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FEATURE

FALL OUT BOY

2017.12.29UPDATE

国内ロック・シーンからの支持も絶大なFALL OUT BOY! 尽きることない音楽への情熱を詰め込んだニュー・アルバム『M A N I A』を1/19リリース!

Writer 山本 真由

FALL OUT BOYが、ついにニュー・アルバム『M A N I A』をリリースする! なぜ"ついに"なのかというと......。当初9月のリリースが予定されながら、メンバーたちが完成作に満足できず作り直したため、新作を待ち望んでいたファンにとっては数ヶ月の"お預け"状態であったからだ。それだけに、"待ってました!"という期待感と高揚感は、通常のリリース以上になっているかもしれない。そのうえ、リリース後の4月には単独来日公演も決定とあって、まさに2018年はFALL OUT BOYの年になりそうだ!

今やロック・シーンのみならず、世界中のポピュラー・ミュージック・シーンにおいて、その地位を確立している彼らだが、激ロック的には、彼らのルーツにあるハードコアやパンク、メタルなどの要素が、彼らの生み出すポップ・サウンドに独特な香りを与えるスパイスとなっていることを感じざるを得ない。ということで、今回は少し彼らの歴史を振り返りながら、なぜこんなにも特別な存在と成り得たのか、今一度考えてみたいと思う。

FALL OUT BOYは2001年、シカゴのハードコア・パンク・シーンでそれぞれ音楽活動をしていた、Pete Wentz(Ba)とJoe Trohman(Gt)が中心となって、アメリカの中西部イリノイ州の郊外で結成された。Patrick Stump(Vo/Gt)は、Joeと知り合った当初はドラマーとしてリクルートされたが、他にリード・ヴォーカルがいなかったので、ヴォーカルを務めることになり、後にリズム・ギターも兼ねることになる。(ちなみに、PeteとJoeと当時ドラマーだったPatrickは、ハードコア・バンド ARMA ANGELUSのメンバーとして2002年に一緒に活動しており、現ドラマーのAndy Hurleyもその元メンバーだった。)つまり、ハードコア畑の人たちによるポップ・パンク・バンド、というのがこのFALL OUT BOYのスタートだったわけだ。なので、初期の楽曲ではPeteがシャウトやアンクリーン・ヴォーカルを入れている楽曲も多く、サウンド的にもハードコアの要素が散りばめられている印象があった。

そして2003年、彼らの華々しいキャリアのスタート地点とも言える1stアルバム『Take This To Your Grave』が"Fueled by Ramen"よりリリースされる。"FALL OUT BOYといえばこれ!"というファンも多いだろう、名曲「Grand Theft Autumn / Where Is Your Boy」や「Saturday」が収録されたアルバムだ。この作品が、多くのロック・メディアから高評価を得て、商業的にもそれなりに成功し、拡大しつつあったエモ・シーンでキッズを虜にすることとなる。




さらに、2005年にリリースした『From Under The Cork Tree』では、メジャー・デビューも果たし、発売初週にBillboardチャートのトップ10入りするなど、人気はさらに急上昇。激ロックのDJパーティーでもフロア・アンセムとなった「Dance, Dance」や「Sugar, We're Goin Down」など、スタイリッシュでエモーショナルな楽曲の数々でエモ・キッズのアイドル的存在となっていく。また、このころからPeteは、Fueled by Ramen傘下に新たなレーベル"Decaydance Records"(現在は"Fueled by Ramen"から独立し、"DCD2 Records"と改名している)を立ち上げ、PANIC! AT THE DISCOを見出すなど、シーンをリードするトップランナーとしての役割も果たしていくこととなる。さらに彼は、自身のファッション・ブランド"Clandestine Industries"を立ち上げるなど、エモ・ファッションのカリスマとしても注目を集めた。



3rdアルバム『Infinity On High』(2007年)では、サウンドの幅が広がり、ポップ・パンクのアグレッションを持った楽曲はもちろん、ダンサブルなものやギター・ポップ的な楽曲など、様々なアプローチに挑戦し、スケール・アップを感じさせる作品となった。また、このころからPatrickのヴォーカリストとしての実力は格段にアップ。ソウルフルでレンジの広い歌声は、さらなる楽曲の進化を可能にすることとなる。
続く4thアルバム『Folie À Deux』(2008年)は、音楽性的には前作のアップグレード版という印象で、表現の深みや渋みが増した楽曲の数々は、ニュー・ウェーヴや80s~90sポップ・ミュージックもミックスしたような、大人のロック作となった。エモーショナルなロック・サウンドという基盤は健在ながら、壮大な音作りはもはやエモやポップ・パンクというサブ・ジャンルでは括ることのできない、彼らが堂々たるロック・バンドになった瞬間でもある。だが、同時に"僕の、私のFALL OUT BOY"という感じでもなくなってしまい、古参のファンにとってはちょっと寂しい作品となったのかも。そして、そんな音楽性の変化も、もしかしたら彼らの生みの苦しみが表われた結果だったのかもしれない。それまで、コンスタントに作品を発表し、駆け足で登り続けたバンドには、少しブレイクが必要だったようだ。翌2009年、彼らは無期限の活動休止を発表した。

