INTERVIEW
TOKYO BLACK.
2021.03.11UPDATE
2021年03月号掲載
Member:唯丸® れおん はるひ 赤司 涼汰
Interviewer:山口 哲生
今年1月に渋谷TSUTAYA O-EASTで行った0thワンマンはチケット完売、2月に新木場USEN STUDIO COASTで主催イベント"東京『黒』FES vol.1 - YMBD -"開催と、メンズ・アイドル・シーンを凄まじい勢いで駆け上がっているTOKYO BLACK.。3月23日に行われる新木場USEN STUDIO COASTでのワンマン・ライヴを控えている今、始動以降、現状の手応えを中心に話を訊いた。取材現場は彼ららしい自由奔放な状況になってはいたのだが、時折垣間見えてくる本質を射抜く言葉たちにご注目を。
-涼汰さんが少し遅れているようですが......。
唯丸®:TOKYO BLACK.です、よろしくお願いします。
-よろしくお願いします。新体制でスタートを切ったわけですが、1月に渋谷TSUTAYA O-EASTで開催された0thワンマン・ライヴ("TOKYO BLACK. 0th ONEMAN LIVE 新東京『黒』- NEO TOKYO BLACK. -")も、2月に新木場STUDIO COASTで行った主催イベント"東京『黒』FES vol.1 - YMBD -"も、どちらも成功を収めて。
唯丸®:まぁ、1月のワンマンは置いといて......。ソールドはしたけど、あれは練習試合みたいなものだったんで。2月の主催はちょっとふざけすぎちゃったかなとは思います。
-新体制として始動してから変わった部分はありますか?
れおん:ライヴ前の空き時間はだいたいキャッチボールしてるんですけど、新体制になっても怒られてましたね。
-前からキャッチボールはしていたんですか?
れおん:怒られてボール3つぐらい失くしてます。
はるひ:4つだね。
唯丸®:(変わったことは)今のところはそれぐらいかなぁ。
赤司:キャッチボールの思い出(笑)。
-赤司さんはとしてはどうですか? 現状の手応えというと。
赤司:手応えかぁ......。
唯丸®:正直、手応えとかはまだそんな感じてないですよ。
赤司:うん。まだ感じきれてないところはありますね。デカい会場での反応はあったけど、通常のライヴでの手応えみたいなところはまだ全然掴めてないです。
-涼汰さんが加入したことによって空気が変わったとかは?
赤司:ダンスは揃うようになりましたね。
唯丸®:ほら、だから言ったじゃん。
赤司:前の子よりスキルが高いので、良くなってると思います。
唯丸®:でも、各々というか、パフォーマーとヴォーカルの将来的なところは揃ってないです。
-そうなんですか?
唯丸®:俺は日本武道館でワンマンがやりたいんですけど、この人たちは"さいたまスーパーアリーナでやりたい"って。
-おぃー。
唯丸®:さいたまスーパーアリーナは無理だよ。
れおん:意識高い。
-そういう目標があるんですか?
赤司:いや、僕は言ったことないです(笑)。
唯丸®:なんか俺のせいでごめん。
-はるひさんはどうですか? 新体制としてスタートしてから感じているものというと。
はるひ:楽屋の雰囲気が変わりましたね。みんなしゃべらないときはマジでしゃべらないんですよ。でも、涼汰はいつもふざけてるんで、ライヴ前の雰囲気は楽しい感じになることが増えた気がはしますね。
-その状態でステージに上がってみるとどうですか?
はるひ:やっぱり5人ってやりやすいですね。奇数だから。
れおん:そういえば前回のインタビュー(※2021年1月号掲載)で"星になる"とか言ってたな。
はるひ:あぁ、言ってた。やっぱりやりやすいんですよ。本来各々が持っていたキャラクターや役割みたいなものがあったんですけど、4人だったときは人数が減っているぶん、他にもやることがちょっと増えて、それに徹することが難しいというか。そこはステージ上のフォーメーションもそうなんですけど。でも、5人だと自分のやるべきことをちゃんとした状態でできるっていうところはありますね。あと、5人だとアー写がかっこいいです。
-アーティスト写真のイメージはリーダー(唯丸®)が決めるんですか?
はるひ:そうです。
赤司:たぶんインスピレーションだと思いますけど。
はるひ:唯丸®さんって、その場の雰囲気で決める感じなんですよ。前のアー写だったら、花の配置とか、ナイフを持つみたいなことを最初に決めておいて。で、当日はカメラマンさんと話しながら、みんなに"これはどう?"って聞いて決めていくことが多いですね。
-唯丸®さんとしては、最新のアー写で打ち出したかったイメージみたいなものはあったんですか?
唯丸®:特にないです。アー写ってコロコロ変わるものだと思っているから、1ヶ月に1回は変えてるんですよ。だから、これはこれでいいんじゃないかなって。
-例えば、アイテムをリリースするタイミングでアー写を変えることもありますけど、それよりも早いペースのほうがいい?
唯丸®:アー写って単純に賞味期限が早いじゃないですか。普通の人であれば、例えば、何かのバンドの写真を見たときに、最初は"これ誰だろう"っていう感じだと思うんですよ。2回目もそういう感じだけど、3回目ぐらいにパっと見たときに"あぁ、あの人たちか"ってなると考えていて。でも、4回目に見たときにその写真が変わっていたら、"これって誰? ああ、あの人たちか!"っていう感じになると思うんですよね。
-常に新しいものを提供したいとか?
唯丸®:新しいものを見せて悪いことって別になくないっすか?
