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INTERVIEW

MINAMI NiNE

2020.09.03UPDATE

2020年09月号掲載

MINAMI NiNE

Member:ヒロキ(Vo/Ba) ワラビノ(Gt/Cho) スケロク(Dr/Cho)

Interviewer:山口 智男

南九節を掲げ、ハートウォーミングなメロディック・パンクを歌うMINAMI NiNEが、『HOMETOWN FOLKS e.p.』を配信版とCD版という2形態でリリース。配信版よりも1曲多いCD版は、"どんなときも自分たちを支えてくれた故郷宮崎に恩返ししたい!"というメンバーたちの思いから、宮崎県内店舗限定の販売となったところが、人と人との繋がりを大切にしてきた彼ららしい。そして、"こんな時だからこそ一緒に頑張らんか!"という決意と共にMINAMI NiNEの再出発がここから始まる。


止まろうとか、ペースダウンしようとか、もちろん考えてなかったですけどさらにやっていこうという気持ちにさせられました。気合は入っています


-8月28日に行った無観客の配信ライヴ("KIRISHIMA NIGHT vol.19~宅飲みとかしながら観るやつ編~")の感想や手応えからまず聞かせていただけますか?

ヒロキ:ライヴは半年ぶりだったせいか、3日ぐらい前から緊張し始めて(笑)。何年もライヴしてきたにもかかわらず、ライヴの感覚を取り戻せないまま本番を迎えたんですけど、音を出した瞬間にぱっと戻ったというか、"あぁ、こういう感じだったな"って、そこからは一気に楽しさが緊張を上回って、"やっぱりこれだ"と思いました。めちゃくちゃテンションが上がったんですよ。演奏しながらこの数ヶ月で一番幸せだなと思いました。ライヴができない間ももちろん楽しいこととか、幸せだと思うこととかはありましたけど、ライヴに勝るものはない。(ふたりは)どうでしたか?

ワラビノ:ライヴの感覚は、ヒロキ同様始まった途端思い出せたんですよ。ただ、翌朝起きたら身体がバキバキになっていて痛かったです(笑)。

スケロク:あぁ、久しぶりのライヴだったからね。

ワラビノ:運動不足だったんだなぁと思いました。

スケロク:僕も首が痛かったです(笑)。正直、最初は配信ライヴに対して抵抗があったんですよ。

ヒロキ:やっぱりライヴってライヴハウスに来てもらって、その空気も感じてもらってこそだろうって自分たちにも言い聞かせて、大事にしてきたので、画面越しに何か伝わるわけないと思っていたんですよね。

スケロク:でも、帰りの車の中で、全員が"やって良かったね"って(笑)。映像と音のクオリティも思っていた以上に良かったし、お客さんの待ってくれていた感も伝わってきたし、手応えはあったよね?

ヒロキ:うん。満足感がすごかった。

スケロク:ライヴって楽しいし、幸せなものなんだって改めて思いましたね。

-じゃあ、また機会があったら配信ライヴもやっていきたいと?

ヒロキ:そうですね。やってみて、これはこれで楽しいってわかりましたから。むしろ毎日でもやりたいです(笑)。

スケロク:"次回はこうしてみたら面白いんじゃない?"みたいなことも話しているんですよ。

-ファンもきっと楽しみにしていると思います。では、『HOMETOWN FOLKS e.p.』について聞かせてください。今回、CDは宮崎県内店舗限定という特別な作品になったいきさつを改めて教えていただけますか?

ヒロキ:コロナになる直前に、地元で開催されるマラソン("第58回延岡西日本マラソン")とゴルフの大会("第8回アクサレディスゴルフトーナメントin MIYAZAKI")の曲を作ってほしいというお話を貰って、同じタイミングで2曲(「Advance」、「Bloom」)作らせてもらったんです。ゴルフの大会は残念ながらコロナの影響で中止になっちゃったんですけど、地元のテレビでいっぱい僕らの曲が使われている、そのマラソンとゴルフのCMが流れたおかげで、家族や地元の友達が"見たよ"とか、"毎日流れているよ"とかって連絡をくれて。コロナの影響で、ライヴを含め目立った活動ができない間も、自分たちがなんとか元気にやっていることを、地元の人たちに伝えられたのはとてもありがたかったです。他にも地元の企業さん(株式会社九南)のイメージ・ソングを、MINAMI NiNEバージョンでやらせてもらったんですけど、そういうチャンスをいっぱい貰えて、どんどん顔も覚えてもらえたので、そのお返しにライヴしには帰れないけど、地元の人たちに元気を届けたい。そのためのCDというか、家や車で移動しているときに僕たちの曲を聴いてもらえたらいいなという気持ちを込めて、CDは宮崎限定という形でやらせてもらいました。

-昨年の夏にメジャー・レーベルを離れ、再びインディペンデントな活動を始めただけにマラソンとゴルフの曲を頼まれたことには、より励まされたのではないでしょうか?

