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LIVE REPORT

UPLIFT SPICE

2014.04.19 @TSUTAYA O-WEST

Writer 荒金 良介

"UPLIFT SPICE ØØØ TOUR 2013-2014"と題したツアーは昨年11月30日から始まり、今年ようやくファイナルを迎えることになった。最新アルバム『ØØØ』は同期を積極的に取り入れ、音楽的にもメタルコア、スクリーモ、ポップ・パンク、エモ、J-POPなど、自分たちの表現欲にリミッターをかけずに爆発させた会心作に仕上がっていた。ゆえにこの日もどんなライヴを披露してくれるのか、興味津々で会場に足を運んだ。

18時12分、登場SEが流れるや、会場は割れんばかりの歓声とハンド・クラップが響き、1曲目「TheHangedMan」が始まるとドドドーッと観客が前に押し寄せる。2曲目「マイノリティ・パレード」で千織(Vo)は前柵に足をかけて観客に向かって熱く歌い上げ、バンドと観客がぶつかり合う相乗効果でフロアはもみくちゃのカオスになっていた。金髪のYOOKEY(Gt)は繊細なギター・ワークで攻め、Kenji(Ba)は激しくステップを踏みながら野性味溢れるベースを弾き、tovita(Dr)もタイトかつキレのあるビートを叩き、バンド一丸となって突進してくる迫力に圧倒された。最新作の表題曲「ØØØ」のサビでは観客も一斉にジャンプし、それからエレクトロ~ブレイクダウンと数珠つなぎのように展開する流れにも興奮した。 "ようやくこの日が来たね。4月19日、養育(よん・いち・く)費は払えよ!"と千織の突発的な不思議MCに笑いが起きる中、MVにもなった「U & I」に移る。ヘヴィとメロディアスな要素が交互に押し寄せる起伏に富んだ曲調もライヴで格段に映えていた。中盤には"ワチャワチャ破茶減茶"のぶっ飛んだ歌詞がインパクト大の「F.U.B.A.R.」も披露し、盛り上がりは加速する一方だった。後半はマーチング風ドラムで始まる「空華」など物語性の高い楽曲も織り交ぜ、ロック・バンドとしての懐の深さを見せつける。 そして、千織の口から5月から6月にかけてヨーロッパ・ツアーが決定したことを告げられ、"生きてたらいいことあるなー!"と雄叫びを上げる光景に拍手が送られた。そう言えば、以前取材した際もフランスの観客のリアクションがあまりにも凄まじく、メンバー本人たちがいちばん驚いていたようだった。今のUPLIFT SPICEを観れば、また新規リスナーが増えることは間違いないだろう。
本編を「カノジョ」で締め括り、アンコールに応えると、"消費税8%で自動販売機130円って、おかしいやろ?もう絶対買わん。小さい女や、こういうのが私には大事なんよ(笑)。今日はありがとー!"と再び笑いを巻き起こし、2回のアンコール計4曲を追加して、全24曲約1時間40分に渡るライヴは幕を閉じた。

昨年から今年にかけてひたすらライヴを続け"(日本の)どこにおんねん?みたいになってた"そうだが、場数を踏んで磨き上げられたバンド・サウンドはより強固かつグルーヴ感が増していた。自分たちのタブーをなくして、好きな音を貪欲に取り入れた最新作の楽曲も活力漲るパワーを発揮していた。千織も男顔負けのパワフルなスクリームから、艶のあるメロディアスな歌唱力まで自在に操り、終始髪を振り乱して歌に命を注ぐ込むパフォーマンスで耳目を釘付けにした。次のアルバムを期待するのは時期尚早かもしれないが、また一段と成長したバンドの姿と楽曲に出会える気がしてならない。

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