-いろんな表情が見れるのはいいことでしょうね。れおんさんはどうですか? 新体制で活動してきて、現時点で思うことというと。
れおん:意気込みについては前回のインタビューで話した通りなんですけど、まだ実感的なものは特になくて。この間の"『黒』FES(東京『黒』FES vol.1 -YMBD-)"のときは唯丸®の生誕だったんで、(フロア)一面がピンクに変わった瞬間があったんですよ。そのときに、会場とひとつになれたなっていう実感があって、ちょっと泣きそうになったんです。でも、これ俺じゃねぇなって(笑)。
赤司:ははははは(笑)。
はるひ:主役じゃないもんね(笑)。
れおん:唯丸®も別に泣いてないし。だから、この空間を次のワンマンで作りたいなって思いましたね。あの日はいろんな演者さんがいて、その人たちの力もあったので。
はるひ:たしかにね。
れおん:あと、前のインタビューで"星になる"って話してたんですけど、今はいい意味でも悪い意味でもまとまった感じがしてて。
-悪い意味でも?
れおん:星になりたいんですよ。でも、今は丸になってるんですよね。まとまっちゃって、尖っている部分がなくなってる。安定感だけになると、人って見なくなるじゃないですか。それこそ賞味期限じゃないですけど。だから、各々がもっと尖っていけたらなとは思いますね。丸くなったからこそ、各々がもう1回突き破ってほしいんですよ。
-良くも悪くもまとまってはきていると。
れおん:僕的には、そこは悪いほうなんですけどね。
唯丸®:落ち着いてる?
れおん:うん、落ち着いてる。
唯丸®:そうなんすよー。嫌だわー。
れおん:今のこの状況はいろんな人たちが関わってできたものではあるんですけど、そこに、さらに、もう1個自分たちの我を乗せていかないと。やっぱりこの業界って厳しい状況だから、さらにもう1個上に行くには、その覚悟が必要かなって。
唯丸®:もっと始めたての頃、グループできたてのときの気持ちをね、思い出してやったほうがいいなっていうのは、たしかにある。
れおん:"安定した俺たちを見てくれ"というのって、ライヴとして全然面白くないじゃないですか。もちろんその中でちょこちょこ変えていくことはあると思うんですけど。でも、やっぱり人って熱量や、人間味があるところに感動すると考えているんですよ。例えば、尾崎 豊さんとかそうですけど、めちゃくちゃ歌の上手い人が、あえて喉を潰しながら歌うことで、人の心って動くじゃないですか。今はそういう部分がまったくないから、そこをもっと作っていきたいです。
唯丸®:たしかに。たしカニ(※カニのはさみの動きをしながら)。
-たしかにそれは大事なことですね。
唯丸®:たしカニ。
れおん:エンターテイメント的に、予想だにしないことって面白いじゃないですか。今ここに涼汰がいないのって、仕事上はすごく悪いことだけど、もしいい意味でそれが起こっていたら、それは人の心を動かすものだと思うんですよね。まぁ、今日は絶対に悪いですけど(笑)。
-(笑)たしかに星って、全部が同じ線の長さじゃなくても星になりますもんね。赤司さん的にはどう思います?
赤司:うーん......。
唯丸®:そうだよね? ね? らしいです。
赤司:たしかに。
唯丸®:たしカニ。みんなでラーメン食べに行きません?
-終わったら行きましょ(笑)? いい意味でも悪い意味でも、まとまってきている印象はありますか?
赤司:まとまってきてはいると思います。それぞれ役割分担があるけど、役割があるからこそ型にハマっているというか。そういう感じかなぁ。
-そこのバランスって難しいですね。ルーティーン化して型を作ったほうがいいものもあるけど、もっと自由にいろいろとやってみたほうがいいこともあるでしょうし。
唯丸®:やっぱ遊び心って大事じゃないですか。いつも使っているシャンプーとか、トリートメントとかが必ずしもいいとは限らないし、試供品で貰ったものをなんとなく使ってみたら、"あれ? なんかサラサラになったな"みたいな。そういうのない?
はるひ:めちゃめちゃある。
唯丸®:そうやってちょっと何かやってみることで、意外とこれもいいじゃない? っていう感じになると思うんですけどね。普段、自分が生活で体験していることって、やっぱり生ものだと思うんですよ。音楽をする人の場合は特に。だから、音楽で何かを伝えたり、生ものを提供したりする人が型にハマったことをやっていても、面白くないし、それだったらもうカップ麺と一緒じゃん。"あぁ、これね。はいはい"みたいな感じで終わる。そのなかで、寿司職人がいつもやっている握り方があるんだけど、人からちょっと見られているときに、いつもとちょっと違う動きをパフォーマンスみたいな感じで入れたら"え、何それ! それで握ったの!?"みたいな。
はるひ:あぁ。そうだね。
-正攻法や、方程式ばかりやっていてもしょうがないし、そことは逸脱したものをやらなきゃいけないというのは、よくわかります。それこそアー写をこまめに変えるというのも、今お話しされていたこととリンクしているのかなとも思いました。常に刺激を与えるというところで。
れおん:それがmust/have toになったらまた面白くないと思うんですよ。
唯丸®:マスト・ハフトゥーってなに?
はるひ:しなければならない?
れおん:うん。俺たちはこうしなければいけない、刺激を与えなければいけないっていう。
唯丸®:俺、英検5級落ちてっからわかんない(笑)。新しい変化球かと思った。
れおん:こうやって誰かがペースを崩すのって、"やらなきゃ!"と思ってやると、絶対に失敗するんですよ。実験的にやってみるのは面白いと思うんですけどね。歌わなきゃいけない落ちサビを歌わなかったりすると、逆にそれがいいこともあるし。
唯丸®:あるある。
れおん:そういう実験とかは面白いと思うけど、それをやらなきゃいけないって決めて、みんなで考えていたら、自分たちで首を絞めて自爆するんで。だから、遊び心っていうのは楽しみながら作っていくべきだと思いますね。