DISC REVIEW
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一度完成させ、9月にリリースが予定されながら、メンバーたちが完成作に満足できずに作り直した7thアルバムが、ついにリリースされる! 「Champion」のJesse Shatkin、「Hold Me Tight Or Don't」のJonny Coffer、「The Last Of The Real Ones」のIllangeloら、今回、新たに組んだプロデューサー、ソングライターの顔ぶれからは、メインストリームで数々のポップ・アクトと勝負することを前提に、前2作からさらに自分たちのサウンドをアップデートしようとしていることが窺える。実際、前記3曲とメンバーだけで作った「Young And Menace」からはヒップホップの影響に加え、EDMの要素をヘヴィなバンド・サウンドに取り入れようとしていることがわかる。ハードコア・バンドのメンバーたちがバンドではできない音楽を追求するサイド・プロジェクトとして、そもそもFALL OUT BOYはスタートした。そのころの実験精神は一度、活動休止したことで、自らを縛っていた"らしさ"から解放されたのか、再始動後、ますます顕著になってきた。同時代に活躍したポップ・パンク/エモ・バンドの多くが失速するなか、彼らがシーンの最前線で活躍し続けている理由はそこにある。 山口 智男