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COLUMN

THE STARBEMS 日高 央の激トーク!! 第参回

THE STARBEMS 日高 央の激トーク!! 第参回

日高:10代でバンドやろう!となったら、パンクはマッチするもんね。

Shun:で、サーファーのギターが早い段階で、"俺サーフィンの方が好きだわ"って。それからBuntaの紹介で次のギターが入ったけど、それもうまくいかなくて。それで"EXTRA"(ディスクユニオンに置いていたフリー・ペーパー)の1/4ページに、当時Kubotyがやってた"LOWBROW"のデモテープあります、という広告が掲載されてて。その周りに"NO USE FOR A NAME日本来い! HAWAIIAN6最高、Hi-STANDARDやべえ!"みたいことを書いてて、このバンドと仲良くなれそうだなと思って、デモテープを買いに行ったんですよ。自分とBuntaの分のデモテープを買って、家で空けたら、蛍光ペンで当たりって書いてて。

日高:はははは、ふざけてるねぇ。どうせ全部に入ってる気がするけど。

Shun:やべ、当たったって。これ持って来たら、ライヴただで入れるみたいで。で、Buntaのデモテープにも当たりって(笑)。当時はデモテープにケータイ番号も書いてたから"当たり券入ってたんですけど、ライヴ行っていいですか?"と言ったら、"いいよ"って。そのデモ音源がまたNO USE FOR A NAMEパクリ放題で"何曲目の何々はNO USEのパクリですよね?"みたいな話をしたら、おまえ話わかるなみたいになって、俺が八王子でブッキングして、そこで初めてKubotyのバンドと対バンしたんですよ。で、またウチのギターがやめるとなった時にKubotyのバンドも分解して、"俺で良かったら手伝うよ"と言われて。

日高:そこで今のTOTALFATが揃うんだ。でもあのキャラをコントロールするのは大変じゃなかった?

Shun:メタル大好きですからね。しかも前のバンドでKubotyはギター・ヴォーカルでしたからね。ただ、SNSなしで出会っているから、それで今でもやれているのは強みですね。

日高:その絆は一生モンだよね。TOTALFATは実は熱くて、古臭いことも大好きな連中じゃん。だけど、見た目のチャラさで勘違いされて、損してるよね?

Shun:いや、僕らは得してると思ってるんですけど(笑)。途中でアングルを変えるというか、マジメそうに見えてチャラい奴より、チャラい奴に見えて実は熱いんだね、という方がいいかなと。そもそも周りがビックリするぐらいマジメにやってたんですけど。某ちゃんねるにチャラいと書かれて、悔しいからチャラくなろうって(笑)。俺らはモテなさそうな感じで、バンドやるのが嫌で。

日高:はいはい、安っぽい感じではなくね。

Shun:そうっすね。俺らが憧れたバンドって、安っぽい格好してなくて、お姉ちゃんはべらかせて、リッチで......みたいな。だから、俺らは憧れて育ったものに従順に音楽をやれてる自信はあるんですよ。

日高:逆に生真面目だからこそ、ちゃんとルックスもマネしようってことね。普通バンドマンって、服は手を抜くじゃん。まず音楽一生懸命やって、楽器買って、服は二の次だからね。TOTALFATはバンドとして全部をちゃんとやりたいってことなんだろうね。

Shun:そうですね。自分たちが聴いてた音楽がカルチャーもレペゼンしてましたからね。昔は俺らもDickiesのハーフ・パンツに長ソックスにVANS履いてましたけど、指差して笑われましたからね。見てくださいよ、今のキッズたちを!

日高:はははは。ベッタベタの格好って難しいよね......下手すりゃコスプレに近いもんね。今の恵まれすぎのキッズたちの環境って、どうなんだろうね?

Shun:キッズというか、ユーザー側はすごく便利でいいと思うけど、結局は作り手が大変なのかなと。全体の流れがインスタントになってるし、俺の中でいい音楽って10年後も聴けるものだから。普遍的なものに対する良さが、どんどん薄れてる気もして。

日高:音楽も、ティラミスやナダデココ状態になっちゃってね。

Shun:情報過多の弊害もあるなって。それが人間関係にも飛び火してる気がして。

日高:ペラペラになっていくというね。

Shun:否定しちゃいけないけど、かましてもいいのはワン・フィルターかなと。

日高:それ太字で! なんか、タバコのキャッチコピーみたいだけど(笑)。

-ここ数年はTOTALFATに対する偏見は希薄になってるんじゃないですか?

Shun:TOTALFAT熱いというのが伝わってくれて、俺らも日本語の曲をやるようになって気づいたのは、背負ってるものを伝えないと意味がないなと。「Place To Try」で"NARUTO"のタイアップが付いたことで親子連れが来るようになったり、自分が書いた歌詞をフェスで何万人もの人が歌ってくれたりすると、バンドをやる意味が自分の中で変わってきたんですよ。

日高:自分のために歌っていたものが、みんなのために歌う......そうやって変わる瞬間はあるよね。俺も"BECK"でアニメの主題歌をやって、これまでとは全然違うファンが増えたときに、ステージで日高さんが唾を吐くと、子供がマネしますみたいなクレームをもらってびっくりして。それを背負うつらさもあるけど、それを喜びや楽しみに変えられたら、こんなに素敵な商売はないよね。

Shun:僕らの中ではそういうキッズの思いを背負ってステージに立っているのがTHE OFFSPRINGなんですよ。どパンクな人が「Pretty Fly」をやる意味とか......。

日高:ゴリゴリのパンクスからは総すかんを食らってるだろうけど、本人たち的にはそれが狙いだろうからね。

Shun:自分も日本語を書いて考えかたが変わったときに、ルーツがブレてるのかな?と思ったんですけど。よくよく考えたら、核心に近づいてるんじゃないかって。それから自然と熱さが出てきたんですよね。

日高:スタイルをなぞるわけじゃなく、言いたいことをはっきり言う覚悟ができたのは本当に凄いなと思うよ。

Shun:そこからまたバンドの勢いが一速上がりましたからね。

-では、この辺でお薦めの1枚を教えてください。

Shun:RANCIDの新譜をおすすめしたいんだけど、THE OFFSPRINGの話をしたので、自分の人生が変わった『Americana』ですね。そのバンドとジャパン・ツアーも一緒に回ってますからね。

日高:Shunがゲストなので、西海岸で来るだろうと思ったから、西海岸ならOPERATION IVYでしょ。RANCIDとも繋がるしね。BEAT CRUSADERS時代にCLASH STORYというローカル・バンドと一緒に回って、サンフランシスコでライヴをやったときに、CLASH STORYのメンバーがOPERATION IVYのヴォーカルのJesseを紹介してくれて。そのJesseから"Be Yourself、君のままでいてくれ"という嬉しい言葉を言われて。まず自分が信じたことをやれないと、バンドはつらいからね。それでますますOPERATION IVYが大好きになったし、スカパンクの元祖でもあるし、THE SPECIALSやMADNESSはいたけど、あそこまでBPMの速いバンドはいなかったからね。あれを越える衝撃って、ここ20年ぐらいないかも。若者よ、OPERATION IVYを聴いてくれ!



【日高 央の1枚】

OPERATION IVY
『Operation Ivy』
(1991)

【Shunの1枚】

THE OFFSPRING
『Americana』
(1998)