INTERVIEW
GYZE
2021.09.30UPDATE
2021年10月号掲載
Member:Ryoji(Gt/Vo) Aruta(Ba/Cho) SHINKAI(Gt)
Interviewer:荒金 良介
-そして、今回の2曲連続リリースの音源ですが、どちらも忍者縛りの楽曲です。これは"ニンジャバットマン ザ・ショー"メイン・テーマ「GOD SAMURAI NINJA」のオファーから制作も始まったんですか?
Ryoji:ふたつ理由があり、ひとつはおっしゃる通り"ニンジャバットマン ザ・ショー"の主題歌のオファーが来たこと。ふたつ目は「SAMURAI METAL」のコメント欄に"次はNINJA METALだろ?"と海外からのたくさんコメントがあり、ちょうどいいタイミングかなと思ったんです。だから、10周年シングル第2弾は忍者シリーズでいこうと考えました。作り込んだ壮大な曲もやれるけど、今は求められているものに応える時期だなという。
-"ニンジャバットマン ザ・ショー"主題歌のオファーはどういう経緯で?
Ryoji:昨年末にHOWLING BULLの社長から話を貰い作曲作業を始めました。ワーナー ブラザース ジャパンとDCコミックスが絡んでいてシビアにやらなきゃいけない部分もあったんですよ。歌詞の世界観もチェックが入るし、サビのメロもこういう感じでやってほしいという指定もありましたね。それを踏まえて、100パーセントGYZEである必要性があったから。タイトルや歌詞も変更点があり、複雑なんですけど、"ニンジャバットマン ザ・ショー"で使われるときは、"バットマンニンジャ"という曲名で、我々GYZEがリリースするときは、"GOD SAMURAI NINJA"になるんです。
-楽曲の中身は同じですよね?
Ryoji:歌詞の一部で、"バットマンニンジャ"と叫ぶところが"GOD SAMURAI NINJA"になります。"GOD SAMURAI"を略すと"ゴッサム"で、その"ゴッサム"というのはバットマンニンジャが住んでいるゴッサム・シティのことを指すのでこの曲名にしました。あと、歌詞の世界観はざっくりとオーダーがあり......わからない方にニンジャバットマンのストーリーを説明しておくと、戦国時代にタイムスリップしたバットマンが忍者を引き連れて、悪役たちから日本を守る話なんです。だから、共に闘うぞ! という世界観を入れました。
-「GOD SAMURAI NINJA」はGYZEのど真ん中と言えるサウンドですよね。
Ryoji:得意分野だし、疾走感もありますからね。メインのメロディに二胡が使われて、さらに全編を通して三味線を使っているんですよ。冒頭では能みたいな掛け声を入れてますね。また、普通のドラム以外に日本の和太鼓も多用しているので、どこにもないサウンドになったと思います。
-「SAMURAI METAL」の進化版と言える楽曲ですね。
Ryoji:そうですね、さらにこだわりましたから。
Aruta:「SAMURAI METAL」の延長線上であり、曲の組み方は「Oriental Symphony」(2021年3月リリースの配信シングル)的で慣れたスタイルではあったから、レコーディングで苦労したのはユニゾンぐらいですね。
-Ryojiさんのギターと三味線、さらにギターとArutaさんのタッピング・ベースと、ふたつのインスト・パートを繋げた流れも聴きどころですね。
Ryoji:Aruta君のタッピングの速弾きは必聴です。
Aruta:大変でした(笑)。
Ryoji:前回は三線をピックで弾いたけど、今回から普通の三味線をバチで弾いたんですよ。ギター・ソロは三味線で全部作って、上からギターを重ねました。
Aruta:三味線で作ったフレーズなので、音の取り方も左手を限界まで開かなきゃいけなくて。右手のタッピングも指を2本使っているので肉体的なつらさはありました。
-SHINKAIさんはいかがでした?
SHINKAI:曲的には今までの中でもシンプルかなと。いろんな展開が入っているけど、曲が長く聴こえないところも好きですね。
Ryoji:SHINKAIさんのパートで1ヶ所、EAGLESの「Hotel California」風のところがあるので、聴いてほくそ笑んでほしいなと(笑)。
-ヒュー! という効果音も印象的で、勝手に打ち上げ花火の光景が脳裏に浮かんできました。
Aruta:メキシコで買った笛じゃない?
Ryoji:あぁ、鷲の声が出る笛を買ったんですよ。全体的に雅楽の笙(しょう)がバックグラウンドで流れているので、日本らしい独特な質感が出ているのかなと思います。
-MVでは松明など、火を使ったアクションが盛り込まれてますよね。
Ryoji:今回はSHINKAIさんのつてで北海道にある報恩寺を使わせてもらいました。実際にロケに行くと、本堂が美しかったので、そのシーンも入れようとなって。アクション・シーンに関してはアニメが好きな人も観ると思うのでアニメ"鬼滅の刃"をはじめ炎ってよく使われますよね? そういうアニメ文化とメタルを融合が少しでもできたらなと。メンバーそれぞれが悪に立ち向かうために必殺技を出すのはバットマンの世界観に近いものにしたかったからでした。いざやってみると危険と隣り合わせの撮影でした。
-ArutaさんはGene Simmons(KISS/Vo/Ba)ばりに火吹きを披露してますからね。
Aruta:勢いでやっちゃえば大丈夫かなと思って(笑)。
Ryoji:MVは僕が編集したんですけど、火を吹いたあとにめっちゃ逃げているから、超スローモーションで使いました(笑)。
-もうひとつの「NINJA DANCE」は「SAMURAI METAL」の評判を受けて、その路線を推し進めた楽曲ですか?
