COLUMN
SOILWORK BjornのSTABBING THE COLUMN vol.16
やぁみんな。どこから書きはじめたらいいのか、ちょっと判らないな。
日本での地震のニュースが伝えられた時、はじめ俺はそれがどのくらい酷いものか判らなかったんだ。毎年多くの日本での地震のニュースを聞くけど、でも今回は違う。今回はとても大きな地震だった。知ってると思うけど、俺は以前多くの時間を日本で過ごしていた。そしてみんながいつも大地震のことに関して、それはあまり遠くない未来にやって来ると話していたよ。「2013年に地球が終わってしまう」みたいな、いつも耳にする予言のひとつのようにしか思っていなかった。そして遂に発生して、俺はとても恐怖を感じているよ。地球の反対側で見ているだけなのに。
俺はこれまでに3回地震を体験してるんだ。2回は日本で、1回はスウェーデンで。これはそれぞれ違うものだった。最初の体験は日本にTERROR 2000で行って、レコード・ショップの5階でサイン会をしていた時だ。二日酔いで頭がクラクラしてたんだけど、そのうちCDの棚が揺れはじめて、俺はパニックになりかけてたんだ。でも全然気にしてない様子のファンたちの前だったし、スウェーデンのメタル・バンドのシンガーが、こんなことにビビってたら情けないんで、平然なフリをしていた。「奴らは朝食に生肉を喰うような連中だ」と思われているわけだからね。でも本当はかなりビビっていた。2回目も日本で、京都の静かな場所でベッドに入ろうとしていた時だった。マジで不気味な轟音が響いてくるのが聞こえたんだよ。3回目はスウェーデンで、これはまったく予期していなかった。アパートで震えながら起きて、何があったのかよく判っていなかった。親父に電話して「アパートが崩れそうだ」と言ったら、親父は「夢でも見たんだろう。寝てなさい」と言った。そして翌朝親父から電話があって「本当だった。地震だった」と。それくらいスウェーデンで地震は珍しいことなんだよ。
いずれにしろ、日本のみんなが体験したものに比べれば全然大したものじゃない。最初に思うことはいつも同じで、「Oh My God, 俺たちには何もできない、母なる自然が唸っている」ということだ。自分ではどうしようもなくなるという恐ろしい感覚が、パニックを起こす。今回大地震が襲ってきて、毎分が一生のように感じたことだろう。収まっても、終わっていないんだ。それから津波が襲ってきて、何もかも流してしまった。命や家が永遠に破壊される。震災はみんなの命を奪ってしまう。命と数多くの歴史があるものを流してしまう光景を移した映像を見ていると、心が破れてしまう。勇敢な「フクシマ50」(※)の人たち。絶望的な時と絶望的なもの。いつも日本のことを想っているよ。俺を両手で歓迎してくれて、本当に素晴らしい愛情と友情を示してくれた。みんなは他にはない情熱と献身できっとまた復活する。ガンバレ!
愛を込めて
ビョーン“スピード”スピリット
(※)文中の「フクシマ50」とは、3月11日に発生した東日本大震災の際、この対応業務に従事していた人員の内、同発電所の事故が発生した後も残った約50名の作業員に対し欧米など日本国外のメディアが与えた呼称。
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