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INTERVIEW

KYONO

2020.10.19UPDATE

2020年10月号掲載

KYONO

Interviewer:荒金 良介

-「STAY GLOW feat.TAKUMA (10-FEET)」もTAKUMA君をイメージして作ったんですね。

そうなんですよ。10-FEETの曲も歌メロがあり、ちょっとがなってる要素が入っているものが好きで。WAGDUG FUTURISTIC UNITYのときに10-FEETと対バンして、10-FEETの曲を一緒に歌ったこともあるんです。「その向こうへ」とか、ああいう曲も好きなんですよ。ライヴで観て、胸アツな曲だなと。「STAY GLOW feat.TAKUMA (10-FEET)」の歌はユニゾンというより、交互に来るほうが面白いんじゃないかと思って作りました。

-「THE WAY feat.Kj (Dragon Ash)」とはまた違うポジティヴさを感じました。

Kjのほうは昼間の晴れたイメージ、TAKUMAは夜のイメージだけど、そっちもキラキラしているんですよね。どっちもポジティヴな歌詞だから。TAKUMAの歌声には切なさを感じるし、すごく素直な声だと思う。気持ちをストレートに出せる人で、自分のように捻くれたところがないから(笑)。それも彼の魅力だと思うので、それを生かせる曲にしたかったんですよ。あと、ラガっぽいパンチのある声も出せますからね。

-ええ。この曲はTAKUMA君の声質も大きいのか、メロディックな色合いも出ているなと。

あぁ、そうですね。今作にKYONOバージョンも入れているけど、それと聴き比べても歌メロがパキッとしているし、わかりやすいですよね。前作もTokyo Tanaka(MAN WITH A MISSION)、MAH(SiM)、JESSE(RIZE/The BONEZ)とか、みんな個性を持ってるヴォーカリストばかりに参加してもらってますし。

-今作に収録されたKYONOさんバージョンの「THE WAY (KYONO Ver.)」、「STAY GLOW (KYONO Ver.)」もすごく良かったです。以前からそうですが、歌声に哀愁が滲み出てます。

小さい頃からTHE BEATLES、Billy Joelも好きだから、哀愁のある歌が好きなんでしょうね。エレクトーンを習ってて、弾きながら歌ってましたから。歌メロには自分の好みが出ているんでしょうね。

-「WIPE OUT」はRAGE AGAINST THE MACHINEに通じるミクスチャー色も出てますね。

レイジ(RAGE AGAINST THE MACHINE)も大好きですからね。「SAILING THE LIFE」のイントロもレイジの影響が出てますね。「WIPE OUT」は一発録りで、"しくってるところもあるけど、これがかっこいいね!"ってそのまま生かしてます。

-そして、「IN THE MORNING」は今作の中で個人的に一番好きな曲です。

ありがとうございます。コニヤン大賞も受賞してますからね(笑)。

-コニヤン大賞?

THE MAD CAPSULE MARKETSの『PARK』(1994年リリースの5thアルバム)から、エンジニアをずっとやってくれている人(小西康司)がいるんですよ。その人にとって今作の中でノミネート曲が「WIPE OUT」、「IN THE MORNING」、「WONDERFUL WORLD」で、その中で「IN THE MORNING」が大賞を受賞しました(笑)。

-はははは(笑)、なるほど。

"いい曲だね"って。あと、シンセの入り方も気に入ってくれたんですけど、ヒューマンな感じを出すほうが自分っぽいと思うから、それも全部自分で弾いてるんですよ。その手作り感は全体的に出ていると思います。「IN THE MORNING」もへたっぴな部分があるんですよ。一度編集したら、すごくつまんなくなっちゃって。ちょっとへたなところが味や雰囲気に繋がっているんだなと。いい意味で整えないほうが面白いですからね。こういう曲をライヴでやると、お客さんもメンバーも休めるし。家でポロポロ弾いて......すごく疲れていたときにフレーズが出てきて、これいいじゃんってなったんですよ。だから、ちょっと疲れた感じが出てるのかもしれない(笑)。サビは元気だけど、自分が癒される曲というか。ただ、意外性を出さないと聴いた人はつまんないだろうから、いい意味の裏切りは今後もやっていきたいんですよ。でも、「IN THE MORNING」は素直な曲ですね。

-「IN THE MORNING」のテイストでアルバム1枚出してほしいくらいです。

コニヤンも同じことを言ってました。"もうね、激しい曲はいらないよ"って(笑)。こういう曲はいっぱい作れますよ。

-それがあまり表に出てこないのはなぜでしょう?

どこかでライヴを意識しているからでしょうね。バンド・サウンドでドカン! とやりたい気持ちが強いから。ただ、今後はそういうライヴをやってもいいのかなと。一度だけアコースティック・ライヴをやったことがあるんですけど、それもありだなと思いました。

-前作に「MIRAI x SEKAI」のアコースティック・バージョンを収録してましたが、KYONOさんの声は男気と哀愁が背中合わせになってて、胸にグッときます。

「MIRAI x SEKAI」はライヴでも弾き語りでやって、それはライヴDVDにも入っているんですよ。オリジナルのWAGDUG FUTURISTIC UNITYのバージョン(2010年リリースの2ndアルバム『R.A.M』収録)を、もっと違う形で出したいと思ったから、前作に入れたんです。もともとアコースティックで作った曲でしたからね。

-そうだったんですね。今作に話を戻しますが、作品を通してポジティヴなメッセージを届けたい気持ちは強いですか?

震災、今回のコロナもそうですけど、少しずつ前に進もうという希望ですよね。前を向かないと、何も生まれないから。

-"その世界いま/不和な呼吸に/呑み込まれそうになる"、"今もあるべきモノに/気付いていないのか?"(「IN THE MORNING」)の歌詞描写は、コロナ禍の状況ともリンクする内容に感じました。

歌詞はコロナの前に書いたんですけど、今の時代はモヤっとしている印象があるんですよ。ものも音も溢れ返っているし、みんながいいと言ったものをいいと言う人が多い気もして。自分はこうだ! ってはっきりした意見を持ってる人が減ってる気がするんですよね。

-はっきり意見を言うと、SNSなどで叩かれる時代ですからね。

言いたいことが言えない時代なのかなと。それを"不和な呼吸"と例えているんですよ。面白くないな、そこからみんな抜け出せないの? って。そこには自分も入っているんですけどね。自由でいいじゃんと言いつつ、自由にできないところもあるから。自分を開放したくて、常にもがいているのかもしれない。