INTERVIEW
BULLET FOR MY VALENTINE
2018.06.22UPDATE
2018年06月号掲載
Member:Matthew "Matt" Tuck(Vo/Gt)
Interviewer:山本 真由
-幻想的なシンセの響きが印象的な、スロー・テンポのナンバーの「The Very Last Time」も新鮮な楽曲ですね。こういう楽曲を入れようと思ったのはなぜですか?
素晴らしい曲だから入れたかった。どんな曲であろうと差別しないし、柔軟に考えてたから。モダンな曲だし、素晴らしい構成だと思う。ヴォーカルや歌詞もラジオでプレイされるほどのクオリティだし、俺たちや自分の創造的な部分を見せたいと思ってできた曲なんだ。メタル・バンドだから"こうでなきゃいけない"と長い間作る曲を制限していたので、自由に曲を作りたかった。過去の音楽は誇りに思っているけど、それは過去のものでいいと思う。
-前作でColin Richardsonと共にプロデュースを担当したCarl Bownが今作でもプロデュースとミックスを行っているようですが、今作はColinは参加せずCarlにお願いしたというのは、方向性的に前作のようなアグレッシヴな作品にはしない、という狙いがあったからでしょうか?
自分と同じ年齢で、波長が合う人にお願いしたかっただけなんだ。新しい機材が扱えて、音楽のプロデュースも斬新でテクノロジーが使える人が良かった。俺自身、新しいPro Toolsのソフトウェアは使いこなせないので、それを駆使できる人。Carlは現代の音楽プロデュースが得意で、Colinはオールドスクールのやり方だったから、今回の音楽にはCarlの才能が合っていたんだ。
-ちなみに、Carlはどんなタイプのプロデューサーですか?
彼は素晴らしいよ。バンドの良さをさらに引き出してくれたと思う。最初に俺らが求めているものをじっくり話したんだ。なぜこのサウンドにしたいのかとか、目指すものとか。彼は"やろうよ!"って言ってくれて、同じ目標に向かってチームとして協力し合えた。"これは間違っている"、"これは正しい"とかそういう意見はなく、俺たちが追求している音を作るために手を貸してくれたって感じ。いいプロデューサーって、バンドを殺すのではなく、生かすべきだから、とても満足のいく作業だった。
-先行シングルでもある「Over It」は、ヘヴィなパートとメロディが際立つパートがバランスよくあって、BULLET FOR MY VALENTINEらしい楽曲だなと思いました。この楽曲に関しても他の楽曲もそうですが、ギター・ソロなど装飾的にテクニカルなパートがあまりないのは、今作にはそれが必要でないと感じたからですか?
そうだね、必要ない。この方向に進んでいることが嬉しくて、この気持ちがすごく大切に思える。言うまでもなく、ソングライティングが一番大事だから、それに集中したいしね。いい曲はギター・パートだけじゃないんだ。全体の構成だから、それにフォーカスしたい。ライヴをやるときは、前作からの曲もやるので、テクニカル・パートの演奏は続けているしね。バンドのストーリーに新たな1章ができ、ソングライティングが進化していることは最高だよ。
-また「Over It」はミュージック・ビデオがすでに公開されていますが、歌詞の内容ともリンクした世界観で、抽象的ながらストーリー性も感じられる映像ですね。何か細かい設定などはあるのでしょうか?
活気があって、シンプルな映像にしたかったんだ。混乱させるようなストーリーは避けたかった。アルバムの色彩を使いながら、女の子が出演する非常に簡単なもので、あえてメッセージも何もない。俺はソングライティングに集中したいので、ビデオの監督はまったくする気はなかった。今までと違ったヴィジュアルで、クール且つシンプルな構成。それが今回のビデオの目標だったんだ。
-日本盤のボーナス・トラックには、ピアノ・バージョンが3曲も収録されていますが、メロディをじっくり聴いてほしい、などといった狙いがあるのでしょうか?
すごくいい曲が、なぜいいのかっていうことは、シンプルに演奏したら明らかになる。そんなにいい曲ではなくても、音を重ねたり、機械で直したりすると良くなるから、それを一切しないで聴いてほしかった。ベーシックなものにしても同じパワーと感情がある。そこを聴いてほしい。1日中ヘヴィな曲を作って、たくさんのソロを入れることはできるけど、いざアコースティック・ギターで弾くと、酷い曲だったりする。基本がいいと、いい曲になるんだ。
-前作ではまだ参加していなかったベースのJamie Mathiasは今作のレコーディングには参加しているのでしょうか? 前ベーシストのJason "Jay" JamesのときはレコーディングではMattがベースを弾いたりしていたようですが......。
そう、今回もいつものように俺が全部やった。彼もそれでいいって言ってくれたので、余計な時間がかからないように曲を作り、一番わかっている俺がプレイしている。その方が効率がいいので、あとから彼がパートを覚えて演奏してくれる。