INTERVIEW
LOVEBITES
2020.01.23UPDATE
2020年01月号掲載
Member:asami(Vo) miyako(Gt/Key) midori(Gt) miho(Ba) haruna(Dr)
Interviewer:吉羽 さおり
-そしてアルバムの中盤にくるのがasamiさんの「A FROZEN SERENADE」。これぞasamiさんという、ドラマチックでソウルフルな曲ですね。
asami:さっきも話していたようなそれぞれの担当がはっきりしてきたというか。私が作るならこういう曲だなっていうのが「A FROZEN SERENADE」で、Mao君もいろんな想像をしながらアレンジをしてくれるんです。アルバムが冬に出るし、切ない冬のバラードぽいものが1曲欲しかったんです。季節柄を出した曲もこれまでなかったし、他の曲と毛色が違うものが入っていても面白いかなと。
miyako:ギターも楽しかったですよ。アコギのソロでは苦労しましたけど(笑)。
asami:asami作品は必ずアコギが入ってくるからね(笑)。
-この曲を境にアルバム後半へと突入していくのですが、後半もまた、猛烈なスピード感があってテクニカルな曲が続きます。「SIGNS OF DELIVERANCE」などもゾクゾクするスピード感ですね。
asami:「SIGNS OF DELIVERANCE」はもうステージでも何回もやっているしね。
miyako:2019年11月のDRAGONFORCEとのツアーでやっているんです。
midori:毎日弾いてたね。
miyako:これも制作初期からできていたデモで、2018年の1、2月頃にはあったんじゃないかな。LOVEBITESのギター・ソロはだいたい、"はいmidori、はいmiyako、はいツインで"っていうパターンが多いんですけど、この曲はずっとツインで。2ndアルバムの「WE THE UNITED」じゃないですけど、ずっとツインで弾き切る感じにしたかったのと、あとはこういう奏法なんて言うの?
miho:ボスタッピング?
midori:ボスハンドとか?
miyako:左手も上に持ってきて両手でタッピングする奏法なんですけど。それを私とmidoriがステージ中央でタッピングする曲が欲しいなと思っていたんです。
-ライヴの見せ所としても派手で最高。
miyako:DRAGONFORCEもこの弾き方をよくするんです。だからこの曲をDRAGONFORCEとのツアーでやりたいなと思っていたんですよね。
-となるとDRAGONFORCEの観客もかなり盛り上がったのでは。
midori:沸いてましたね。
miyako:プレイするのが精一杯でなかなか観客は見れてないんですけどね(笑)。この曲はLOVEBITESらしさもありつつ、イントロとかでも新しい試み入れた曲なんです。実は7月のEX THEATER ROPPONGIでの"INVITATION TO THE THEATER - LIVE IN TOKYO 2019"でもやったんですよ。どういう反応があるんだろうってそわそわしてたんですけど、"カッコ良かった"、"アルバムが楽しみ"っていう声があったので、"よし!"っていう。
-これ見せられたら楽しみになりますよ。続くスラッシュ・メタル「SET THE WORLD ON FIRE」で、さらに激しさを増していきます。
miyako:これはmiyakoがスラッシュ・メタルを書くとこうなるよっていう感じで。最初のデモ段階ではプロデューサーが、"ちょっとブルータルすぎるからなし"って言ってたんですよ。"そう? 新しいと思ったんだけど"って思って寝かせておいたんです。でも、改めて聴いたらプロデューサーもいいと思ったらしくて、復活しました(笑)。
haruna:しかもレコーディング直前になってプロデューサーから、"アレンジ変えよう"ってきたんですよね(笑)。それで中間のアレンジがまるまる変わったんですよ。
miyako:もともとはもう少し印象が違う中間部があったんですけど。やっぱりこの曲は突っ走る系じゃないかっていうので。そこの部分はそっくり作り直したのかな。"レコーディング直前でごめんなさい。でもむしろ簡単で、このまま行くだけだから"っていう(笑)。
haruna:こういう速い曲はわりと得意分野なので良かったです。最初から最後まで突っ走ってるので、勢いのあるものができたかな。
miyako:ドラムもツイン・ギターもすごくかっこ良くなったよね。最初とはイメージが違うんですけど、でも正解でした。
-そしてアルバムの最後を飾るのはドラマチックな展開をする「SWAN SONG」。
miyako:クラシック出身の人間なので1曲、クラシックをフィーチャーした曲が欲しいなということで。今回はショパンの「革命」という、みんなが一度は聴いたことがある曲をモチーフにしていて。サビではドヴォルザークの「新世界より」という曲をアレンジを変えて落とし込んでもいて、まさに私が通ってきた好きなクラシックを詰めてみました、という曲になりました。ショパンとドヴォルザークはなんの関連もないんですけどね。なんですけど、私的に相性がいいなと思ったのでミックスしてできあがった曲でした。
-この曲を"SWAN SONG"と名付けたのは。
asami:私はもともとクラシック・バレエをやっていて、「白鳥の湖」などのバレエ音楽やクラシック曲なども通ってきているんです。この曲を聴いたときに、バレエっぽいなと感じて。白鳥を入れたいなと浮かんだんです。ヨーロッパの伝承では、白鳥は生きている間は鳴かないけど、死ぬ間際に美しい声で鳴くという話があるんです。戦う戦士たちとか、みなさんの人生でもそうだと思うんですけど、必死になって自分のやりたいことを頑張って最後の最後できれいに散ることを描きたくて、このタイトルになったんです。ラストがピアノで終わるということで、曲としても美しい物語を想像した曲でしたね。
miyako:このエンディングの感じも新しいんですよね、作りながらライヴでどう再現しようかなって思いましたけど。
miho:アルバムの曲順も悩んだんですけど、絶対この曲は最後がいいよねっていうのはみんなあって。それでまた1曲目の「THUNDER VENGEANCE」に戻ってくれたらすごく深いものになるんじゃないかなって。
asami:前作もそうですけど、LOVEBITESのアルバムは終わりからもう1回頭に戻ってもらうということを想像して曲順も考えているので。エンドレス・リピートですよね(笑)。これは、戻りたくなるだろうなっていう。
-今作のイメージで言うならば、何度でも戦うんだっていう感じになりますしね(笑)。
miho:また戦うのかっていう。
asami:死んだと思ったら、また雷が落ちて復活してっていうね。
-この、戦うというイメージがより強くあるのはどういうところからですか。
asami:やっぱり女5人だからこそかもしれないですね。どうしても"女性だから"とか"女だし"という色眼鏡で見られたくないなっていうのは5人とも共通しているかなって。もちろん女性らしさは必要で、それが良かったりもするんですけど。楽曲的には負けてないぞっていう。
midori:うん、そういう強さを出してる部分はある。
asami:それはそれぞれが持っているものかなと思います。
-海外でのライヴやツアーでも、女性のバンドであることを意識する場面は多いんですか。
midori:どうなんだろうね。逆にUKで"Download Festival"に出たときは、ステージが終わって楽屋に戻るときにファンの女の子が私たちに声を掛けてくれて、"女性のバンドがこうやって力強くやってるのがすごく勇気づけられることだし、これからも頑張ってほしいです"って言われて。そこで女性のバンドであることは意識したことはありましたね。
asami:そうですね。最初の頃から言っているんですが、私の声が入ってるから、そこで初めて"あ、女の子のバンドなんだ"って思われるくらい、演奏自体は男勝りであってほしいし。そういうつもりでやっているのは変わらないです。