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INTERVIEW

Ailiph Doepa

2016.07.21UPDATE

2016年07月号掲載

Ailiph Doepa

Member:アイガーゴイル(Vo) レッドジブラ(Ba) パプリカパプリコ(Gt) ドナルディーケチャップ(Dr)

Interviewer:荒金 良介

-歌詞は怒りまくってますね。

アイガーゴイル:俺、去年は本厄だったんですけど、ホントにダメな年で、失恋したりいろいろあったりでぐちゃぐちゃな感情で作った曲ですからね。まぁ今となってはいい思い出なんで、悪ノリで再現ドラマみたいなMVも作ってます。リアリズムって、Ailiph Doepaっぽくないけど。

レッドジブラ:別にいいと思うけど(笑)。

アイガーゴイル:(Ailiph Doepaは)ファンタジーな世界観が特徴なのに、急に恋愛や現代社会みたいなことを歌い出したら聴き手はビックリすると思うんですよ。でもまぁ、そういう不意を突くアプローチも面白いかなと思ってあえてぶっ込んでみました。

-「MARS」に話を戻しますが、曲作りはどういうふうに進めたんですか?

アイガーゴイル:セクションごとに作って、パズルのように繋ぎ合わせました。だから、無理のある展開なんですよ。あと、壮大さが欲しかったので、みんなで歌える"オーオー"というフレーズも入れようと。マイナー調で寂しげだけど、シンガロングしたかったんです。

-この曲を聴いたとき、他のメンバーはどう思いました?

レッドジブラ:頭がおかしいと思いました(笑)。久々に持ってきた新曲だし、期待してたんですけど、この曲は半端ない裏切りだなと。でも、全体的にまとまりがあるし、キャッチーではないけど、シングルにするならこの曲だなと思いました。なんとも言えない魅力があるんですよね。

アイガーゴイル:俺は、最初に作ったときはあんまり好きじゃなくて。なんか、ダルいなって。"大丈夫かな?"と思ったけど、いろんな人に聴いてもらったらいい反応が返ってきたんです。

-繰り返し聴きたくなる中毒性がありますね。ストーリー性というか、ジャーニー感があるなと。

アイガーゴイル:ジャーニー感は出したかったんです! 曲の展開にも意味がありますからね。歌詞も少し物語っぽくしたんですよ。火星に人類が移住して、文明を築こうと思ったけど築けなくて、残骸だけが残る、みたいな。

レッドジブラ:へー! 知らなかった(笑)。

アイガーゴイル:でもMVと歌詞はまたちょっとだけ違う物語なんですよ。MVを観てもらえればわかるんですけど、エイリアンに拉致されて、火星で演奏させられてから最後はエイリアンにやられそうになるけど、ブチ切れてエイリアンを殺すついでに自分たちが乗ってきた宇宙船を壊して、帰れなくなるという。どうでもいいですね。

-なるほど。曲調もどこか抑制が効いてますね。

アイガーゴイル:どこか寂しげな感じを出したかったんです。宇宙って、放り出されたら寂しいだろうなと思って。テンポ・チェンジは無茶な感じだから、ドラマー泣かせですね。

ケチャップ:冒頭の高速ツーバスから自分の限界を超えたフレーズですからね。あと、展開を覚えるのも大変でした。

パプリカ:自分が入ってから初めての曲になるけど、それでいきなり"これかよ?"って感じで。一度聴いたときに、これマジで覚えられるのかなって。運指も今までにないフレーズばかりですからね。

レッドジブラ:転調は5回以上あるしね。セクションごとにリフのキーも変わるんで、これは弾けないなって。なんとかアレンジして、形にしました。

アイガーゴイル:俺の曲作りに理論はないですからね。完全にフィーリングで作ってるから、弾く人、叩く人のことはまったく考えてない。こないだライヴでこの曲を披露したけど、お客さんには"音源を200回ぐらい聴いてくれ!"と伝えました。

-ライヴでの反応はどうでした?

アイガーゴイル:この曲は、盛り上がりポイントがあるのかないのかわからないので......。

-あえてサビと言うなら、曲名を連呼する行進感のあるパートですよね?

アイガーゴイル:そうですね。唯一2回繰り返してますからね。あそこがサビでいいと思います。

レッドジブラ:僕はサビがないと思ってます(笑)。Ailiph Doepaはこれまでもサビのない曲があったし、サビがない曲をリードにするのはAiliph Doepaにしかできないことなんじゃないかなと。

アイガーゴイル:既存の概念にとらわれたくないので。自分で曲を作りながら、聴いたことないなぁ、新しいなぁと思えることが大事かなと。

-自分がドキドキしないと、聴き手にドキドキは伝わらないでしょうからね。

アイガーゴイル: そもそも"自分が本当に聴きたい音楽を作りたい"と思ったのが、音楽の道を志したきっかけですからね。だから、ひねくれてるんでしょうね。

-あと、今作でSYSTEM OF A DOWN感がだいぶ抜けましたね?

アイガーゴイル:自分の根幹にある好きな音楽は変わらないけど、今回はバンド・カラーがより強めに出てきたかなと思います。

レッドジブラ:前作でAiliph Doepaのひとつの形が見えたから、今回は新曲になるし、新しいカラーが出てきたのかなと。今までは模索中でしたからね。

-「Mashed Potatoes」はどうですか?

アイガーゴイル:日本だと在日ファンク然りで純粋にファンク・ミュージックがすごく好きだから、前々から思ってたんですけど、ファンクをやりたいなと。アイディア自体は「Let it Die~Requiem of my Soul~」(Track.3)のリフと同時に思いついたんですけど、"降りてきた!"という感じでした。そのときちょうど憎悪にまみれていたんで、バンド史上一番極悪な曲に仕上げてしまいましたね。歌詞も楽曲のノリも、ちょっとメタルコアですから。ブレイクダウン・パートもあるから、単純に頭も振れるし。ちょっと怪しい、鬱っぽいファンクというか......嘘つきバービーや八十八ヶ所巡礼のような怪しげな邦ロックのテイストに、メタルコアを加えたイメージです。歌詞では、"バーカ!死ね!消えろ!ウゼェ!!"ってめっちゃ言ってますからね。言ってしまえば、ヘイトコアですよ。ヘイトを叫ぶのもAiliph Doepaっぽくないけど、それがまたバンドの振り幅になるから。