LIVE REPORT
Xmas Eileen
2017.06.22 @LIQUIDROOM ebisu
Writer 吉羽 さおり
4月にリリースした1stシングル『99.9』を携えて、全ヶ所ワンマンによるツアー"Xmas Eileen「99.9」TOUR 2017"が開催された。東京の会場となったのは、恵比寿LIQUIDROOM。平日ではあったが、会場内は多くのTシャツ姿のキッズで埋まっている。ジングルベルのSEと同時に会場が沸き立ち、まずは楽器隊のドラム、ギター、DJ、ベース(サポート)、そしてヴォーカルふたりとパフォーマーが登場。"東京、準備はいいか"というギターの声で、「Kiss me Kill me tonight」のアッパーな四つ打ちビートがフロアを襲う。"東京、遊びに来たぜ"とVo.左が声を上げると、ギターやベースがステージを駆け回り、パフォーマーが観客を煽っていく。パンチのあるオープニングから、「Are You Free?」、そして「Still a Liar」へと、さらにヘヴィなサウンドで攻め入ってくる。「Still a Liar」では、全員がステージ最先端へと乗り出してくる、その圧が凄まじい。熱気で満ちた会場ながら、トレンチコート姿で跳ね回っているのも、迫力たっぷりだ。"たぶん僕たち、生きてきて一番、面白いです"とVo.右。そして、"ロック・バンドなので、きっちり音楽やって帰ります"と、「No justice in this world」でド派手にぶちかましていく。ヴォーカルふたりとパフォーマーとが代わる代わる声を上げていく波状攻撃のスタイルは、ライヴという場でさらに大きく映えるし、とてもダイナミックだ。「Wonderful Life」のようなミディアムなレゲエ・チューンを挟んで、再びソリッドな「And be My Friend」でシンガロングを起こすと、"ここから見る景色、最高です"とVo.右。しかしその横で、パフォーマーが"ちょっと休憩させて......"とメンバーに汗を拭いてもらいながら、ブルゾンちえみ風に"正直、パフォーマーいらねぇじゃんって思ってない? お母さんにも、Xmas Eileen始めて「あんたのパートなんなの?」って言われた回数──350回"と、旬なネタと掛け合わせながら、"でも俺がいないと、始まらないだろ!?"と、「Growing Crime」でメタリックなサウンドで加速するという、流れのできあがりぶり。ツアーでの成果が窺える一幕だろう。
「Growing Crime」からスタートした中盤は、「Zombie」や「Escape to Paradise」とバキバキに重厚な曲を連打し、また「Don't say good-bye」、「Future Song」、「March」というメロウな、グッド・メロディで一体感を作り上げていく曲が並んだ。この流れからのハイライトが「Darling」。フロアの熱をぎゅっと束ねて、一気に解放していくかのようなドラマチックで、カタルシス感たっぷりのミディアム・チューンだ。変化に富んだセットリストはワンマンならではであり、また緩急あるドラマ性を生み出せるのも、Xmas Eileenサウンドの幅広さである。
そして後半は、本ツアーのタイトル・チューン「99.9」よりスタートした。トレンチコートを脱ぎ捨てたカジュアルなスタイルで、"うちのバンド、どストリートでしょ。街のチンピラが、みんなのおかげで一丁前にステージに立てています"(Vo.右)とフロアの興奮を煽っていき、"ここからノンストップでいくぞ"(Vo.左)と、アッパーな「Fly High」から「Before the Skyfall」へとそのビートを加速させる。観客のステップを止めることなく、フロアを大きく揺らしそしてかき回しながら、会場をアツアツな状態へと持っていく。"俺たちと最高のバカになってくれよな。ロックしようぜ!"(Vo.左)という言葉から、ボリュームをマックスに上げて「Walk the Talk」へ。勢いそのまま、客席へとダイブするDJを、フロアも最大の盛り上がりで迎え入れる。怒濤のアグレッシヴなサウンドから、ラストは「Keep on A・B・C・ing」でこの日一番のシンガロングを巻き起こしていった。
止まない歓声のなか、アンコールに登場したXmas Eileen。まだ湯気が立ち上りそうなほど暑いフロアに送ったのは、キラキラとセンチメンタルな「Good-bye Summer Day」。心地よくメロウなビートとメロディでチルアウト──というエンディングになるのかと思いきや、そこからの「Kiss me Kill me tonight」! ここで1曲目に戻って、もしかして無限ループか!? という嬉しい悲鳴を巻き起こしながら、ラストまで大爆走の東京公演を終了した。ライヴ・バンドとして、楽しく、且つかなりタフに磨きがかっているツアーだ。
- 1