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LIVE REPORT

夢みるアドレセンス

2018.05.24 @渋谷WWW X

Writer 秦 理絵

アイドル・グループ、夢みるアドレセンス主催のツーマン企画"YUMELIVE DEATH MATCH VOL.01 supported by 激ロック"が渋谷WWW Xで行われた。ツーマンの相手は謎の覆面バンド Xmas Eileen。前代未聞の異色の対バンは、アイドルとロックというジャンルの垣根を軽々と飛び越えて、独自のスタイルを確立する2組が互いを讃え合う意義深い一夜になった。

昨年12月に7人体制になった夢アド(夢みるアドレセンス)の新メンバー、水無瀬ゆきが"DJゆざめ"名義でプレイしたオープニングDJでライヴはスタート。夢アドの「くらっちゅサマー」や「アイドルレース」といったライヴ・アンセムのほか、℃-uteの「まっさらブルージーンズ」、ASIAN KUNG-FU GENERATION「リライト」など、フロアに集まったお客さんの"これ、好きでしょ?"というツボを絶妙に突く選曲で、フロアをしっかりと温めていった。

本編のトップ・バッターは、不気味な白い仮面にトレンチ・コートがトレードマークの7人組バンド、Xmas Eileen。"死ぬ気でかかってこい!"というギターの叫び声を合図に、「Kiss me Kill me tonight」からヘヴィなミクスチャー・ロックがフロアの空気をビリビリと震わせた。ツイン・ヴォーカルとパフォーマーをフロントに置き、DJを擁する総勢7人はステージに立つだけで壮観だ。MCでは"「アイドルとロック・バンドが一緒だとお客さんの空気的にやりづらくない?」って聞かれることがあるけど、そんなことにビビってたら音楽はできない。アイドルのファンも俺たちのファンも一緒に楽しめると思ってるから"と、Vo.右。それは"音楽をやる側"だけの意識ではなく、"受け取る側"にしても同じだ。あらゆるジャンルの壁が崩壊した今のミュージック・シーンを楽しむには、ジャンルの固定観念は邪魔なだけ。Xmas Eileenの音楽には、そんな信念のようなものがあるからこそ、どんな対バンのステージでも自分たちの味方を増やしていけるのだ。さらに、"(夢アドに)勉強させてもらってる"と、同じようにステージに人生を懸ける者として、夢アドへのリスペクトを込めたギターの言葉も印象的だった。ライヴの後半は、穏やかで陽気なレゲエ・テイストの「March」、パフォーマーのモンキー・ダンスが狂騒を生んだ「Walk the Talk」、目まぐるしく展開するサウンドに解放的なメロディが心地よい「99.9」など、超絶テクニックを駆使した総力戦でフロアのヴォルテージをマックスへと導いていく。ラスト・ソングは、雄々しいコーラスが響きわたった「Keep on A・B・C・ing」。一瞬たりとも休ませずにフロアを踊らせたXmas Eileenのステージは、ただその快感に身を委ねることが唯一の正解だ。

DJ TATSUYAによるハーフ・タイムDJのあと、いよいよ夢みるアドレセンスが登場。Xmas Eileenとの対バンということで、仮面をつけ、衣装は革ジャンというロックな姿だ。オープニングはヤバイTシャツ屋さんのこやまたくや(Vo/Gt)が手掛けた「アイドルレース」。アイドルを取り巻く現状を痛快に描いたロック・ナンバーに合わせてクールなダンスでキメた。ORANGE RANGEのNAOTO(Gt)が手掛けた和テイストの「桜」、海外の最新R&Bを彷彿とさせるMINMIによる大人っぽい楽曲「リーダーシップ」へと、錚々たるミュージシャンが手掛けたまったく違う表情の楽曲たちを、夢アドは全力で歌い、踊りこなしてゆく。特に、前述の「リーダーシップ」や、このあとに披露された、ねごとの蒼山幸子(Vo/Key)によるスタイリッシュなナンバー「プラスチックガール」は、いわゆる踊りやすいタイプのアイドル・ソングではなく、歌としての難易度も非常に高いが、そういう楽曲に真っ向から立ち向かい、7人が次々にフォーメーションを変えながら魅せるステージはとてもスリリングだ。

"DEATH MATCH"ということで、ロックでパンチのあるキャッチフレーズでメンバーがひとりずつ自己紹介をすると、懐かしいナンバー「証明ティンエイジャー」を新体制初披露。力強いロック・ナンバーに乗せて、"つかめよ! きらめくセカイ"というポジティヴなフレーズが伸びやかに響きわたった。ライヴの中盤には、7月25日にニュー・シングル『メロンソーダ』をリリースすることを発表。"ちょっとだけ聴いてください"と期待感を煽るも、まさかのイントロのみというオチで笑わせた。この曲は、6月20日の"YUMELIVE DEATH MATCH Vol.2 supported by Skream!"で全編が披露されるかもしれないとのことだ。ライヴの後半は、相川七瀬の「夢見る少女じゃいられない」を怒濤のメタル・アレンジに変えて激しいダンスを見せると、SCANDALのMAMI(Gt/Vo)が作詞作曲を手掛けた「Exceeeed!!」、OKAMOTO'Sの面々がレコーディングに参加した「舞いジェネ!」など、エッジの効いたロック・ナンバーで渾身のパフォーマンスを見せてライヴは終了。そのステージを観れば、なぜ個性豊かなバンドマンたちが、彼女たちに楽曲を提供するのかがよくわかる。ことさら顔面偏差値の高さを売りにするアイドルでありながら、それぞれの楽曲に体当たりでぶつかる泥臭いステージは、彼女たちが決して"カワイイだけ"ではないことを感じさせるのだ。

アンコールでは、メンバー全員が夢アドのTシャツに着替えて登場。"「DEATH MATCH」ってどういう意味か知ってる? 血を流して戦うっていう意味だからね。まだまだ足りてないわけ。ぶっ飛んでいこうぜー!"と叫ぶと、「ファンタスティックパレード」へ。KEYTALKの首藤義勝(Vo/Ba)が手掛けたキャッチーな楽曲に乗せて、お客さんの合いの手や手拍子を交えながらフロアを一体にする楽しいパフォーマンスでライヴを締めくくった。

なお、6月20日に開催される"YUMELIVE DEATH MATCH VOL.02 supported by Skream!"には、ハロー!プロジェクトからこぶしファクトリーの出演が決定。第1回目はロック・バンドVSアイドルという異色対バンだったが、次回は正真正銘ガチンコのアイドル対バンになりそうだ。

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