Ryoji:バットマンが絡むということでアメリカ人が好きそうな曲も作っとこうと(笑)。最近の欧州のメタルのトレンドっぽいようなキャッチーでパワフルで、みんなで歌える楽曲が欲しくて。外国人のイメージするステレオタイプの忍者をコミカルに見せたいなと。MVでは10年前の僕が見たら殴りそうなダンスも披露してるけど......やるなら世界一ダサいMVにしたくて(笑)。企画モノでコミックバンドに転じたわけではないのでご安心を(笑)。曲はシンプルなようでこだわりもあり、あれも頭からケツまで三味線で作りました。「GOD SAMURAI NINJA」はFマイナーで、「NINJA DANCE」はCマイナーのキーで作って、それも三味線のキーから取ったものなんです。
-「NINJA DANCE」も三味線の色がかなり強く出てますからね。
Ryoji:そうですね。リード・ギター以外はSHINKAIさんが全部ギターを弾いているんですよ。なぜなら僕がずっと三味線を弾いているので、ライヴで三味線ヴォーカルにもトライしたくて。SHINKAIさんのバッキングはさすが80年代のメタルを生きてきたギターでした。
SHINKAI:好き勝手にやらせてもらいました。VAN HALEN、NIGHT RANGER、RATT、Ozzy Osbourne、L.A. GUNS、CINDERELLAとか死ぬほどコピーしましたからね。
Aruta:この曲もまた100パーセントGYZEなんですよね。SHINKAIさんがバッキングを弾いたことで、ノリやグルーヴもまた変わって、今の新しいGYZEになったかなと。ここにきて、4人の色がバシッと出てきたから。
Ryoji:この曲はよりバンド・サウンドに近くて、ヴォーカルもクリーンでほぼデス・ヴォイスを使ってないんですよ。それはヨーロッパ、アメリカのトレンドも意識しました。
-どのへんを意識したんですか?
Ryoji:SABATON、POWERWOLF、対バン経験もあるBATTLE BEASTとか。あとKORPIKLLANIやALESTORMみたいなおふざけ感(笑)。いやゴールデンボンバーかな(笑)? あとやっぱKISSが作り上げたような世界観。MVではKISSメイクをしてますね。僕はKISSの大ファンでいつかあのメイクしたかったんです(笑)。彼らはライヴのオープニング・アナウンスで必ず"You wanted the best, you got the best(最高が欲しいか? 最高を手に入れた!)"と言うんですけど、その一説をBメロの歌詞に使っているんですよ。あとRED HOT CHILI PEPPERSの「Dani California」のMVでいろんなバンドのコスプレパロディをやっていているんですけど、そこからの影響もありますね。 で、今回のMV(の撮影場所)は北海道にある忍者体験屋敷"HOKKAIDO NINJA DO!"で、そこの方にもエキストラで出てもらいました。
-MVも歌詞もコミカルに振り切ってますよね。
Ryoji:「SAMURAI METAL」が許されたから、どこまで許されるかなと(笑)。まぁ僕ならば許しませんけどもね(笑)!!
Aruta:コロナ禍で世の中が暗いから、ちょっとでも笑ってくれたらいいなと思ったんです。この曲は令和版"ええじゃないか"なんですよ。明治維新のときに市民は戸惑っていたみたいでええじゃないかという運動? が起こっていたらしいんですけど、今のコロナ禍と似た状況だったんじゃないかな。今現在もどの国も不安があると思うんです。その中でシリアスなことを伝えることもできるけど、狙って楽しいものを作ることに価値があるのかなと思います。間違いなくライヴ映えするだろうし。
-GYZEなりのお祭りソングですね。
SHINKAI : 僕はピカチュウの衣装を着てますからね(笑)。
Ryoji:BATTLE BEASTがMCで"スシ! ポケモン! ニンジャ!"と言ったあとに「Black Ninja」という曲をやっていたんです。それもどこか頭に残っていたのかなと(笑)。
-後半のカオティックな展開も面白くて、ここではいろんな楽器を入れてます?
Ryoji:アイヌの伝統楽器、ムックリを最後のサビに入れてます。それも北海道のバンドだと証明できるかなと思ったんです。GYZEはシリアスに見られがちですけど、普段のメンバーの人間性は「NINJA DANCE」的な世界観のほうが近くて(笑)。自分のやりたいことだけをやるGYZEから、みんなの笑顔や感動ありきのGYZEになったらいいですよね。またふざけたときはお叱りください(笑)。
-では、この先の予定というと?
Aruta:今回の音源とパーカーのセットがGYZEオンラインで売られます。それと年内に報恩寺で配信ライヴも計画してますね。常にSNSなどでチェックしてもらえればなと。
Ryoji : 僕はギター・レッスンやプロデュース業を継続しつつORIENTAL SYMPHIONYを超えるようなGYZEの真骨頂となるような曲を10周年の締めくくりに書きたいなと! そして"ニンジャバットマン ザ・ショー"もお見逃しなく!