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FEATURE

シュレーディンガーの犬

2023.03.16UPDATE

2023年03月号掲載

"シュレ犬"サウンドの変遷と、新体制初楽曲「Reincarnation」が物語るグループの現在

Writer : 山口 哲生

"EDM × ROCK"をコンセプトに掲げるアイドル・グループ、シュレーディンガーの犬(通称:シュレ犬)。昨年12月に新メンバーが加わりならく、いち、もな、さりあ、るるかの5人体制で新たなスタートを切った彼女たちだが、先日、新体制での初楽曲「Reincarnation」を発表。ミュージック・ビデオも公開された。同曲について触れる前に、まずはシュレ犬の音楽について振り返っていこう。

シュレ犬の楽曲群は、グループが掲げている"EDM × ROCK"というコンセプトの通り、エレクトロニコア/ピコリーモ系のサウンドが軸になっている。2020年12月のグループ始動時に(ライヴで)発表された「starry night」や、2021年8月にリリースされたSxun(ex-Fear, and Loathing in Las Vegas/Gt)作曲の「アニマニフェスト」などは、まさにそのもの。ライヴという現場で威力を発揮するものになっていた。そこからも次々に楽曲を送り出していったのだが、リリースを重ねるごとに、少しずつサウンドの重心が下がっていく。ミュージック・ビデオも公開されている「Hype up!」あたりからその傾向は顕著になり、前作「D.T.F」では、サビこそメロディアスだが、エグさ満点のギター・リフが轟くイントロやブレイクダウンを擁していたり、ガバやデジタル・ハードコアを彷彿とさせる極悪な間奏もあったりと、恐ろしくヘヴィな仕上がり。また、楽曲がハードになるにつれて、ダンス・パフォーマンスも徐々に激しくなっていったと、以前、激ロックでのインタビュー(※2022年11月号掲載)で彼女たちが答えてくれていた。

【MV】Hype up!【シュレーディンガーの犬】

そして、このたびリリースされた「Reincarnation」は、そんなシュレ犬の初期曲の雰囲気を、現在のサウンド感で構築しているような印象を受けた。同曲の作詞作曲を担当したのは、Yoshito Abe。前述の「starry night」や「Hype up!」も手掛けているコンポーザーだ。凄まじく重量感のあるギター、豪快に繰り広げられるリズム・セクション、要所で耳に飛び込む高揚を煽るシンセ音が絡み合うエレクトロニコア・サウンドと、"Reincarnation=輪廻転生"というタイトルの通り、何度苦難が訪れようとも、諦めることなく前へと進んでいこうとする、まさに新体制として走り始めた彼女たちの今が綴られている歌詞が、とにかくドラマチック。5人が代わる代わるマイクを取る歌割も、新メンバー含め、5人の声の個性がしっかりとわかるものになっているだけでなく、ラップ・パートを多く盛り込むことでより躍動感のあるものに仕上がっている。

【MV】Reincarnation【シュレーディンガーの犬】

また、同曲はミュージック・ビデオも公開されているが、構成を大まかに分類すると、カジュアルな服装をした各メンバーのソロ・カットと、ステージ衣装でダンス・パフォーマンスを繰り広げているグループ・カットの2シーンがメイン。そこにバック・バンドの演奏カットが効果的にインサートされることで、よりスピード感のある画になっている。ちなみに、映像に登場している4人(TANO(ex-REIGN/Gt)、yuji(ex-SuG/Gt)、けん(ex-アンド/Ba)、優一(ex-AUBE/Shulla/Dr))は、現在シュレ犬がバンド・セットでライヴをする際に、実際にバック・バンドを務めているメンバーたち。そんなところからも、新体制でチーム一丸となって突き進んでいこうとする、シュレ犬の現在が伝わってくるようだ。

過去の自分たちをアップデートし、再び歩き始めた現在を提示した「Reincarnation」は、彼女たちの新たな代表曲として、ここから多くの現場を沸かせ、オーディエンス/リスナーの身も心を強く揺さぶる力強さに溢れている。



▼リリース情報
シュレーディンガーの犬
NEW DIGITAL SINGLE
「Reincarnation」
Reincarnation.jpg
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