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LIVE REPORT

FALL OUT BOY

2014.02.06 @ZEPP TOKYO

Writer 山口 智男

4年に及ぶ活動休止を経て、昨年、復活を遂げたFALL OUT BOY(以下FOB)。
彼らが前作『Folie a Deux』から5年ぶりにリリースした最新アルバム『Save Rock And Roll』は活動休止している間、メンバーそれぞれに取り組んでいたソロ・プロジェクトの延長上で、バンドがさらなる進化を遂げたことを物語る意欲作だったわけだが、SUMMER SONIC 2013から4ヶ月、早くも実現した今回のジャパン・ツアーは追加公演を含む計4公演すべてがソールド・アウト。変わらぬ人気をアピールすると同時にFOBはバンドのさらなる挑戦を印象づけるパフォーマンスを披露して、ファンを存分に楽しませたのだった。

オープニングは最新アルバムからの「The Phoenix」。力強いPatrick Stump(Vo/Gt/Key)の歌声がいきなり大観衆の気持ちを鷲掴みにする。メンバー全員が目出し帽を被ってステージに飛び出してきたり、Pete Wentz(Ba)が王冠つきのFOB印があしらわれた大きな旗を振り回したり、そんなパフォーマンスには何やらメッセージが込められているようにも思えたのだが、そんなことをじっくり考える時間もくれずにバンドはドラム・セットが乗っている台をステップにジャンプをキメるJoe Trohman(Gt)をはじめ、激しいアクションを交えながら「I Slept With Someone In Fall Out Boy And All I Got Was This Stupid Song Written About Me」「A Little Less Sixteen Candles, A Little More "Touch Me"」「This Ain't A Scene, It's An Arms Race」と快調に曲を繰り出していき、ファンも手拍子、歓声、シンガロングでその熱演に応える。「This Ain't A Scene, It's An Arms Race」を演奏した時にはすでにスタンディングの客席はもみくちゃ状態だった。

「Thriller」「Sugar, We're Going Down」、Michael Jacksonの「Beat It」のカヴァーなど、代表曲の数々に新たなライヴ・アンセムの誕生を印象づけた「Young Volcanoes」他、最新アルバムからの曲を巧みに織り混ぜたセットリストは現時点でのベスト選曲。「Sugar, We're Going Down」「I Don't Care」など、何度も沸き起こったシンガロング。そしてモッシュという光景はいつものFOBだったが、今回、彼らはそこにアコースティック・セットを加え、「I'm Like A Lawyer With The Way I'm Always Trying To Get You Off (me & You)」「Grand Theft Autumn / Where Is Your Boy」の2曲を披露。バンドの新境地もアピールした。また、「Young Volcanoes」でアコースティック・ギターを演奏したPatrickはアンコールでやったバラード・ナンバーの「Save Rock And Roll」ではピアノも弾いた。
その「Save Rock And Roll」では終盤、サビのコーラスを、ドラム・セットから身を乗り出したAndy Hurley(Dr)も含め、メンバー全員で歌い上げた。バンドの新たな決意表明とも受け取れる歌詞を考えると、サビのコーラスはメンバーのみならず、観客も含め、そこにいる全員で歌い上げるべきだったのだろう。バンドがそれをリードしても良かったと思うが、きっとこの次は「Save Rock And Roll」を全員で一緒に歌うという美しい光景が見られるに違いない。

その「Save Rock And Roll」やアコースティック・セットで見せた新境地がFOBの今後にどんなふうに反映されるのか考えると、今から期待せずにいられないが、メンバーによると、それはまだまだこれからの話らしい......と思わせ、FOBの復活がそうだったように突然なんてこともあり得るから油断はできない。事実、彼らはいつの間にかハードコア・ナンバー8曲を収録した『Pax Am EP』(今回の来日記念盤『Save Rock And Roll Pax Am Edition』にカップリング)をレコーディングしていたではないか――そんなことを、Patrickが"アリガトゴザイマス。オヤスミナサイ"と日本語で締めくくった今回の来日公演の余韻を味わいながら考えている今日この頃なのだった。

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