INTERVIEW
唯丸®(BLACKSHEEP SYNDROME.)× DJライブキッズあるある中の人
2021.10.11UPDATE
2021年10月号掲載
BLACKSHEEP SYNDROME.唯丸®による連続対談企画第7弾は、大阪関大前のライヴハウス TH-R HALLの店長も務めている、人気Twitterアカウント"ライブキッズあるある"中の人を迎えて実施。一見接点がなさそうに思えたふたりだが、思わぬ形で面識があり、互いの活動に興味があったという。コロナ禍での苦悩との戦い方や、今後の展望など真剣且つ意欲的に語り合った模様をお届けする。
BLACKSHEEP SYNDROME.:唯丸®︎
DJライブキッズあるある中の人
インタビュアー:吉羽 さおり
やっぱり音楽が好きなんですよね。いろいろなことをやってみて、音楽業界をどうするかとか、音楽で何をしようとかに戻ってきた感じです(あるある)
-今回、なかなかない組み合わせの対談で面白いなと思ったんですが、おふたりはお会いしたことはあったんですか?
唯丸®︎:実は以前、ご挨拶はしているんですよね。さっきインタビュー直前に話をしていたら、お会いしたことを覚えていただいていて良かったです。今日は、よろしくお願いします。
あるある:こちらこそ。以前会ったときは、ライブキッズあるある中の人としてではなくて、僕ReVision of Senceというバンドのマネージャーをやっていたんですけど、ReVision of Senceが共演させてもらっていたんですよね。そこでお会いしていたんです。楽屋にも挨拶にきてくれて、イケメンやなと思いましたよ。
唯丸®︎:いやいや、僕第一印象がいいと思われたことないんですよ(笑)。
あるある:そうですか? ReVision of Sence自体アイドルとの共演が初めてで、丁寧に挨拶をしてくれたので名前を覚えていたんですよ。だから今回の対談も受けた感じだったんです。
唯丸®︎:ありがとうございます。僕自身は、あまりロック・バンド界隈をわかっていないんですよ。それでも、"ライブキッズあるある中の人"は存じていたので、え!? 対談受けてくれるの? っていう。なので、すごく緊張しているんですけど、あるある(DJライブキッズあるある中の人)さんのこともっと知りたいです。今はDJの他に、大阪のTH-R HALLというライヴハウスの店長もしているんですよね。
あるある:そうですね。そもそも以前ライヴハウスで働いていて、そこからイベントを組むのが好きやったから、イベントをするために何か手段がないかなって、"ライブキッズあるある"というアカウントを作ったんです。フォロワーめっちゃおるから、なんかやろうとなってDJを始めたんですよ。
唯丸®︎:そういう流れだったんですね。
あるある:それでフェスや激ロックのイベントに出させていただいて、自分のツアーもしていたんですけど。コロナ禍で、イベントができないと。あと僕のDJ自体がモッシュ、ダイブができそうな曲ばかり流すというめちゃめちゃなDJやったので。コロナで直撃を受けたという感じで。何か音楽業界に貢献できることはないかなと思って探しているなかで、ライヴハウスが潰れたという話を聞いて。それなら店長をやりたいなということでやることになったんです。
唯丸®︎:ということは、すごく最近の話ですよね。
あるある:(オープンは)今年の5月ですね。
-今の状況下でライヴハウスを運営するのは大変なところもあると思うんですが、実際どういう活動をされているんですか?
あるある:ライヴハウスって日程を埋めないとダメじゃないですか。そもそもの立地が大学の前、関西大学前なので大学生に営業をかけまくっているのと、あとは学生だとどうしても、ライヴハウスを予約して前金を払って、キャンセルをしたらキャンセル料が取られてとかをすごく恐れているので。学生と仲良くなって、"コロナ患者が出たり、緊急事態宣言が出てキャンセルになったりしたら延期してくれればいい"と。リスクは減らしてあげるから、ライヴをやろうっていう。ライヴができる可能性を大学生に提案するというのが、今メインでやっていることですね。すでに11月もほぼ埋まっている状況で。
唯丸®︎:へぇー! すごい。
あるある:いい感じになっていますね。
-今は学生が中心で、例えばこれから、ご自身の企画を絡めたり、ツアーするバンドを引っ張ってきたりとか、そういった予定もあるんですか?
あるある:そこは完全に僕の中で分離していて、自分のイベントをする気はまったくないんです。地域のバンドのブッキングはするかもしれないですけど、"あるある"の名前で自分のイベントをすることは99パーセントないですね。僕自身大学時代軽音部にいたので、学生のシーンのこともわかるし、やりとりができるから、今のライヴハウスをやろうというのがあって。他にも経営不振のライヴハウスはあるじゃないですか。そこを継ぐという話もなくはなかったんですけど、普通にバンドやアーティストをブッキングするには自分の名義を使うことになるので、それやと消費していくだけになるなと思ったんですよ。そうじゃない、違う切り口でイベントができるところやなと思ったので、今のライヴハウスをやっているという感じなんです。TH-R HALLでは、若手になる1個手前、オリジナルのバンドを組むか組まんかという段階の人たち、原石の原石という子たちが出ている感じなんですよ。
唯丸®︎:そうやってバンドをやる子たちを育てていくのも、ライヴハウスの大事な役割ですね。
-今ライヴハウスを手掛けているあるあるさんから見て、何か今のライヴ・シーンで感じること、バンド・シーンのムードなどはありますか?