バンドの活動休止後、メンバーはそれぞれの音楽活動を始めることになる。PeteはBLACK CARDSというダンス・ポップ・バンドを結成。実力派のメンバーによる完成度の高い楽曲で、現在の彼らのグルーヴ感にも通じるような世界観ではあるものの、あまりにロックとはかけ離れた音楽性にファンはついて行けず、鳴かず飛ばずという結果だった。一方JoeとAndyは、ANTHRAXやEVERY TIME I DIEのメンバーと共に、HR/HMバンド THE DAMNED THINGSを結成。ヘヴィに振り切ったサウンドは痛快でわかりやすく、オールスター的なメンバー構成もあって、2010年にリリースされたアルバム『Ironiclast』の評判も上々、それなりに上手くやってはいたが、やはりそれぞれのメンバーにとってサイド・プロジェクト的なものだったようで、活動は長くは続かなかった。そして、もともとヒップホップ・アーティストを中心にプロデューサー業も行っていたPatrickは、ソロ・シンガーとして活動、2011年にはアルバム『Soul Punk』をリリースする。こちらは、彼のヴォーカリストとしてのポテンシャルが余すところなく発揮された、上質なポップ・アルバムとなっており、メディアからは高評価を得たものの、バンドのファンからはあまり受け入れられなかったようだ。

若くして成功を収めた彼らは、ゴシップなど音楽以外のものに悩まされたり、人々が求めるものの重圧を感じることもあっただろう。売れれば売れるほど窮屈になっていく環境に嫌気がさしていた時期もあったのかもしれない。だが、いったんバンドを離れ、自分にとっての音楽と純粋に向き合うことで、彼らの止まった時計は再び動き出す。FALL OUT BOYの復活である。 2013年、『Save Rock And Roll』というモンスター・アルバムを携え、まさに"不死鳥"のように彼らはファンのもとに帰ってきた。活動休止までのキャリアが素晴らしすぎて、再開後それを超えられないバンドというのは数多くいる。しかし、彼らは眠っていた創造性を爆発させたように、もはやセル・アウトなんて言わせないような、誰をも魅了する"売れるべくして売れる"作品を完成させたのだ。グルーヴィでポップ、ダンサブルでエモーショナルといった、それまでのFALL OUT BOYの魅力をさらに磨き上げたサウンドが満載。中にはCourtney Loveも参加した「Rat A Tat」など初期衝動を詰め込んだ疾走感溢れるナンバーもあり、感涙必至の崇高で美しいロック・バラード「Save Rock And Roll」にはElton Johnが参加しているなど、とにかく豪華! こうして完全復活を果たした彼らはさらに2015年、6thアルバム『American Beauty/American Psycho』をリリースする。こちらは、R&Bやダンス・ポップなど様々なジャンルをミックスしつつも、肉感のあるバンド・アンサンブルがうまく生かされた楽曲が並び、挨拶代わりの復活1作目がどこかコンセプチュアルであったのに比べると、もっと自由度の高い作品となった。




fall_out_boy_1.jpg そんな彼らが、2年ぶりのニュー・アルバム『M A N I A』をついに完成させた。アルバムの冒頭を飾る「Young And Menace」は大胆にリバーブとサンプリングを効かせたエレクトロ・サウンドが気持ちいいナンバーだが、Peteいわく楽曲の背景にあるのは"パンク・ロックに出会って初めて自分の居場所を見つけた"という自身の原点のような心情なのだという。その他、パワフルでグルーヴ感たっぷりの「Champion」、ちょっとエキゾチックな響きもある「Hold Me Tight Or Don't」、ピアノのリフが印象的な壮大且つ王道なエモ・ロック・ナンバー「The Last Of The Real Ones」、ポップでスケール感のある「Wilson (Expensive Mistakes)」などの新曲がすでに米国のツアーで披露されている。そして、そのアルバムの全貌が明らかになるリリース後、ここ日本にも彼らがやってくる! 久々の単独来日公演では、フェスでは味わえない充実のセットリストが期待できるし、なんと言っても、新曲と共にリアルタイムのFALL OUT BOYのサウンドを全身に浴びることができる、またとないチャンスなのだ! プレミア・チケットとなることは必至なので、ぜひとも早めにチェックしてほしい。




彼らと同世代の私のようなかつてのキッズは、ともすると自分のコレクションの中でばかり音楽を聴くようになって、今の流行りに触れる機会もなかったり、音楽そのものへの情熱が冷めてしまっていたりするものだが、貪欲に成長していくFALL OUT BOYを見ていると、"かつてのエモ・シーンの盛況を懐かしむのもいいが、もっともっと新しい音を聴きたい!"という音楽ファンとしての意欲も刺激されてくるのだ。そういう意味でも、彼らの功績は大きい。ロックに限らずトレンドに敏感な今のキッズから、彼らと共に成長してきた世代のファン、さらにはロック・シーンが華やかだった80's~90'sを経験してきた世代、クラシック・ロックがリアルタイムだった世代までカバーする懐の深いサウンドで、すべての音楽ファンに今一度ロックに熱狂する高揚感を味わわせてくれるのだから。




▼リリース情報
FALL OUT BOY
7thアルバム
『M A N I A』
MANIA.jpg
2018.01.19 ON SALE!!
[Island Records]
【デラックス・エディション】(CD+DVD)
UICL-9115/¥3,200(税別)
amazon TOWER RECORDS HMV

【通常盤】(CD)
UICL-1141/¥2,500(税別)
amazon TOWER RECORDS HMV

[CD]
1. Young And Menace
2. Champion
3. Stay Frosty Royal Milk Tea
4. Hold Me Tight Or Don't
5. The Last Of The Real Ones
6. Wilson (Expensive Mistakes)
7. Church
8. Heaven's Gate
9. Sunshine Riptide (Feat. Burna Boy)
10. Bishops Knife Trick
11. Champion (Remix) Feat. RM Of BTS ※ボーナス・トラック

[DVD]
・YOUNG AND MENACE (Music Video)
・YOUNG AND MENACE (Beyond The Video)
・CHAMPION (Music Video)
・CHAMPION (Beyond The Video)
・THE LAST OF THE REAL ONES (Music Video)
・HOLD ME TIGHT OR DON'T (Music Video)
・HOLD ME TIGHT OR DON'T (Beyond The Video)

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