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LIVE REPORT

シュレーディンガーの犬

2022.12.21 @新宿BLAZE

Writer 長澤 智典 Photographer:saru


輪廻転生し続けるのが定めなら、ならく、ひっそりゆうみ、いち、もなのシュレーディンガーの犬の姿も、しっかりと胸に刻み込め!

輪廻転生し続けるのが定めなら、ならく、ひっそりゆうみ、いち、もなのシュレーディンガーの犬の姿も、しっかりと胸に刻み込め!


9月に始まった全国ツアーが、12月21日に新宿BLAZEで行った15本目の"シュレーディンガーの犬 2nd ライブツアー『シュレ犬 Protocol ~2022 Fall~』in 東京<FINAL> ~2nd anniversary SP!!~"を持って幕を閉じた。タイトルにも記されたように、この日はツアーの最終日であり、シュレーディンガーの犬の結成2周年を祝う公演にもなっていた。この日で、ひっそりゆうみがグループを卒業。新たにメンバーふたりを加え、現在は5人編成で活動している。ならく、ひっそりゆうみ、いち、もなとして最後のライヴとなった。

この日は、彼女たちが持っている高いポテンシャルを最大限発揮できるバンド(Gt:TANO(ex-REIGN)、yuji(ex-SuG)、Ba:けん(ex-アンド)、Dr:優一(ex-AUBE/Shulla) )を従えてのライヴ・スタイル。さらに、マスク越しなら声出しOKで、モッシュ、リフトなども常識の範囲内で各自が判断のように、かなり規制の緩い環境。まさに、求めるべき理想に限りなく近い環境でのライヴになったことも、先にお伝えしておきたい。

煌びやかな音を振りまきながら躍動する「Overture」に合わせ、フロア中からクラップが鳴り響く。メンバーたちの登場に合わせ沸き立つ熱狂。4人も、ステージの最前まで踊り出て観客たちを煽りだす。

重厚な轟音が鳴り響く幕開けに合わせ、メンバーたちが高く手を掲げクラップを始めた。ライヴの冒頭を飾ったのが「jumpin'」だ。演奏が一気に重さと速度を上げるのに合わせ、メンバーたちも感情のギアをグッと1段アップ。フロア中を駆け巡りながら歌えば、お立ち台の上に立ち、拳を高く突き上げ、満員の観客たちを煽り続ける。巧みに速度と表情を変えてゆく楽曲に合わせ、4人も歌声の表情を塗り替え、フロア中の人たちの気持ちを鼓舞していた。さぁ、このままステージとフロアの境界線を超えてしまえ!

速度とカラフルな音を増した「What's going on」に乗せ、メンバーたちが甘い歌声で刺激する。疾走する演奏を背負いながら、この曲でも4人は拳を高く突き上げ、時にハイトーンの声も響かせて観客たちを煽る。フロア中に飛び交う熱い声。その様を目にしたメンバーらは、もっともっと騒ぎなよと言わんばかりに、少し甘えた声でけしかけていた。キャッチーなサビに合わせ、メンバーとファンたちが気持ちをひとつに大きく手を振る様も、心地いい一体感を覚える嬉しい景色だ。

熱した鋼のような演奏の上で、シュレーディンガーの犬は「『独りヒトリ』」を通し"「私は他のコと違う」"と凛々しく歌を突き刺した。サビで届けたキャッチーな歌に気持ちが嬉しく弾む。リフやリズムと歌声がシンクロしたときの高揚感が、とても気持ちいい。時に胸に手を当て熱のこもった声を張り上げるなど、4人は1曲の中へいろんな表情を映しながらドラマチックに攻めていた。

高ぶる声で歌うメンバーへ引っ張られるように、演奏も熱を帯びる。彼女たちは激音の中へ浪漫を抱かせる「君の記憶の中に居たい」を通し、壊れそうなもろい心模様を次々と映し出してゆく。言葉を重ねるごとに伝える思いの輪郭がくっきりと描き出されるようだ。言葉を突きつけるポエトリーと熱い思いを声に乗せてぶつける歌が1曲の中で交錯してゆく様も、嬉しく心を騒がせる。彼女らは歌の世界へ気持ちを憑依させ、心揺れるままに声を届けていた。終盤、メンバーたちが観客たちを煽る場面で、フロア中から拳が高く突き上がる景色も最高だ。

