INTERVIEW
MINAMI NiNE
2020.09.03UPDATE
2020年09月号掲載
Member:ヒロキ(Vo/Ba) ワラビノ(Gt/Cho) スケロク(Dr/Cho)
Interviewer:山口 智男
-2曲目の「098」は宮崎県の観光名所や名物を歌い込んだ宮崎讃歌なのですが、"098"って何かと思ったら、宮崎県の市外局番なんですね。この曲は今回のEPのために作ったんですか?
ヒロキ:いえ、前回"TiPPING TOUR"と銘打って、チケット代の代わりに投げ銭してもらうというツアーをやったんですけど、それの宮崎公演の来場者特典CD用の曲として作りました。それが評判良かったので、今回歌詞をより宮崎に踏み込む形に書き直したんです。前のバージョンは宮崎の県央から僕たちが住んでいる県南までのことが多かったんですよ。県北までカバーしきれていなかったので、せっかくだから、県北の観光名所も入れて、宮崎県全体の曲としてもう1回レコーディングし直したらどう? となりました。なので、特典CDを持っている人は聴き比べてほしいです。
-宮崎の人が聴いたら、わかるわかるという言葉が散りばめられていると思うんですけど、知らない人も"これなんだろう?"といろいろ調べたら新たな発見があって面白いんじゃないかと感じました。
スケロク:宮崎に行きたくなると思います。
ワラビノ:観光地紹介ですからね。
-"黄色いあいつがなんで黄色いか/ちゃんと理由まで知っている"って歌詞は、どういうことなんだろうと思って調べたら、幸せの黄色いポストという縁結びのシンボルがあるんですね。
ヒロキ:あ、いえ。
-あれ、違いました?
スケロク:黄色いポストもあるんですけど。
ヒロキ:"黄色いゾウさんどうして~どうして黄色いの?"というCMがあるんですよ。それはバナナをたくさん食べるからっていう万代ホーム株式会社って住宅メーカーのCMなんですけど、僕たちが物心ついた頃からずっとテレビで流れているんですよ。ヤバいくらい流れているよね? 宮崎県民はみんなそれを聞きながら育つんですけど、中には、バナナを食べなくなる子もいるらしいです。
スケロク:黄色くなるから(笑)。
ワラビノ:黄色くなるのはミカンなのにね。
ヒロキ:それを歌ってみました(笑)。
-そうだったんですね。ところで、「098」はイントロのギターのカッティングが裏打ちで、スカ・パンクっぽいところもあるんですけど、ズンカズンカズンカって特徴的なリズムは宮崎特有のものなんですか?
ヒロキ:いえ、宮崎特有というか、南国のイメージですね。沖縄とか。ちなみに沖縄も市外局番は098なんですよ。
ワラビノ:そのイントロは特典CD用に作ったときにはなかったんですよ。
ヒロキ:踊りやすい曲にしたかったんです。楽しい感じを表現したかったので、"宮崎県ってどんなところ?"って聞かれたら、"「098」の歌詞を読んでください"って答えたいんですけど、そのとき、みんなに楽しいイメージを持ってもらえる曲になったと思います。
ワラビノ:さっき言ったイントロも含め、特典CDのときには入ってなかった音も加えているので、特典CDを持っている人も同じ曲が入っているとがっかりせずに、細かい違いを見つけて楽しんでほしいですね。
-そして、4曲目の「Good baws」は、コロナ禍における現在の気持ちをストレートに歌っています。
ヒロキ:まさにそうですね。僕だけが歌ったらちょっと足りないと思って、3人がこういう思いですということを表すためにサビは3人の掛け合いにしてみました。
-今回のEPは奇を衒わずに、変に飾らずに、MINAMI NiNEの今をストレートに伝える作品になったと思います。そういう意味では、最初に考えた宮崎に恩返しというテーマだけにとどまらず、多くの人が共感できるものになったと思うのですが、レコーディングした楽曲がCDという形になった今、改めて、どんな手応えを感じていますか?
ヒロキ:本当の意味で原点回帰できたと思います。今回、流通を通さず、自分たちで"置いてください"ってお願いするところから始まったわけですけど、それってバンドを始めた頃、ずっとやっていたことなんですよね。僕ら、もうすぐ結成9周年なんですけど、最初は自分たちでCD-Rを焼いてケースに入れて、ジャケットも入れて発送したり、ライヴ会場で売ったりっていうことをやっていたので、そのCDを手に取ってくれる人とか、聴いてくれる人とか、販売してくれるお店の人とか、場所とかが、簡単に想像できたんですよ。それが流通作品を出しているときは、誰に届いているのかはっきり見えなかった。ライヴに来てくれる人たちはわかるんですけど、そうじゃない人たちももちろんいて、自分たちの作品がすごく遠くに行ってしまう感覚があったんですよ。だけど、今は原点に戻ったからこそ、より身近に感じられる。なので、こういう形で出して良かったと思いますし、大切なことをもう1回思い出させてくれた気がします。また、ここからイチから頑張ろうという気持ちで、気合は入っていますね。
-具体的なことは言いづらい状況ではあるのですが、MINAMI NiNEは今後、どんなふうに活動していこうと考えているのでしょうか?
ヒロキ:また、いろいろなところを回ってライヴができるようになるまでは、配信ライヴはもちろん、ガイドラインを守ったうえでお客さんを入れてもやりたいですし、誰もやっていないようなことも探し続けたいですし、とにかく今は、いつでも出せるように新しい曲をどんどん作りたいと思っています。
スケロク:曲のストック、ヤバいですよ(笑)。
ヒロキ:すでにプリプロも進めていて、どれを選んだらいいのかわからないぐらいたくさんできあがっているんですよ。
スケロク:もう、いつでもフル・アルバムを出せるので、楽しみにしていてください。