいのかなと(笑)。そこは自分の中にある捻くれた部分ですね。一方で素直なところもあるので、その両方が前作以上に明確に出ている気がします。歌やメロディが伝わってほしい気持ちと、わかるやつだけわかればいいやという部分があるから、それが交ざり合っているのかな。

-わかりやすいものを届けたい気持ちはより強くなっていませんか?

そうかもしれないですね。ただ、自分の中で悩んだのは同じコード進行で、歌のフレーズが2、3個出てきたときに、どうしようかと考えました。「SAILING THE LIFE」も実は歌メロが2バージョンあって、周りに"どっちが好き?"と聞いて、人気のあるほうを収録したんです。

-最終的にはよりキャッチーなものが選ばれたんですか?

自分の中ではどちらもキャッチーなんですけど、自分が思うキャッチーと周りが思うキャッチーは違うから、"なるほど、こっちがキャッチーなんだ"って。例えば、「STAY GLOW feat.TAKUMA (10-FEET)」も全然違うメロディがもうひとつあって、エンジニアに"どっちがいい?"と聴かせて、"こっちのほうがキャッチーですね"と言われて、それを採用してます。今回は人の意見も取り入れて、柔軟性を持たせることをテーマに置いたから、言ってもらったように開放感が出ているのかなと。

-前作を経て、肩の力が抜けてきたところもあります?

それはあるかもしれない。ソロのあとに環境が変わって、そこで学んだり、見えたりしたこともあるから。違う風を取り込むと刺激もあるし、フレッシュに感じるから、自分でも思いもよらないメロディが出てくる瞬間があるんですよ。「S.A.L」だったら、実際に歌ってみると、イメージしていたキーとメロディが合わなくて、これは違うなって。そこでメロディやアレンジを変えるのも楽しいから、その変化も新鮮だったりするんですよ。あと、「DRIVE」のメロディは電車の中で浮かんで、それが合唱だったんです。iPhoneで録ろうと思ったけど、ひとりで合唱は録れないから、メインのメロディ、下のハモリ、リズムと別々で録りました(笑)。

-KYONOさんもiPhoneで録音するんですね。

そうなんですよ。忘れやすいんで。それを聴いて、スタジオで打ち込むとかしてます。

-「DRIVE」もそうですが、全曲口ずさみやすいメロディが織り込まれていて、明るさが増した印象を受けます。

それは良かったです。自分では明るい曲を作ろう/暗い曲を作ろうとは考えてなくて、思いついたものを形にしているだけなんですよ。明るく感じてもらえたということは、明るい気持ちで作っていたからでしょうね。

-「THE WAY feat.Kj (Dragon Ash)」はKjさんを想定して楽曲を作ったとのことでしたが。

彼は明るいし、散歩しながら鼻歌を歌っているようなイメージがあったんですよ。

-曲調的にはそれこそDragon Ashが出てきた頃の、90年代後半のミクスチャー・ロックの色合いを強く感じました。

自分の中でもDragon Ashは最初のイメージが強かったから、自分と一緒にコラボしたら、どこがお互いにいい形なのかなと考えたんです。この曲は散歩しているときにメロディが浮かんできたんですよ。それをiPhoneに録って形にしました。「STAY GLOW feat.TAKUMA (10-FEET)」はTAKUMA(10-FEET/Vo/Gt)がメロディを歌ったら、こういう曲が合うんじゃないかと思って。