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INTERVIEW

FALL OUT BOY

2015.01.19UPDATE

2015年01月号掲載

FALL OUT BOY

Member:Patrick Stump (Vo/Gt/Pf)

Interviewer:山口 智男

4年ぶりの新作『Save Rock And Roll』は見事、全米No.1に輝き、バンドの完全復活をダメ押しでアピールした。それからわずか1年9ヶ月という早いペースで6作目となるアルバム『American Beauty / American Psycho』がリリースされることに! R&Bとヒップホップのエッセンスをバンド・サウンドに落とし込んだ前作を踏襲しながらさらなる前進を印象づける曲の数もさることながら、活動再開後、メンバーたちの絆がより一層、強いものになっていることが感じられるところがうれしい。早速、Patrick Stumpに話を訊いてみよう。

-FALL OUT BOY (以下FOB)として活動再開後2作目となるアルバムを完成させた現在の心境は?

いい気分だよ。ツアーに出るから、ツアーでプレイして楽しむための準備中だよ。

-昨年9月に新曲「Centuries」を発表したときもそんなに早く新曲を聴けるとは思っていなかったのでちょっと驚いたのですが、そこから今回のアルバムを完成させるまでそんなに時間はかかりませんでしたね。新曲はツアー中に作り始めたそうですが、みなさんをそこまで駆り立てたものは何だったんですか?

僕たちを主に駆り立てるのは、新しい音楽なんだ。新しい音楽をやりたいからこそ、僕たちはツアーをするんだし、活動を続けているんだよ。僕がこの仕事で1番好きなのは、新曲を作ることなんだ。新曲作りが待ちきれないんだよ(笑)。

-「Centuries」を作ってから新曲はどんどんできたんですか? 実際には、どんなペースで作っていったんですか?

うん、「Centuries」がこのアルバムのために僕たちが最初に書いた曲だったんだけど、その後すぐ、マネージメントの人たちも、レーベルの人たちも、誰もが"これはシングルだ!"って言ったんだ。僕は怖くなっちゃって。"でも、まだアルバム作ってないんだよ? 1曲しかないよ?"って思ってさ。それで僕たちは、ちょっと急いでスタジオに入らなきゃいけなかったんだよ。でも、おかげでエキサイティングだった。アルバム制作は、よく時間をかけすぎて、必要以上に力をかけてしまうところがあるものなんだけど、そういう経緯があったせいで、今回はある程度、自然発生的な音楽を作れてよかったんだ。ほとんど即興で作ったような感じだったんだよ

-「Centuries」ではSuzanne Vegaの「Tom's Diner」のフレーズを使っているけど、これは誰のアイディアで、どんなふうに出てきたんですか?

このサウンドがちょうどはまったんだよね。僕たちはタイムレスっていうアイディアを表現したかったんだ。「Tom's Diner」のあのメロディは、僕たちが若いとき、すごくアイコン的だったんだ。あと、あのメロディがこの歌詞に込められた感情を喚起すると思ったんだ。だから、すごく自然にはまったんだよ。

-その「Centuries」を、Pete Wentz(Ba)はダビデとゴリアテの物語にたとえているけど、何か曲を作るきっかけになる出来事があったんでしょうか?

1番小さい人、最も小さな影響力しかないと思っている人が最大の影響力を持つことって時々あると思うんだ。ダビデとゴリアテの物語っていうのは、小さな人が最大の障害に打ち勝つことができるっていうのがアイディアで、そんなふうに、たったひとりの人間が世界の歴史に多大な影響を与えることがある。例えばマーティン・ルーサー・キング牧師とかマハトマ・ガンディーとか、伝説的な人物だけど、たったひとりの人間だよね。最高に素晴らしいことだと思う。だから、そういうアイディアを使ったんだよ。

-そこで言っているダビデがFOBだとしたら、ゴリアテとは?

アハハ。ダビデがFOBだとは言わないよ(笑)。僕はただ、この曲を聴いて、みんなに力を得て欲しいんだ。僕たちより若いキッズが力を得てくれたらって思う。彼らに何かができるって感じて欲しいんだ。そのための曲なんだ。必ずしも"FOBを何世紀も覚えていてくれ"っていう曲じゃないんだよ。この曲を聴いている人が人々の記憶に残るような何かができる、誰かになれるってことを感じるための曲なんだ。

-さて、今回、アルバムを作るにあたっては、全体像としてどんな作品にしたいと考えたんでしょうか? あるいは、完成した作品を聴いてみて、どんな作品になったと感じていますか?

僕たちはポップ・ロックの正当性を表したアルバムを作りたかったんだと思う。アメリカには、"ポップ・ミュージックはポップ・ミュージック、ロック・ミュージックはロック・ミュージック"っていう概念があって、今のアメリカではロック・ミュージックはかなり特定のものになっていて、それはクラシック・ロック、1975年(ころの音楽)になってるんだ。1975(※イギリスのマンチェスター出身の ロックバンド)ってバンドじゃないよ、年代だよ(笑)。それがロックンロールとみなされてる。それは馬鹿げていると僕たちは思うんだ。ロックには、もっともっと探究するべきことがあると思うから。その一方で、ポップ・ミュージックは今でも探究を続けてる。僕にはポップ・ミュージックのサウンドは定義できないからね。だから僕たちはポップ・ミュージックの世界で今起こっていることを見てインスパイアされたんだ。でも今、多くのポップ・ミュージックの曲では昔の曲をサンプリングしているけど、僕たちがやりたかったのは、そういうことじゃない。若いときにすごく影響されたヒップホップのアーティスト......例えばEPMDとかA TRIBE CALLED QUESTとかSlick Rickとか、彼らが何かをサンプルするときは、そこから新しい曲を創造していたんだよ。僕たちはそういうことをやりたかったんだ。それから、ヴォーカルでもいろいろ試みたかった。今、僕たちは、素晴らしいヴォーカリストたちがポップ・ラジオで活躍している時代に生きていると思うんだ。ずっとこういう状況だったわけじゃない。だから、シンガーとしてエキサイティングに感じるんだよ。いい挑戦になるからね。そして、本当に歌うことができる曲をレコーディングしたかったんだ。そして、結果はうまくいったと思う。僕たちはベストを尽くすことができたと思うよ。