あるある:ムードはヤバいんじゃないですかね。アイドルもやと思いますけど、お客さんはあからさまに減っていると思うんですよ。
唯丸®︎:そうですね。
あるある:ちょっとずつ減っていったのもありますけど、7、8月で激減したと思うんです。デルタ株が出て、イベントもなくなったし、来るお客さんも遠慮するようになって。ヤバいなとは思いますね。ただ大学生のバンド・シーンで言えば、やりたい子、演奏したい子はいっぱいいるので、まだ大丈夫という感じで。ただ数年後ヤバいですよね。その大学生たちのライヴを観て、自分も楽器を持ってステージに立つっていう高校生のシーンが、すっぽり抜けていると思うので。
-アイドル、メンズ・アイドルにはどんな印象がありますか?
あるある:正直、なりたいですね。
唯丸®︎:やってほしいですよ。実は大阪ってあまりメンズ・アイドルがいないんです。
あるある:どうやったらなれるんですかね。
唯丸®︎:もうそれは、自分でアイドルですと名乗ってしまえば(笑)。もともと僕自身、アイドルになりたいと思ったこともなかったんです。アイドルって名乗ったのに、アイドルっぽくないって言われるのがすごく気持ち良かったんですよね。僕がアイドルを始めた頃はラウド系のサウンドを取り入れてシャウトやラップをしたり、病んでる歌詞とか、社会、会社とか、学校とかに物申すような歌詞を歌ったりするアイドルがいなかったので、じゃあやろうと。それでアイドルになっているので。
あるある:僕はずっと邦ロック・シーンでやっているので、ゴリゴリのバンド・サウンドを鳴らしたり、たまにバック・バンドを入れたりしてライヴをやるようなアイドルをやってみたいですけどね。
唯丸®︎:いいと思います。まず歌えるやつを募集して、バック・バンドは、バンドやりたいけど、メンバーに恵まれなかった人間を集めて。バック・バンドつき、バンドだけどアイドルを名乗ったら結構面白そうじゃないですかね。
あるある:やりたいな。でも僕、今32なんですよ。
唯丸®︎:大丈夫です、僕も同じくらいです。
あるある:じゃあ夢諦めちゃダメですね。本格的に考えます。相談していいですか(笑)。
唯丸®︎:もちろんですよ。なんならちょっと噛みたいです(笑)。
あるある:アイドル界隈ならではの風習とかをまったく理解していないので。レクチャーが欲しいというか。
唯丸®︎:そのへんは強いので、任せてください。
あるある:アイドルだと特典でチェキを撮るとかあるじゃないですか。あとはいろんなものの値段もあるし、何をしていいのかどこまでしていいのかも、地下はこうだよとかのスタンダードが知りたいですね。
唯丸®︎:メンズ・アイドルって、チェキとかの過激な営業、過剰な接触という話を聞かれたことがあると思うんですけど。あれは、ヒエラルキーで言えば末端の末端がやっているようなことなんですよ。
あるある:そうなんですね。
唯丸®︎:そうです、オリジナル曲はやったことがないみたいな、素人に毛が生えたようなアイドルがやることなんですよね。僕ら、触らないし、触れないし。
あるある:バックハグとかないんですね。
唯丸®︎:やらないですね。
-どちらかというと、そういう過激な接触のような活動が、メンズ・アイドルを語るときにフィーチャーされていますよね。
唯丸®︎:そうなんですよ。メンズ・アイドルって果たして、音楽シーンの分類なのか、ホストとかの分類なのかわからない感じになっちゃってるので。音楽やってるはずなのに、音楽の話題がほぼ出てこないんですよね。チェキは接触したほうがいい場合もあれば、接触を嫌う女の子もいるので。一概にはという感じですけど。
-あるあるさんは、ライヴハウスを始めたのもそうですし、アイドルへの興味もそうですし、今いろんなことをやりたい欲望があるんですね。
あるある:やったことないことをやりたい願望が強くて。ライヴハウスもそのひとつやったんですけど、ある程度うまく回るというところまで持っていけたので。次、何かおもろいものはないかなって常に探している感じですね。コロナ禍でDJをやるにしても、僕のDJの場合モッシュ、ダイブがあるから状況的には、最後に戻るような感じじゃないですか。あるあるとしてイベントはやり続けるんですけど、手が空いた時間は別のことをしたいなって。
唯丸®︎:たしかに、今まで自分がやったことがないことのほうが、たとえ先が見えなくても自分が頑張るだけで見えてきますしね。先が見えているのって楽しくないので。
あるある:そうですよね。むちゃくちゃシンパシーを感じます。
-そうなんですね。コロナ禍でいろんな文化が停滞してる状況だからこそ、それをチャンスと捉えるというのもあるんですか。
あるある:音楽業界に関してはあまりないですね。結構、直撃を受けたじゃないですか。サブスクが前よりも回るようになったとか、プラスの部分はあると思うんですけど、トータルの売り上げで言ったら音楽業界は超大打撃を受けているので。そこに関しては、ピンチをどう切り抜けるかのほうが僕は強いんですね。
-もっと別のところで楽しみを探そうと?
あるある:それもめっちゃ考えたんです。でも、やっぱり音楽が好きなんですよね。音楽業界以外の選択肢をいっぱい並べたうえでやってみて、仕事になったものもあったんですけど。SNSの運用とかも資格を取って結構やったんです。でも、お金は貰えても、まったく楽しくなかったんですよ。いろいろなことをやってみて、音楽業界をどうするかとか、音楽で何をしようとかいうのに僕は戻ってきた感じですね。