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COLUMN

MINAMI NiNE ヒロキのてげてげ通信 第13回

MINAMI NiNE ヒロキのてげてげ通信 第13回

「なんとも言えない気持ち」の例を挙げるのは難しい。
例えば外国人留学生に「なんとも言えない気持ち」をちゃんと説明してくれと言われたら、僕は何と答えるのだろうか。
先日ベッドに横になりながら、ずっとそればかりを考えていたら朝になっていた。

結果、とある日のことを話そうと決めた。
ある大物芸能人の誕生日パーティーにバンドで呼んで頂いたことがある。
面識は無かったものの、アコースティックで一曲演奏してほしいというお話を頂戴し、恐縮ながら参加させていただいた。

一曲と言えど、長々とフルコーラスで聴いてもらうなんて少しおこがましいかな......と思った僕たちは、大物芸能人の方でも口ずさめる可能性の高い「カバー曲のサビ部分」だけを繰り返し歌うことに決めた。

なんとか盛り上げようと大声を張り上げ手短に挨拶。
そしてスケロクさんのタンバリンカウントを合図に、突然サビからスタート!
ワラビノの力任せの演奏はとてもパワフルだった。
実際には1分強ほどの時間だったはずだが、
やってる側の体感としては15分くらいに思えた。

理由を挙げる。
①「ところでどなた」感をひしひしと感じてしまったこと
②Myアコースティックベースの生音が引くほど小さすぎて、ほぼ飾りと化していたこと
③大物芸能人の方が本当にそこに居ること

その3つが奇跡的に合わさると「ド緊張」となります。
あなたの今後の人生、覚えておいて損は無いはずです。

演奏を終えた僕たちは一緒に飲ませていただく流れに。
後にも先にも、あの時ほどビールの味がしなかったことはない。
それは大物芸能人の存在感に圧倒されたからではなく、
妙な「すべり感」を自らが感じてしまったことに原因がある。

「なんとも言えない気持ち」をそれぞれが抱えたまま、僕たちは機材車に乗り込み終始無言のまま帰路についた。

ちなみに、翌年のお誘いは無かった。
留学生にこの話は通じるだろうか?
心配で仕方ない(そもそも、そんな機会あるのかな......)。

この先ずっと、誕生日パーティーにて「なんとも言えない気持ち」を抱えたアーティストが増え続けてくれることを切に願うばかりだ。
ハッピーバースデー。

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