音の表情を一気にカラフル&ポップに塗り替えながら、4人は気持ちを明るく解き放つように「Underdog」を届けてきた。疾走した演奏の上で、"何でもない言葉集めて 星を降らせよう"と気持ちをときめかせて歌いだす。その声に刺激を受けた人たちが、カラフルな音と歌が降り注ぐ空間の中、身体を大きく揺さぶり、時に飛び跳ねながらその眩しさを全身で受け止めていた。メンバーらと観客たちが一緒に大きく手を振りながら、ともに笑顔でわちゃわちゃと弾ける。胸がスカッとしてゆく最高のアップ・チューンだ。

自己紹介のたびに、フロア中から飛び交う熱い声、声、声。ここはすでに心が騒ぐ嬉しい無法地帯だ。

次のブロックは,激烈チップ・チューンの「Adolescent Noise」からスタート。激しさとカラフルな音がミックスし、彩り鮮やかなドロップを口いっぱいに頬張るような感覚を胸に、4人は爆走する音に乗せて甘い声の衝撃を届ける。沸き立つ思いのまま、シリアスな心模様を愛らしい歌声でぶつけるメンバーたち。唸りを上げて疾走する楽曲の上でも、4人は歌声のタクトを振りながら、青春という色が似合う感情を曲の中へ次々と塗り重ねていた。轟音を上げて駆ける楽曲に合わせ、フロア中の人たちが身体を大きく揺さぶる。その様を見ながらも、4人は痛い青春の衝動へ導かれるままに甘い歌声を降り注いでいった。

熱いクラップの音も演奏に加えながら、シュレーディンガーの犬は爆走するポップ・チューンの上で「DoublE SliT」を歌いだした。メンバーらの振りに合わせ、一緒に振りを真似する観客たち。熱を帯びてエモさが増す楽曲に乗せ、メンバーたちも感情のギアをさらにグッと上げ、時に笑顔でパフォーマンスを見せながらも、観客たちの身体をずっと揺さぶり続けていた。後半は転調し、さらに熱量を上げる展開が気持ちを熱く高ぶらせる。甘くキャッチーな衝動に、キュンと胸アツだ。

演奏は止まることなく、華やかな音を振りまきながら「EgOiStIc LoVe」へ。カラフルなEDMサウンドと轟音ラウドな音がクロスオーバーしてゆくなか、メンバーたちは甘えた素振りも見せながら歌い掛ける。激しさを伴い、次々と彩り豊かに転調してゆく曲の上で、メンバーたちのアツい声が響き渡り、ひとりひとりの歌声が気持ちを嬉しく騒がせる。最高に扇情的な高揚ナンバーだ。落ちサビでは、フロアのあちこちでケチャする様が生まれれば、リフトをする人も登場。胸を熱く揺さぶるキャッチー且つエモーショナルな楽曲に気持ちを揺さぶられながら、一緒に恍惚を感じていたい。

熱のこもった演奏は 、止まることなく「Straydog」へ。時に、お立ち台に立って観客らを煽るメンバーたち。この曲でも4人は、胸をくすぐるメロディアスな歌を突き刺し、場内に手を大きく振り上げる景色を作りだす。間奏では、メンバーらの"言いたいことがあるんだよ"の声に続いて、フロア中から熱いミックスも飛び交う。疾走する楽曲の上で、彼女たちはここ(ライヴ空間)へ生きた証を刻むように歌声を届け、華やかな曲調へ引っ張られるみたいに明るい姿を見せながら、高揚した気持ちを突きつけていた。

轟音を上げて演奏が暴れだした。フロア中の人たちが「アニマニフェスト」に合わせ、激しく踊る。メンバーたちは、高ぶる気持ちを突き上げた拳や振りに乗せ届けていた。舞台の上を左に右にと移動しながら煽る様もチャーミングだ。転調した轟音に乗せオラオラと煽るように歌えば、サビでは甘くかわいい声を響かせるなど、1曲の中で巧みに表情を塗りかえてゆく様も刺激的だ。今を全力で駆け抜ける強い意志を、4人はフロア中の人たちに向け声高に響かせていた。

ヒリヒリとした演奏の上で、メンバーたちは思いを熱くメッセージとして届けてゆく。「Protocol.」だ。緩急巧みに表情を塗り変える曲展開に合わせ、彼女たちは歌声の色も巧みに塗り変える。高まる思いへ導かれるままに、4人は"そのプライドは要るの?"と生きるための指針を仲間たちへ向けて呼び掛け、唸る轟音に乗せ、ここから一緒に未来を作りあげようと誘いを掛けていた。