スケロク:めちゃめちゃ嬉しかったですよ。

ヒロキ:メジャー・レーベルを離れたからって、止まろうとか、ペースダウンしようとか、もちろん考えてなかったですけど、さらにやっていこうという気持ちにさせられました。

ワラビノ:そこから自分たちでできることや、やりたいことを話し合っていくなかで、宮崎から出てきたバンドなんだから、宮崎の人にもっと知ってほしいし、応援してもらいたいし、逆にこっちからも何か返したいしってところで、今回のEPにも繋がっていったんです。

スケロク:ある意味、自由に活動できるようになったので、だったらもっと宮崎に恩返しできないかなって考えたんですよ。もちろん、今回のCDを欲しいって方は、全国にいてくれると思うんですけど、あえて宮崎のお店を通して買ってもらうことで――いろいろなお店に置いてもらっているんですよ。アパレル・セレクトショップとか、バーとか、美容室とか、自動車整備工場とか、スーパーとか。そこで買ってもらうことで地元に還元できるし、僕らも嬉しいし、宮崎の人たちも喜んでくれるだろうから、そういうやり方でできたらいいなと思って、まず自分たちの知り合いの、協力してくれそうなところに声を掛けたんです。そしたら、二つ返事で"協力したい"と言ってもらえて。中には10店舗ぐらい協力してくれる店を見つけてきてくれた友人もいたんですよ。

-CDショップじゃないお店には、どうやって置いてもらったんだろうかと思ったら、そういう人の繋がりだったんですね。

スケロク:"コロナの影響でどうしようかと思っていたときに、こういう話題を作ってくれてありがたい"って逆に言われちゃって。やって良かったと思いました。

-宮崎県以外からCDを欲しい人は、お店から通販で買うこともできるんですよね?

スケロク:はい。全国に発送してくれるお店があるので、バンドのWEBサイトをチェックしてみてください。

-そういう作品だけにマラソンの大会テーマ・ソングの「Advance」を入れて、ゴルフの大会CMソングの「Bloom」も入れてというふうに、収録曲は自然と決まっていたわけですね?

スケロク:はい。その2曲と、「098」という宮崎の曲と、コロナだから作った「Good baws」(※CD版のみ)を入れました。

-「Advance」と「Bloom」はどんなふうに作ったのでしょうか?

ヒロキ:「Advance」はマラソンの大会の曲だったので、疾走感がある曲にしたいと思いました。それとマラソンって自分との戦いというところがあるじゃないですか。タイムを1秒縮めるためにずっと練習を続けている姿を、スポーツ番組で見たことがあるんですよ。"一歩一歩足跡を刻んで"という歌詞があるんですけど、僕たちが想像もつかないような1歩とか、1秒とか、一瞬とかに選手たちが人生を懸けてやっていることが、初めて聴いた人たちにも伝わるように表現したいと思いました。自分たち的には、マラソンにすごく合う曲になったんじゃないかなと。最近、時間があるので、自分も夜ランニングするんですけど、そのときに実際「Advance」を聴きながら走っているんですよ。この曲、やっぱり走りやすいなと自分でも思いました(笑)。テンポ的にも歌詞的にも、最後の最後、ぐっと頑張りたいときに後押ししてくれる曲になりましたね。実は、最初に作ったときは、もうちょっとテンポが遅かったんですけど、CMの尺に合わせるために上げたんですよ。でも、結果的にそれが良かった。

スケロク:スピード感がうまく出ましたね。

ヒロキ:コロナになる直前のライヴでは、もうやっていたんですけど、すごくライヴ映えもするし、マラソンに限らず、いろいろな面で自分たちの代表曲になっていくんじゃないかなと思います。

-"誰かじゃないたった一人の/自分に挑み続ける日々よ"という歌詞は、もちろんマラソン選手の気持ちだと思うんですけど、マラソンをやっていない人が聴いても、特にこういう状況だからこそ、響きますよね。そんなふうに「Advance」は歌詞からもマラソンのことを歌っているとわかるのですが、「Bloom」の歌詞には特にゴルフを連想させる言葉や表現は出てきません。

ヒロキ:"アクサレディスゴルフトーナメント"という大会は、花がコースに置いてあって、その花は地元の農家さんが作っているんです。その花の中で選手たちがプレイしてっていう大会なので、花をモチーフに歌詞を書きました。大会の当日を迎えるまでに、その花を育てる人がいて、大会を準備する人がいて、大会で実際に注目されるのは選手なんですけど、その大会を支えている人たちが大勢いるということを表現したんです。

-"日の当たらない場所に生きる"というフレーズは、そういう意味だったんですね。

ヒロキ:はい。その全員が主役という気持を込めました。

-それはMINAMI NiNEがこれまでも大事にしてきたものですね。

ヒロキ:ゴルフなんて、僕ら全然知らないし、それよりも花がコースに置いてあるというインパクトが強かったので、そういう曲にしましょうと提案させてもらいました。

ワラビノ:たしかに曲だけ聴いたら、ゴルフとの関連づけは難しいですよね(笑)。

ヒロキ:花を置いていない大会だったらまた全然違う曲になっていたと思います。

スケロク:でも、最初悩んだよね。ゴルフというテーマにどうアプローチするか。

ワラビノ:ゴルフの歌を作れと言われたら難しいな。

ヒロキ:"プロゴルファー猿"を1巻から読むしかなかったと思います(笑)。

-その「Bloom」はイントロでメロディを奏でるベースが印象的ですね。

ヒロキ:逆転の発想です。ギターとベースの役割を入れ替えて、ベースでギターが弾くようなフレーズを弾いたら、3ピースのアンサンブルに足りないものを補えるんじゃないかと考えたんですよ。この間の配信ライヴでも弾きながら、"うわ、いいフレーズだな"と自分でも思いました(笑)。